雑記:『86ーエイティシックス』再会シーンの彼岸花による演出で身震いした
約3ヶ月の延期を経て放送された、22話「シン」。
モルフォとの戦いは決着し、作画的に一番重い部分を乗り越えたはずなのに「なぜここで延期なのだろう」と思っていたが、見事にその疑問が氷解する演出にお目にかかれた。
Aパートでは、主人公のシンが死の呪縛に捕らわれている様が描かれる。幼少期に兄に殺されかけ、戦場で数多くの仲間を見送り「死神」と呼ばれた過去から、死に場所を求めて戦い続ける。
差し違える覚悟で挑んだ戦いにも一人生き残ってしまうが、残敵が現れ、刃が振り上げられた。その瞬間、1クール生死不明だったヒロイン・ミリーゼが満を持して登場する。
神懸かった演出は、ここから始まる。
青い蝶(モルフォ)で埋められた大地は、ミリーゼが進むごとに燃えるような彼岸花の群生地に戻っていく。
彼岸花は「死人花」などの不穏な別名で呼ばれるように死を想起させ、あまり縁起の良い印象を持たれない。ともすればこのシーンも、ヒロインの登場シーンに似つかわしくないと感じる人もいるだろう。
しかし、彼岸花には「天界に咲く花」という別名もあり、吉兆を告げる意味合いを持つ。
また、彼岸花は土葬を行う際にも重宝され、その毒性でネズミやモグラから遺体を守る効果があったとされる。つまり、死人を安らかに眠らせる役割を持ち、シンが纏う死人の思いを安らかに眠らせるという演出も感じさせる。
最後に、彼岸花には「再会」という花言葉があり、言うまでもなく主人公とヒロインの再会シーンとしてこの上ない舞台装置となっている。
※厳密にはミリーゼはシンを認識していないが、主観はシンに置かれているので……
単に彩りとして美しいばかりではなく、ヒロインが進むごとに彼岸花が色を取り戻すのは、トリプルミーニングが込められた神懸かった演出だった(と勝手に思っている)。
自身の備忘録としてスクリーンショットを載せさせていただきましたが、折を見て削除しようと思います。原作未読なので、検討外れなことを書いていたら申し訳ない。
あなたのサポートによって、僕はサミットで半額のお惣菜を一つ多く買うことができます。