懐石料理のいただき方(初めての初釜の備忘録・その2)
今回もお読みいただきどうもありがとうございます!
さてその1では「(11)香合拝見(こうごうはいけん)」までご紹介しました。
香合拝見が終わると茶室から一度退出し、懐石をいただく場所に移動します
(12)懐石(かいせき・食事)
「懐石」とは、茶事でだされる正式な食事を指すそうです。
濃茶に使われるお茶の量は薄茶と比較するとかなり多く、三斎流では一人当たり大盛り3杓をいただきます。どろりとした液体で、飲むというよりも"はむ"という感じです。だから"濃茶"なんですね。
その分、カフェインが強く胃に負担をかけることもあり、先に懐石をいただき、メインである濃茶を美味しくいただく準備を整えるのだそうです。
とはいえ、この懐石も色々とお作法がございました(汗)
まず最初のお膳がこれです。
あくまで茶事の一環であり、宴会ではありませんので、お話をすることよりも黙々といただきスムーズにお食事をすることが求められます。
そして。このお膳での注意が早速ありました。
・最初のうちは、ゴハンとお味噌汁だけに箸をつけること です。
・また食べるお椀を替える時には、一旦お箸を置き、お椀をとって、再度箸を手にとる
例)ゴハンを食べ、次に味噌汁を飲みたい時には、ごはんの器を置き、箸も一旦おく。その後、味噌汁椀を手に取り、箸を手にとる。という流れ。箸を持ちっぱなしで椀だけ替えるのはNGです
ということです。
今回の茶事では尚子先生がご一緒してくださっていたので、先生の様子を横目で追いながら同じようにしていると、先生はご飯とお味噌汁しか召し上がっていないのです。
(あれ、お刺身はいつ召し上がるのだろう…?)
と待っていても先生はなかなかお刺身には箸をのばされません。
思わず質問をしてしまいました。
「先生、今は、ご飯とお味噌汁だけをいただくのでしょうか。」と。
それが質問をしておいて本当に良かったのです。
その時はまだお刺身に手をつけてはいけないタイミングでした。
お刺身をいただくのは、亭主がお酒を注いでくださってからとのことでした💦
あぶない、あぶない、危うくやらかすところでした。。
その間にゴハンのお櫃が正客から順番に回ってきます。
数名で食べ切るように入れてくださっているので、2回目に回ってきた時、「最後の人は残さず全て飯碗に入れるべし」という事でした。
そして亭主であるお家元様から、盃をいただき、お酒を頂戴しました。
出雲でのお茶時だけに"出雲富士"✨
このお酒を頂戴したタイミングからようやくお刺身をいただくことができます。
まだ注意事項は続きます。
このお膳にのせて良いのは、基本的に飯碗、汁椀、左上のお刺身のお皿、盃です。
(あとで小さな白和えがきますがそれは、ちょこんとお膳の上に載せました)
この後、お椀がまだ出てくるのですが、全てお膳の下に置きます。飯碗と汁椀の蓋も上下に重ねて下に置きます。
その後も、焼き物や煮物が大皿に盛り付けられて、正客から順番にまわってきます。
それらはお刺身のお皿の上に載せます。
でもお刺身と並んでおくことはダメなんです。
つまり大皿が正客から回ってその前にお皿に取り分けたものを全て食べ終わり(残すなんてありえない)、あいたスペースに新しい食べ物を取るということを繰り返します。
かなり相当なお食事をいただきます。
美味しいお酒も亭主から振る舞われます。
おもてなしにつぐ、おもてなしをいただき、お茶事のおもてなしとありがたみを五感で体感させていただきます。
そして最後の局面で香の物が大皿にもられてきます。
この時ばかりは先生が、「沢庵は必ず1つ残しておいてください」と皆に教えてくださいます。
沢庵をひとつ残して、その他のものはきれいに食べてしまいます。
その後、正客が亭主にお白湯をいただけるようにお願いされ、お白湯が回ってきます。
お白湯が回ってきたら飯碗と汁椀にそれぞれ少しずつ注ぎ、飯碗は沢庵でご飯をきれいに洗って、飯碗、汁椀ともそのお白湯を全て飲み干します。
それから懐紙を取り出し、飯碗、汁椀、お皿の水分を全てきれいに拭き取り、お膳の上をきれいに整えます。
ここでようやく懐石は終了です。
(13)主菓子(おもがし)をいただく
懐石のあとは、「主菓子」(おもがし)をいただきます。
主菓子とは、そのまま、メインのお菓子です。
お重箱に入って正客から回ってきました。
美しく黒文字(菓子楊枝)が斜めにのっています。
絶妙なバランスです。
ほろ酔いでもこれをうっかりと傾けて、崩すことは許されません。
緊張感が漂います….💦
それぞれ自分の懐紙(かいし)にのせて、いただきます。
(14)中立(休憩)から腰掛待合(こしかけ・まちあい)へ
ここでようやく中立(休憩)です。
といってもダラダラすることはありません。
着物を整えたり、お化粧室に行ったりするほか、濃茶を頂いた後に茶碗の口元を清めるために必ず必要となる「懐紙を折っておくこと」も忘れてはなりません。
その後、全員で(2)の腰掛待合へ戻り、亭主からの合図を待ちます。
炭手前の際の席入りで、こちらが揃ったことをお知らせするのは「板木(バンギ)」でしたが、亭主からのお知らせは「ドラ」でした。
ここまでで、お茶事の前半(初座というそうです)がようやく終了です。
茶室の作りや流派(当方は三斎流)の違いによって、色々と作法にも違いがあるかもしれません。その辺りはご了承くださいませ。
とはいえ、
亭主のおもてなしを、一同、全力でありがたく頂戴し、こちらも全力で礼を尽くすという点についてはどの流派も共通ではないかと思っております。
いよいよ次回はメインである後座(濃茶と薄茶を頂く)での体験をご紹介します。
お楽しみになさってくださいね。
今回も最後までお読みいただきどうもありがとうございました。