中小企業診断士試験 受験4年目(2018)一次7科目合格 二次 合格
※経緯が長々と書いてありますが、一番下に「まとめ」がありますので、お時間のない方はそちらだけでもご覧ください。
「受験1年目(2015)一次437点 合格 二次221点 不合格」についてはこちら
「受験2年目(2016)一次免除 二次215点 不合格」についてはこちら
「受験3年目(2017)一次4科目250点合格 二次206点 不合格」についてはこちら
1.やらない決意(2018年4月〜6月)
3年間の結果を受け自分の能力のなさ、二次試験に対する適性のなさを痛感。そもそも資格取得を目指し始めたのは、ビジネスマンとしてのスキルアップが目的であった。しかし、ここ数年は受験勉強に時間をとられ新聞も読めず社会情勢を掴めていなかったり、夜も勉強のため部下を置いて帰ることが多く、コミュニケーションが希薄化していたりした。今一度、通常業務に集中し質を上げることで、コンサルティング能力を高め、その結果数年のうちに試験に受かればいいと思うようになった。
仕事面では、企業買収の検討案件や、数件の新製品の企画開発、採用数拡大/採用関連業務の増加(新卒100名採用)等があり、各業務において診断士目線を意識して活動するようにした。
ちょうどこの年、長男が高校3年生となり受験期を迎えるため、「長男の大学受験 第一志望校合格」を自分の最優先事項にし、診断士受験についてぼちぼちやろうと決める。
勉強時間
4月 0時間
5月 0時間
6月 0時間
2.一次試験対策(2018年7月)
長男はAO入試での受験だったので8月初旬が一次選考書類出願の締切日。
3月より塾に通い、7月はいよいよラストスパートの時期であった。
長男の勉強する姿を見て、7月初旬より勉強を再開した。昨年、科目合格したので今年は一次試験は免除年だが、一次試験7科目受験の申込みをしていた。まず昨年の過去問を一度解く。去年4科目はやったばかりの問題、他は初見であったが400点近くを取ることができた。これはもしかしたら、中小企業経営・政策で75点くらい取れたら7教科で合格できるのでは?と思い、1年目、3年目に活用したTAC WEB通信の中小企業経営・政策を申込む。
一次試験対策は、中小企業経営・政策一本に絞ることにした。
1~3年目までは勉強時間の記録を取っていたが、この年は記録を取ることを止めた。理由は、時間をこなすことでやった気になるのを防ぐことと、今までのやり方に拘りたくないから、である。
勉強時間
7月 約20時間
3.一次試験から二次試験まで(2018年8月~10月)
一次試験結果
経済学・経営政策 76
財務会計 60
企業経営理論 53
運営管理 70
情報システム 52
法務 64
中小企業経営・政策 68
合計 443点 合格
毎年、一次試験の翌日に解答が発表されるので、その段階で合否の判断が出来るが、今年は試験を途中退出する時に、問題用紙を試験官に渡さねばならず、その関係で何科目か自己採点が出来なかった。だいたい410点くらいはいっていたが、もしかしたら7科目で受かっているかもとも思えた。9月の正式発表を見てみると予想通り一次試験7科目で合格となっていた。(法務の得点調整の影響大)
中小企業経営・政策以外は何の勉強もしていなかったので、この3年で必要な知識が身についていることを認識したのと、今年は何となくついているような気がした。
二次試験の勉強は8/24から開始した。
まずは、ここ3年の失敗を振り返ることにした。
事例1 3年間で47点→59点→48点
初年度は全く刃が立たなかったが、原因は知識・演習不足で認識はあった。
2年目は学んだ知識をうまく活用できたので想定通りの点数だった。
問題は3年目で、自分でも出来たと思ったのに点が悪かった。原因は自分の書きたいことを自分勝手に書いてしまったこと。
対策:設問の意図を理解する、与件を忠実に活用する
事例2 3年間で57点→52点→53点
事例1.3と比較して、勉強時間をかけなかった割にはある程度は点数が取れていた。ただし、ターゲット設定とか経営資源の活用など「マーケティングの基礎」が出来ていなかった。
対策:ターゲットを意識する、経営資源を活用する
事例3 3年間で57点→45点→46点
1年目は全く出来た認識がなかったのに57点だった。
2年目、3年目は逆に出来ていたと思っていたのにC判定であった。
初年度は設問の切り分けができず、与件から貼付けただけの解答であったことを覚えている。やはり与件を忠実に活用することを意識することとした。
対策:設問の意図を理解する、与件を忠実に活用する
事例4 3年間で60点→59点→59点
自分では得意科目という認識であったが、3年間であまり得点を稼げていなかった。2年目3年目には設問の意図を履き違え失点するケースがあった。
対策:全体のストーリーを意識し設問の意図を理解する
全体的な対策としては「対応付け」をしっかり行うようにした。
「対応付け」とはTACの方にはおなじみの言葉ではあるが、与件の各段落を設問のいずれかと対応させることで、各設問は対応させた段落を中心に解答を作り上げていく。2年目のグループ学習の時の合格者の方も、対応付けが重要と言っていたが当時はその重要性がいまいちよくわからなかった。
出題者の意図を理解し、与件を忠実に活用することを考えた場合
・ストーリー的にどの段落がどの設問にリンクしているか?
