個性をいかす
育成という現場に携わらせてもらい、思う事。
指導者の中にあまりに減点法の中で子供達と接する人が多いとビックリする。
あれが出来ない、これが足りない、体の無理がきかない。
そりゃ子供だから。出来ない事もたくさん、足りない事もたくさん、体の無理なんてきくわけない。体の成長なんてみんな違う。
だから大人は、その子が出来ることをしっかり見つけ、その瞬間何をしようとしたのかを理解しなければいけない。
減点法ではなく、加点法で接するべきだと思う。
それぞれのチームスタイルがあり、いろいろなサッカー感を持った指導者がいる事は理解できる。勝たなきゃ意味がない、勝つことが全て。中にはそんな方もいるだろう。
もちろんサッカーだから、試合には勝ちたい。勝ちたいけど、そこまでのプロセスをどう作ってきたのかが大事だと思う。
その指導者、監督が自分の満足のために勝利を目指したら悲劇だ。ボールを扱える子より、背が大きい、足が速い、体が強い。そうゆう個性を持った子が、ただただボールを追いかけ、体をぶつけ、ゴールを守り、ゴールへ向かう。勝つ確率を上げるために。
そんな子にこそボールを自由に扱える楽しさ、考えてプレーする楽しさを伝えるべきではないか。いつかその身長も足の速さも大差がなくなってくるのだから。そうなった時に必要なのは、ボールを自由に扱える技術とプレーのアイデアだから。
そして、上手にボールを扱えるけど小さな子がプレーする機会が少なくなる。評価されない。これもまた悲劇。良いトラップが出来る、良いフェイントを持っている。それだけで加点。どんなに良いトラップが出来て、良いフェイントで抜いても小さい子が大きく足の速い子に向かってこられたらボールは取られるし、抜いても追いつかれる。それは減点ではない。
減点法は比較的簡単な方法で評価しやすいように思う。目に見えるもの、見えやすいもの。数字。
加点法は、目に見えにくく、数字では表す事が難しく、感覚的な部分もあるので、評価をする人間は本当に注意深く見ないといけない。
センスとはタイミング
どなたか忘れたが、心に残った一言だ。
まさに目に見えにくく、数字では表せないものだ。
育成は勝つ事が全てではない。なんて言葉は育成の指導者であれば絶対耳にしたことがあるはず。それでもそうならない現実が多くあるのは、そもそもその気がないか、減点法の考え方からくるものではないか。
子供の良さを見つけ、失敗を許容し、加点しながら成長を見守る。
育成だから必要な要素ではあるかもしれないが、しつける、教育する、やらせる、感覚が強ければ強いほど本当の成長ではない気がする。
指導者が子供達に出来る事なんて小さな事だ。指導者が子供を成長させる、子供を変えるなんておこがましい。子供達は自分で成長する。そのための小さなヒントを伝えられるくらい。だけどそのヒントを伝えられる事が出来た喜びは代えがたいものだ。
中学生年代を指導する立場ではあるが、指導者という感覚ではグランドに立っていない。子供達と魅力的なサッカーをするためにはどうしたらいいか、一緒に作り上げていきたい。そのための自分が持っているヒントは伝えたいし、子供達からもヒントをたくさん貰っている。
子供達の成長のスピードに負けないようについていきたい。
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