ちびっこが転んだ瞬間 【三日坊主一首評】
見える景色にブレのない、シンプルな歌だ。いま、この歌にとても心惹かれている。
ふたつ動作が入っている。ちびっこが転ぶ。大人たちが一斉に立つ。立つという動作がじつは不安定だったことに気づく。勢いよく立っているのだけれど、うっと息を呑み不安げな様子。終止形は安定しそうなものだけど、一首がすごく不安定になっている。それは情景と絡んで、不安や戸惑いが連れられてくるからだ。きっちりとした構造の作品なのだけど、ぐらぐらとする感じがおもしろい。四句の字足らずも安定感を失わせている。
ちびっこが転ぶ瞬間を思い返してみると、たしかに息を呑んでしまう感じがする。ちびっこは転んでから、泣き出したり、声を上げるまでが長い。現実を受け止める時間が必要なのだろうか。痛みはいつも遅れてくる。そういえば、大人になってから長い間転んでいない気がする。
転ぶ→立つ、というスイッチになっていることにも気付く。全く関係のない動作が心情によって、動いてつながる。
👇ヨミアウの毛布さんの作品。
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