夢に困憊ぐでたまに見入る朝
旅は好きだ、島も好きだ。
島めぐりの船旅の夢なら幸福なはずなのに、困憊して起きた。
そもそも向うべき目的地があったのに、時間短縮になりそうと乗船したのが発端。しかしながらそれは、群島めぐりの船で、二日間戻れない。
たまには日常を離れるのもいいか、と思う。
船内は、車両のように縦に長く、雑魚寝スペースのみならず、赤絨毯のソファの区画や、スツールの並ぶバーカウンターなどもあり、居心地がいい。
時折、島に立ち寄って、潮風を身に受ける。
そのようにして船旅が終わり、家に帰れるのだなとホッとしながら、
あれは新百合ヶ丘駅のバス停留所。あざみ野行きの列に並んでいる。
二つに折りたたまれた列の、最後尾と思われる後列の端に並んだけれど、
前列の端へどんどん人が連なっていく。前列に並ぶのが正しかったのか…?
慌てて並び直すと、バスはあざみ野へは向かわず、群島めぐりの船着き場へ到着するのだった。
そうして二度目の船旅に出る。
どうにかして戻れないか。
群島めぐりとは言えど、寄港地は実は地続きで、電車やバスでも帰れるのではないか。
そう思い、二度目の旅は、住民の生活を観察している。
島には「馬場肝油堂」という黒々とした看板が立派な薬屋があり、そのそばに数件の商店が並んでいる。
その周囲を囲むように、築年数の嵩んでいそうな大型団地があり、ベランダでは住民たちが、太極拳に似た手足をゆるやかに動かす踊りに興じている。
そこで簡潔した人々の生活を見て、あぁ地続きではないのだな、船を降りたら家には帰れない、と思い知る。
……そんな夢の途中で起きて、思いのほか困憊しており、
ふと目にとまったぐでたまのツイッターを、長いこと眺めてしまった朝だった。
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