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第46回:砂子塾長の熱血ドラテク持論
砂子塾で筑波2000を貸切。スーパー高性能某マシンで走る塾生の走行後の言葉が印象的だった。
「いや~怖くてこんな狭いとこ踏めませんよ・・・汗汗」
オレはこう答えた。
「だよね~それが普通だと思うよ」
「うちらはこんなのに慣れてるからさ・・・。笑」
「怖い」という感情。
以前、このコラムでもアマチュアが怖いと感じた防衛本能、その危険感受性を大事にしろと・・・。
1960年製作のアルフレッド・ヒッチコック監督の名を世界に知らしめた作品「サイコ」。
アンソニー・パーキンス演ずる田舎町のホテルを独りで切り盛りする青年ノーマン。彼にはとんでもない秘密と重度の精神疾患があった・・・。サイコ・スリラーサスペンスの代表作となり、それを期に異常者を「サイコ」や「サイコ野朗」などと呼ぶのがポピュラーになったのであった。
サイコは略で正式には「サイコパス」一般的に反社会的人格の一種を意味する心理学用語であるが、中野信子先生の著書「サイコパス」を読んでみると非常に興味深い内容が盛りだくさん。
例えば恐怖を恐怖と感じないレーサーもサイコパス。リスクを恐れずベンチャー企業で成り上がった社長も・・・。ある分野で人とは違う感情を持つ事じたいが、ある種サイコパスなのらしい。
著書には中野先生の仮説も書かれている。人類はアフリカで誕生し、リスクを恐れず未開の地への移住。そして大航海時代の探検家、こういった恐怖や不安を感じにくい人たちで人間は世界へと拡散したのだと・・・。
また人類の祖先で「恐れる」個体と「恐れない」個体では生き残る確率は「恐れる」個体が高いはずで、長期的に「恐れる」個体数が増えていったと書かれてる。
そう、もう理解できる話しであろう。一部恐怖を感じない個体のお陰で繁栄した背景もあるし、また、その大多数は恐怖を感じる普通の人なのである。
ティーンエイジャーは「怖いもの知らず」。これも脳科学では証明されていて、前頭前皮質と偏桃体との結びつきが弱く、この特徴はサイコパス脳と同じなのだと。
そう、レーシングドライバーは自分ではそうは思っていないが、いわゆる普通の人々からすれば確実にサイコパスなのだろう。
断っておくが、サイコパス=犯罪者ではなく、そういった心理的特徴を総している。
単純にハイスピードの怖さに加えて走行時の湧き上がる感情
「もし、ここでクルマを壊したら」の「恐れ」。
「ここでもしクラッシュしたら・・・。」
これにはしっかりと説明がつく。
それはちゃんとマシンやタイヤが感じ取れてないから、そしてそのマシンコントロールに自信がないから湧き上がるのである。
未知への不安、不確実なものへの不安は少しづつ動作記憶を蓄積し前へと進めばいい。
1998年5月3日のGT富士でのクラッシュ。あの瞬間ですら「恐怖」は感じなかった。200km/hオーバーでフェラーリが向かって来たときに思った・・・
「あ、これ死ぬかも・・・。」
冷静に全て覚えている、全身に力を入れて踏ん張った。やっぱりオレもかなりおかしい。恐怖を感じにくいサイコパスだわ!笑
統計的には100人中1名がサイコパスなのだそうだ。選ばれたバカとして大満足。笑
もうひとつが「冒険遺伝子」だ。旅行に行きたい人と、そうでもない人。4人中1人がこの遺伝子を持つという。山、海、あくなき探究心が未開の地を切り開いた。
では、レーサーは皆、冒険遺伝子を持ち合わせているのだろうか?これには多くのドライバーを見てきたオレの意見はNOだ。
レーサーの休日はインドア派も少なくない。笑
最後に中野先生の書から、サイコパスの多い職業トップ10をご紹しよう。
1位企業の最高責任者、2位弁護士、3位マスコミ、4位セールス、5位外科医、6位ジャーナリスト、7位警察官、8位聖職者、9位シェフ、10位公務員!!!
どこにでもサイコパスはいるの
です・・・汗笑