・どのワードを活用するのか?
を達成するには対応付けが重要な役割を持っていると感じた。
事例4対策は「事例4 全知識・全ノウハウ」と過去問5年分で、同じ問題を何回もやった。ストーリー全体で何を問われているかを意識するよう心がけた。
診断士ブログの老舗「一発合格道場」で今年は良記事が多かった。
その中で一番良かったのがだいまつさんのこの記事。
【永久保存版】平成29年度2次試験事例Ⅲ超高得点解答にみる2次試験合格のポイント!
事例3の生産管理と生産性向上など頻出論点を、多面的に分析した素晴らしい記事。こういったものも参考にした。
4年目の今年は、過去3年間で身につけたものを、いったんすべて捨て
ひとつひとつ必要なものを装備していくような感覚であった。
勉強時間
8.9.10月 約70時間
4.二次試験から二次試験結果まで(2018年10月~12月)
9月末、長男のAO入試の一次選考合格の知らせが届く。二次選考は1週間後の10月初旬。二次選考は面接のため、急遽対策を行うこととなる。一週間様々な練習をこなし二次試験に望む。その2日後に発表があった。
なんと第一志望校に無事合格!!
長男は非常に努力はしていたが、今年はやはりついているなぁと感じる。
長男より「今年はついているからお父さんの試験もきっと大丈夫だよ」と背中を押される。
この年は、二次試験当日まで模試も受けず、事例を80分で解くこともなく、一日2事例やることもなく本番に望んだ。
二次試験前に考えた各事例での得点イメージは
事例1 55 C判定にならない
事例2 65 できるだけ稼ぐ
事例3 55 C判定にならない
事例2 65 できるだけ稼ぐ
これでギリギリ戦えるのではと考えた。
しかし実際試験を終えた感想としては
事例1 100文字解答を80文字ほどで終える解答があったりイマイチ手応えがない。 予想得点45~55点
事例2 経営資源をうまく活用は出来たが、3C分析とボランティア活用は、減点される可能性あるかも。 予想得点50~60点
事例3 マンマシンチャートとコンピュータ化で全く手応えなし。やらかしたかも。出来の悪さに落ち込む。 予想得点45~50点
事例4 買収と感度分析は出来たような気もするが全部間違っている可能性もあるかも。 予想得点50点~65点
合計 190点~230点
例年、試験終了後は半々で受かっているかもと思っていたが、今年は全然ダメだという思いしかなく不合格を確信。今年は勉強時間も少なかったし、しょうがないと納得。2.3年目の時には当日中に書いていた再現答案も書く気が起きない。
翌日以降、各社の二次試験解答速報が発表される中で、事例4については経営分析はほぼ一致、数値問題は2(3)以外はあっていたので、いつもより点数は良さそうだと思えた。仮に75点を取っていたらどうなるだろう?と考えたが、事例1と3の出来からどうやっても240点はいかないだろうと思えた。
12/7(金)二次試験発表日
いつもは気になってしょうがない合格発表だが、今年は全く気にならない。逆をいうと、どうせ受かっていないから、見ることによって不合格を受け入れなければいけないため、それが嫌で見ないこととする。明日になり、合格通知がこないことで、不合格の事実を受け入れればいいやと思う。
12/8(土)
昼過ぎに2年前の勉強仲間の方から、合格したとのメッセージが届く。
お祝いの言葉を伝えつつ、当然こちらの結果も伝えないと変なので、試験結果を見てみることにする。
そうしたらなんとびっくり、番号があった。念の為、何度も見返したが番号がある。去年は何度見返してもなかったのに。
慌ててメッセージを返し、興奮状態に。数時間したら書留で口述試験の案内が届いた。来週の口述試験対策をしなければとすぐに現実に戻る。
