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【フリーライター7ヶ月目】ライターのキャリアはどうなるの?

フリーランスになって7ヶ月が経過した。正直フリーになったばかりの頃は3ヶ月食べていけるのかどうかすら不安だったので、心底驚いている。お仕事でご一緒してくださる皆様、いつもありがとうございます。

さて、7ヶ月目を迎えたライター生活だが、ノウハウとして偉そうに言えることは何もなく、毎日締め切りに追われる日々である。夏休みの宿題が毎日ある感じ。ライターになる前にSNSで見ていたキラキラフリーランスとは程遠く、朝の4時に就寝し12時に起きるような生活を繰り返している。よく考えれば会社員時代の休日もドがつく夜型だったので、あまり変わっていないといえば変わっていないのだろう。とにかく、時間に縛られない生活というものにもだいぶ慣れてきた。

最近思うこととしては、「自分のこの先のキャリアはどうなるのだろう」ということである。もちろん今の目の前の仕事を頑張ることが最優先なのは重々わかっている。それでも「10年後は?」「20年後は?」と考えてしまう瞬間があることも否定できない。性格上、ある程度形が見えているゴールに向かって走ることは比較的得意な方だが、先が見えない景色の中を走っていくことが少々苦手だったりする。その点では、次に目指すものが明確だった社会人時代を少し懐かしく思うなどした。

ライターの次のキャリアといえば、一番最初に思い浮かぶのは編集者だろうか。あまりおおっぴらには話していないが、実は私には前職で編集者(正確にいえばマーケター寄りのWebディレクター)に近い仕事をしていた過去があり、今回独立するときにその視野を見据えて活動していくかも正直迷った。ただ、やはり自分としては「書く」ことが好きなのと、編集者に必要な適性が自分には感じられなかった(特に多くの人と連絡を取り合いながら進行をサポートする部分)ことから、現在はライター1本で活動している。そしてこれからも、しばらくはその予定だ。

とはいえ、きっとこの生活はそう何十年も長くは続けられないのではないか。色々と考えてみるものの、結局はそこに辿り着く。仕事があるないとかではなくて、ライター1本での“書いた分だけ”での切り売り的な生活にはいつか限界が来ると思う。もちろん「私は実際ライターだけで食べていますが!」という方もいると思うけれど、それはその人の能力の高さを褒め称えるべきだし(嫌味じゃなく本当に)、実際色々な工夫を凝らした努力の結果なはずだ。

それに、「実際にライターだけで食べている」と言っても、生きるために稼がなければならない額はそれぞれ違うわけで。結婚していて扶養内でパートタイムの仕事の代わりにフリーランスの選択肢をとっている方もいれば、私のように「ガチで生きるための一人分の収入」を稼ぐ必要があるという方もいるだろう。だから一概に難しいとは言い切れない側面もあると思うけれど、ひとまず来る限界を迎える前に、ライターに掛け合わせられるスキルを身につけなければいけないのだと思う。

と、まあ真面目な話になってしまったが、結論今の生活には概ね満足している。下北沢での一人暮らしも継続中できているし、それなりに自己投資や習い事ができるくらいには金銭的にも人権のある生活を送れている。そうそう、習い事は4月から趣味でイラスト教室に通い始めた。元々絵を描くのはすごく苦手な部類ではなかったが、得意というわけでも……というレベルで、いかにも微妙なラインである。そんな素人が、時間をかけてどこまで上手くなるのかも見ものである。

教室には同人誌を書いているのであろう絵の上手なお姉さんや、美少女イラストを描きたい男子高校生などが通っていて、技術レベルもみた感じバラバラ。普段温厚でほんわかした先生(30代前半くらい?)が、いきなり男子高校生の書いている美少女の下乳について熱いフィードバックをかましたりなど、微笑ましい光景も見られるから楽しい。基本的に個別指導で授業が進むので他の生徒との絡みはないが、パソコン越しに見えるみなさんの絵のうまさに毎回感動している。私も早く上手くなって二次元のイケメンや美少女をたくさん描きたい(切実)。あとは、いつか漫画も書いてみたい……まだまだ程遠い未来だけど。

私の絵はというとまだまだ下手くそで、とても人に見せられた代物ではないが、それでも「下手でも誰にも迷惑がかからない」というところに安心している自分がいる。誰のために描くわけでもないし、誰も私の絵に期待していない。編集も、クライアントも関係なく趣味としてやりたい放題ができることの贅沢さのようなものに触れるたび、文章に対してもそういう風に思っていた時期があったことを少し懐かしく思った。

もちろん、今でもお世辞にも文章が上手いとはいえないかもしれない。それでもお金をもらって書く以上は自分の中での精一杯をぶつけていくことが誠意であって、やはり「好きを仕事にすること」に体力が必要なのはそこなんじゃないかと思う。そしてそれ以上に、仕事にすれば嫌でも自分の実力を思い知らされることになるから。だからたくさんの大人が「好きを仕事にするのはやめておきなさい」というのだと、改めて思った。向き合い続けて嫌いになるから、じゃなくて“現実を見て傷つくから”。でも、ここまできたならもうやるしかない。それに、色々ごねてもやはり私は今の仕事が好きなんだと思う。

自分のこの先のキャリアがどうなるのか、まだ全くわからない。でもとりあえず、今は求められることをやるしかないのだと思う。先日取材で会ったある方が、「仕事も人生も、ぜんぶ一回性」と話していた。同じ瞬間は二度となくて、すべての仕事が人生で最後のもの。全部が一回しかない仕事で、多分二度と来ない仕事だと思っている、と。ならばその一回に汗だくで精一杯しがみつくことが、今の私にできることなんじゃないか。


2023.7.22
すなくじら


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