見出し画像

さんすうのしゅくだい

きょう、がっこうでさんすうのしゅくだいがでた。
ぼくはさんすうがだいきらいだ。
とくにわりざんがにがてだ。やっているとすぐにわけがわからなくなってしまってひとつのもんだいにすごくじかんがかかってしまう。
はやくしないとねるじかんまでにおわらないので、ぼくははやくいえにかえろうとじゅぎょうがおわるとすぐにきょうしつをでた。
いえにかえってすぐにはじめようとしたら、かばんのなかにさんすうのきょうかしょがなかった。
つくえのなかにいれたままわすれてしまったのだ。
ぼくはあわててがっこうにもどった。
きょうしつからきょうかしょをとってこうもんにむかうとちゅうで、かだんのところではしもとさんのすがたがみえた。
はしもとさんはひとりでじめんにしゃがんでいた。
ぼくは、なにをしてるのだろうとおもってちかづいた。
はやくかえらないといけないのだがぼくははしもとさんがちょっとすきだったからきになったのだ。
はしもとさんはかだんのわきのはいすいこうにかおをつけるようにのぞきこんでいた。
どうしたの、ときくと、さいふをおとしてしまったのだという。
てつのふたのすきまからのぞきこむときたないどろのなかにあかいさいふがみえた。
ぼくはそのときいいことをおもいついた。
はしもとさんはさんすうがすごくとくいでいつもひゃくてんなのだ。
「さいふをとってあげる。そのかわりさんすうのしゅくだいをやって」
はしもとさんにたのんでみた。
はしもとさんはちょっとへんなかおをしたがいいよといった。
ぼくはてつのふたをくろうしてもちあげちょっとこわかったがはいすいこうにとびおりた。
くつがどろにめりこんだ。
さいふをつかんでてをのばしてはしもとさんにわたした。
あがろうとしてうえをみあげると、がちゃんとおとがしてくらくなった。
はしもとさんがふたをしめたのだ。
なにするんだよ、とさけぶと、てつのふたのすきまからはしもとさんのくちがみえた。
あたしほんとうはさんすうだいきらい。ぜんぜんわからないのすうじをみるのもいや。
てすとはいつもカンニングしてるの。
しゅくだいはぜんぶおやつとひきかえにおねえちゃんにやってもらってるの。
だからあんたのしゅくだいなんてできないの。じゃあね。
くちがすっときえると、あおいそらにかわった。
てをのばしててつのふたをおそうとしたがびくともしなかった。

(了)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?