二次試験終了からしまっていた試験問題を出し読み返す。全然覚えてない。TACの想定問題集とタキプロの資料で練習を重ねる。前日にはTACの口述試験のセミナーに参加し、「事例企業がよく頭に入っていて大丈夫でしょう」と言われる。
口述試験当日
受験者番号が若かったため、順番は一番最初の10:00だった。
1クール6分で交代なのであっと言う間に終わるだろうと思い望む。
入室し、面接官は2名
面接官1(右の方)「事例1についてです」
「A社は研究開発企業ですが~ 」※以下忘れ
→緊張で問題の意味を履き違え変な解答をする 面接官は首をかしげる
「小さなプロジェクトチームを作る上での留意点する点は?」
→解答するが的を得ていないため、面接官は頷きもしない
面接官2(左の方)「事例3についてです」
「日本企業の生産拠点が海外に移っている理由はなぜですか?」
→無難に解答
「一社に売り上げを依存している場合のリスクは何ですか?」
→無難に解答
面接官2(優しそうな方)が、面接官1に向かい「他に質問ありますか?」と終了っぽい流れで話すが・・・・
面接官1(右の方)「事例1についてもう一度お伺いしますね」
「研究開発企業が大手や大学などとの共同で開発研究開発力を行なっていることのメリットは?」
→解答するが、頷きなし
「創業の社長が社長で居続けることのデメリットは?」
→変な解答してしまう 頷きなし
「研究開発企業が技術力を高めるためにはどうすればよいか?」
→無難に解答 多少リアクションあり
「A社の離職率が低い理由はなぜですか?」
→TACの想定問題と同じのため、自信を持って答えられた。 面接官の方も大きな頷きをしてくれて終了
合計8問 手に汗握る面接だった。
12/25(火) 合格発表
口述試験の出来より、若干の不安はあったが無事合格していた。
4年に渡る戦いが終わった。まさか今年受かるとは思ってもいなかったので、私自身も驚きの結果だった。
一言で言い表すと「ついていた。」
後日得点開示の結果
事例1 63
事例2 55
事例3 59
事例2 69
合計246点
【まとめ】
勉強時間
一次 約20時間
二次 約70時間
合計 約90時間
費用
TAC WEB通信講座 中小企業経営・政策 27,000
ふぞろい合格答案11 2,400
事例4全知識全ノウハウ 3,000
一次試験代金 13,000
二次試験代金 17,200
TAC口述試験セミナー 3,000
合計 65,600
**2018年二次試験に合格出来た理由 **
まず、ここ3年で身についた二次試験のダメなノウハウを捨てることが出来た。逆説的だが「今年は受からなくてもいい、試験合格だけが人生の目的ではない」という気持ちで取り組めたことで、俯瞰的に自分を見ることが出来、過去の敗因を分析し、やるべきことを整理することが出来た。
気をつけたこと
1.出題者の意図を意識する
2.全体のストーリーを意識する
3.この試験は模範解答がありその言葉を探すゲームだと思う
4.与件と設問の対応を意識する
5.抜き出す時は、与件から忠実にコピペする
6.事例4は計算問題でなく、経営に対する助言問題、ストーリーと出題者の意図を意識する
1.2.4.5については、試験ブログやTACなどの様々な方が言われていることで、わたしも1年目から耳にする機会があった。しかし、その本質の意味を理解することと、実際実行出来るまでに4年の時間を費やした。
**中小企業診断士 試験に合格するためには**
4年かかって合格したわたしが合格論を語るのは恐縮ですが、4年間で様々な経験をしてきたとは自負しているの、その観点から総括します。
1.全体像を掴む
この資格のゴールはコンサルタントとしての能力を身につけることである。
