見出し画像

ブックオフ、こわい

7:18起床。朝は納豆キムチ、おこめ、みそしる。おもむろに弱火で焼かれたソーセージが、お皿に川の字にならぶ。お皿のすみにはマスタードとケチャップ。ソーセージがあると食卓がちょっと豪勢だ。

まだかさんは月に一度のボディトークの日。ズームで話しているのを尻目に、リュックを背負ってマックスバリュへ。外を歩く。

なんとなく気づいていたのだけど、どうも家で好きなものに囲まれて暮らしているときよりも、へのへの外を歩いているときのほうが「自分自身」というものを感じる。

家のものはどれも自分との結びつきを感じるけど、外の風景にはそれがあまりない。風景にお金を払ったことはないし、好き嫌いみたいな感情で風は吹いていなくて、そこがいい。いつもの芝犬にあついねあついねえ。

今日はネギがバラでも高かったので買わなかった。198円。まとまったネギだと298円。ネギを買えていたら今夜はおそばになるはずであった。プチトマトとお昼用に助六寿司を買って、水を補給。

帰りは迂回してブックオフへ。入り口の自動ドアのところに犬のマークと「ペット禁止」と書いたシールが貼ってあって、顔だけで笑った。愛犬を連れたお客たちが、ブックオフ店内の通路を闊歩する様子を想像する。

そういえば、ブックオフ店内の独特なにおいが最近しなくなった。

もしかして、自分も来店を繰り返すうちにブックオフが内在化されて「ブックオフの一部」になって、もはや私自身がブックオフであるがゆえ気にならなくなっているんだったらどうしよう。ブックオフ化してない人なら、ブックオフの外部からブックオフのにおいを感じ取れるはずだ。

だとしたらブックオフは怖い。いつか適当な小説のタイトルをつけられて100円コーナーの中にしまわれるかもしれない。ブックオフ怖い。

今日は本格的に暑い。どこのベランダも洗濯物で彩りあざやかな世界だ。 この瞬間にも、何白万枚もの洗濯物が風に吹かれてひるがえって乾いていってるんだろう。百万枚の洗濯物だったらミリオンランドリーと呼びたい。

すごいことだ。 草木も茂って、私は歩道を歩く。

十字路に差し掛かると、正面の道の先にいる人と、向かって右側の道の先にいる人の後ろ姿が見える。そしてコーディネートが同じでびっくりした。黒のオーバーオールに白のTシャツで、乳母車を押していた。

もしかしてこの人たちは双子で、晴れた十字路の中心で世間話をしたあとに、じゃまた明日ね、と言い合ってお互いの道へと別れていったのかもしれない。

自分の行く先は正面の道なので進む。道の先にいる人の洋服が少しずつ鮮明になってきて、同じだったはずのコーディネートが一枚一枚とはがれていって、終わってみれば似たような形の全然違う服に変貌していた。

違う格好の人でも、遠くから見ると同じに見えるんだな。発見。

もしかしたら虫なんかも小さきゆえに同じに見えるだけで、いつもムッシと呼んでいても、顕微鏡で見たらまったく違うムッシで、とてもムッシだなんて括ることもできずに、名前をつけて呼び分けないといけないぐらい別のムッシなのかもしれないじゃんか。

天からは「虫の名は。」という非情なる声。外は暑い。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?