Starting Over
君がまだ幼い、ちょうど6歳になろうとしていた頃。
どうしてもやりたい、どうしても行きたい、どうしても入りたいと言ってきかず、母が泣きながら「まだ早い。あと数年してからでも十分に間に合う」と制止し訴えても、泣いて「やりたい!」と引き下がらなかった。
そのとき、「この年で、(わたしの意思も伝わらず)そこまで意思表示をするのなら、覚悟を決めよう」と腹をくくり、息子はバレーボールをはじめた。
あれから6年が経ち、その間に全国大会という結果を皆で出すこともできた。
そして、彼にとって小学生バレーボール、最後の年。
夏の大会の結果は出ず、本人が気づいているかどうかは分からないが、最後にもう一度殻を破る必要があるにもかかわらず、停滞と後退を行ったり来たりしている。
技術的には決して向上していないわけではない。だが、さらにもう一歩、もう一段上がるためには、迫力が足りない。
そのために叱咤する。
足りないところをあげ、そこを超えるように発破をかける。
それに応えよう、応えようと、小さな努力をする。小さすぎて他の誰も気づかないくらいの(笑)
でも、もしかしたら一番大事なことは、6年前に見せてくれたあのときの情熱なのではないか。
試合に出れるわけでもないのにエアバレーをしていた、あの熱意。
誰のためでもない、自分のために。ただ心のおもむくままに熱中していたあの姿を。大好きなバレーを見つけた喜びを体現していた君。
それを忘れて、評価されるためのアドバイス、結果出すための話ばかりをしていたことに気づく。
評価されなくていいんだ。
結果はもう出ているんだ。君が今もあのときと変わらず、それ以上にバレーが好きなことを。
君は君の情熱にしたがい、そのおもむくままでいい。
その姿に感動する誰かがいる。
君が、あのときの彼らに憧れたように。
もう一度やり直そう。
あの頃、君の情熱に完敗したように。
君はすでに勝っていた。
君のバレーが好き。
もう一度、あの頃のように、誰かに評価されるためにやるのでなく、自分の最高のために。
自分自身の喜びのために。