求められている能力イメージは、二次試験の口述試験で事例企業に対して経営の助言が出来ることである。TAC二次試験過去問題集より口述試験の問題をみてどういったレベル感のことが求められているかを知ること。
その後、二次筆記試験の問題と設問を見て、どういったレベル感のことが求められるかを知ること。
2.一次試験対策
一次試験はマークシートなので、反復練習をこなせば7教科420点の合格ラインは、それほど難しくない。しかし、一次に受かることだけを目的として勉強するのはダメ。私がまさにそのパターンで、過去問分析マスターをやりまくることで一次試験は初年度から3回合格することができた。しかし、それはマークシート問題で2択に絞れる等のテクニックがついただけであった。
一次試験については問題を解くだけでなく、理解度を上げて学習すること。企業経営理論、運営管理、中小企業経営・政策、財務は特に力をいれる。
教材はTACスピードテキストなどの教材だけだと初年度はきつい。TACの本科生がベストだが費用が高い。通勤講座も最近評判が良いと聞くので、複数校で検討するのが良いかと。
一次試験は一次免除の年も必ず受けること。この試験で二次試験を2回以内で合格出来るケースは感覚的に25%位。そう考えると75%の人は二次を3回受けることになる。そうすると一次免除の年は、二次に特化したがるがそうすると二次に落ちた時に、翌年7教科で一次試験を受けることになり、かつ2年ぶりの一次試験の勉強になるためとても大変。なので一次試験は毎年受けること。
中小企業経営・政策はTAC WEB講座がオススメ。昨年までは洞口先生の講座で、語呂合わせなどでとても面白く学習することができた。今年から講師の方が変わったが、内容は変わらず良い。この科目は時間をかければ70点以上獲得できるので、費用対効果の高い科目である。そもそもこういった中小企業の動向を知らないでコンサルタントを目指しているというのもおかしいのでしっかりと覚えておいたほうが良い。
3.二次試験対策
よく言われることだが、聞かれていることに素直に答えること。
出題者の意図を意識すること。ストーリーを読み解くこと。
個性的な解答や、自分の書きたいことを書くのはダメ。
国家試験なので答えは必ずある(複数の模範解答、ワードレベルでは多数あるはず)与件の中にそのワードがあるのでそれを探しに行く作業と捉える。
対応付けで全体のストーリーを理解、どの段落からワードを抜き出すか判断し、与件から忠実にコピペし解答に反映する。
事例4は基礎的な計算スキルは必須。CVPと感度分析、キャッシュフロー計算書は絶対に間違えないレベルにする。
計算力を身につけた次のステップは、ストーリーを理解し出題者の意図を意識すること。事例4は計算問題ではなく、財務的な観点で経営の助言をすること。何を助言すべきかを意識すること。
教材についてだが、TACは微妙。二次の演習問題をすることで力がついているかは不明。ただし、合格する人はTAC模試でも良い点を取っている。
ふぞろいは良い。全知識は微妙。
過去問を自分で考え、何度も解くことが良い。
勉強会チームを結成することは良いが、深い部分まで話し合える仲間(レベル感が同じかつ関係性良好で本音で言いあえる)ができれば良いが、そうでないとグループディスカッションをやるだけでやった気になるので注意。
関連書籍を読むのがいいという方もいるが、あまり関係ないと思う。その時間があるなら過去問を読んだほうがいい。
4.勉強方法
毎日勉強する。
量よりも質が重要。
浅く広くより、深く、深く。
以上になります。
お読みいただいてありがとうございます。
今後は中小企業診断士としての活動を書いていければと思います。
2014年10月25日から中小企業診断士の勉強を始めて4年かかり、なんとか合格することができました。 受験時代の記録と、診断士としての活動を中心に書いていきたいと思います。