広がる世界、均される世界
少し高くなった空。
間断なく続く祭囃子の音に子供らのはしゃぐ声が混じる。
微かに漂ってくるソースやカステラの香ばしい匂い。
半袖を着るには肌寒く、長袖を着るには少し暑い。
自分にとって祭りとは、夏というよりは秋を感じる風物詩だった。
不意に行き当たった喧騒は、「慣れ親しんだ」というよりは「懐かしい」という感覚を去来させた。
思えば祭りというものに訪れたのは4,5年ぶりだった気がするが、それはコロナのせいだけではないだろう。
そもそも祭りとは自分にとって必須というほど切実な行事