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九十歳。何がめでたい
90まで生きたいかと言われると悩む。
長生きできるに越したことはないけど
目も見えぬ、耳も聞こえぬ、
あっちもこっちも痛え痛えでは困るし
じゃあいつまで生きたいのって言われると
それはそれで悩むんですけど・・・
で、映画。「九十歳。なにがめでたい」
ネタバレ…あるっちゃあるけど、どんな状態でも映画見たら楽しいよきっと。これは特に。
![](https://assets.st-note.com/img/1721653174524-1p1ndM1CC2.png?width=1200)
原作者である佐藤愛子さんが執筆活動をやめてからエッセイ「九十歳。なにがめでたい」を連載し、その後の生活を描いたヒューマンドラマです。
まわりから「卒寿ですね」なんて言われても
耳は遠いし、少し歩くと疲れるし、すぐ忘れるし、耳は遠いしで
「九十歳? なにがめでたい!?」
と吐き捨てて物語が始まります。
・ファーストインプレッション
最初に見てて思ったのが
シニア向けの映画だけあって
映像表現がとっても分かりやすい。
演者がオーバーだなって思ったんですけど
映画よりは少し演劇じみてるというか
笑いのトリガーが分かりやすいんですよね。
綾小路きみまろの
「あぁ、あれから40年!」ときたら
あぁ次は面白いこと言うぞってな具合。
笑いのトリガーだけでなく
情景を分かりやすくするシーンも気持ち長め
冗長かと思われがちだけど、笑いが直接的なんだから
これぐらいの緩急があったほうが退屈しなくて済むんだよね。
実際のエッセイの中身を環境映像と共に読み上げるのも良かった。
佐藤愛子さんってすげー面白いんだな!
って思わせるには1番手っ取り早い方法だよね。
脚本だけではできない部分。
エッセイをそのまま用いることで主人公の等身大を簡単に表すことができるんですよね。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/148558116/picture_pc_0a0216872403acd9b4d54276960b77ce.png?width=1200)
・メッセージ性
昨今のドラマでもよくみます
アップデートという言葉。
叱咤激励はパワハラに
世間話はモラハラに
いくら高齢化社会とはいえ、社会は自分たちより年下で溢れかえる。
飛躍する技術に置いてかれ
若者との価値観の違いに苦悩
自分自身も考え方も
アップデートして行きましょうね!
と言われる。
まぁ生きにくそうだなって思いますね。
良しとしていたものが悪になるってやっぱ
はぁ?って思いますもん。老人に限った話じゃないかもね。
佐藤愛子さんも編集の人もそういった「生きづらさ」に当然腐るわけです。そう、病むんです!
50も90も病むんです!自分本位に!不甲斐なさに!元気の無い時はてんで上手くいかない。
これはもう全年齢共通なんですよね。
どれだけ金持ちでも成功しても病む!
どれだけどん底で不運続きでも追い打ちで病む!
でも、それを悲劇で終わらせないのが
年をとった人の強さでもあるんですよね。
みんな自分の可愛がり方を知っているんです。
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90歳のおばあさんのヒューマンドラマ、
下り坂のようにみえても一部を切り取れば
まだまだ山あり谷あり。
ちょっと笑ってちょっと泣いて、またちょっと笑える映画でした。ぜひ観てみてください。