一度正社員から離れた母親は、正社員になれないのか?
子育てしながら家事をしながら働くことのしんどさを経験して感じる「再就職」のハードル
毎日しんどくてギリギリだけど充実もしていた共働き時代
第一子出産後、第二子の産休取得開始まで2年ほどの短い期間ですが、私はほぼフルタイム(15分だけ時短取得)で仕事をしていました。
毎日6時前に起きて夕食の下ごしらえをしながら朝食(とはあまり呼べないもの)を用意して乾燥まで全自動の洗濯機をまわしつつ、子供と自分の身支度をして、7時半に家を出る生活をしていました。
帰宅は17時01分発の会社最寄り駅の電車の出発時刻まで毎日ダッシュ。
自宅最寄り駅から小走りで、電動自転車のある駐車場まで急ぎます。
そのあと保育園まで自転車で5分ダッシュ。
ダッシュで子供をピックアップしてまた家までダッシュ。
部屋もぐちゃぐちゃ、テーブルも散らかり放題、食器洗いは旦那に任せて食べかけの食器を机に放置したまま21時に子供を寝かし付けしていた。
毎日仕事がやたら楽しかったこともあって、自分の時間=仕事での充実時間、だったので、家は悲惨で大変だけど、生活は割と楽しかったです。
めぐまれた環境だったからこそ「ぎりぎり共働き」が楽しく成立していた
共働きを続けながら第二子を妊娠したとき、以下の女性のキャリア継続に関する論文執筆のためのインタビュー調査を受けました。
この論文は、共働きの女性と元々働いていたけど理由があり専業主婦になった女性の2グループにインタビューをして社会学的な分析が行われたもの。
キャリアを継続するためには色んな複数の好条件が組み合わされないと難しい。ということがよく理解できる論文です。
※以下の記事をクリックすると、論文のPDFがダウンロードされます。
「出産後の女性のキャリア継続の諸要因」
この論文を読んで、私は単純に恵まれた環境と条件にいたから、共働きを続けて来られていたんだ。ということが分かりました。
この論文によると、共働きを続けるためにはどのような条件が必要なのかが見えてきました。
共働きとしてキャリア継続のために必要な条件
①夫が家事育児の分担ができる技術とマインドを持っていること
②夫の仕事が長時間労働や転勤や出張などがあまりなく、物理的にケア労働に時間が割けること
③夫以外に頼れる祖父母が家の近くに住んでいること
④会社が共働き家庭に理解があり、働きやすさを制度面や文化面で従業員に提供できていること
⑤会社でキャリアップできるキャリアパスを提示していること
⑥保育園に入所できる住環境
⑦子供がいる環境でも成果が出せるに値する、これまでの「社内の信頼残高(人間関係と技術と経験と知識)」があること
①~③は夫が使い物にならなければ③もしくは外注化できるコストが捻出できればクリアになる話。
⑥の保育園問題は徐々に社会で解消されつつある話。
④⑤の会社の問題⇒異業界・異業種での転職と異動経験が3回程度ある自分にとって、ゼネラリストに近い経歴は、働き方に理解のあるホワイト企業にブランクありで転職できるのは難しいのではないか、と感じています。
⑦の「社内の信頼残高ゼロ」で新しい会社に飛び込むことの難しさ⇒
会社の文化や、会社のやり方や、業界(や職種など)の何かこれまでに経験のない分野など、新しい会社に入るということは、3つ、4つ大きな「新しい事」を一から学んでいかないといけないことになります。
これが、働く母親にとって実現可能なのか?
結構疑問に感じます。
同じ業界、同じ業種、での転職ならここの難易度はかなり低いものになると感じます。ですが、その業界が斜陽産業であったり、もうブランク期間を経て自分のスキルが使い物にならなかったりすると……。
育休復帰とブランク後の復帰は似て非なるもの
育休復帰は以前の職場に戻るため、仕事のやり方も会社の風土も理解できているので「両立」にフォーカスしてキャリア継続ができます。
でも、ブランク期間を経て「新しい会社」に「転職」するのは、大きな大きな「新しい会社で新しいことを学び実績を積み上げながら」「両立する」
ことになります。
両立だけでも超しんどいのに、新しい会社でチャレンジするのはもっともっとシンドイです。
「働き方改革」だけでなく「転職者オンボーディング改革」も必要では?
女性のL字カーブ(女性正社員比率が30代前半からガクっと下がる日本の社会問題を示したグラフ)の解消の一つに、男性の育休取得や家事参加の呼びかけがありますが、それだけではなく、日本にある多くの企業が、「時間制約のある転職者を受け入れて成長させられる会社の組織体制・教育体制・マネジメント体制」のある会社が増えたらいいな……と感じます。