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「やる気が出ない」が口癖の人が、今すぐものづくりをすべき理由 #SUNABACO
こんにちは、SUNABACOスタッフのカンパネルラです。
突然ですが、みなさんは「報酬回路で脳がバカになった経験」をしたことがありますか?
もしないのなら、あなたが日々「やる気が出ない」とつぶやく理由は、そこにあるのかもしれません。
「結果が分からないけど、やっちゃう」という行動は、報酬回路によって過去の成功体験から導かれるからです。
ぼくの過去の体験をもとに、それをお話ししていきましょう。
最初の成功体験
ぼくがインターネットに、本格的に「なにか」を投稿しはじめたのは中学1年の頃。
Youtubeのゲーム実況が好きだったから、自分もやりたいと思ってゲーム実況の動画を投稿し始めた。
当時は、小学校すらまともに教室に通うことができず、ちょっとYoutubeが好きな、ただの落ちこぼれの学生だった。
時期的には、はじめしゃちょーさんが動画投稿を始めた頃、HIKAKINさんがゲーム用のチャンネル、「HIKAKINGames」を立ち上げる前くらいになる。
収録機材なんてものはないから、家にあったコンデジを勝手に使って、ゲームボーイを直撮りしていた。
撮るのにもゲームボーイの横に本を積んで、百均の三脚を立てて撮影した。(ゲームプレイは死ぬほどやりづらかった)
ちなみに動画自体は10本くらいでやめてしまって早々に生放送に移行するのだけど、生放送という空間によって「コミュニティー」という感覚をこの時期に知った。
そして10本程度の無名投稿者ながら、各回、数千回くらいずつの再生数があった。その結果を見て、脳内の報酬回路が少しずつ回り始めた。
駅のホームで歩いていたら、動画にコメントがついた通知が来て小躍りしたのを今でも覚えている。
当時、ゲーム動画を撮っていることどころか、ゲームボーイを持っていることすら親には秘密にしていた。完全に自分一人のフィールドだ。
そういう意味でも、自分がやったことに結果が出る快楽は強かった。
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大量のインプットと大量のアウトプット
学校は早々に不登校ぎみになるのだが、部活の演劇部だけは毎日熱心に通っていた。
というかもはや、学校ではなく学校に入っているホールに通っていた。
演劇は楽しかった。少しでも引き出しを増やしたくて、時間を見つけては小さな劇場の舞台を見に行き、部屋ではアニメを1日で全話見る日々が続き、図書館に籠もっては小説を読み漁り、果ては美術館や博物館にも通い、気づいたことを片っ端からノートに書いては舞台に昇華させていった。
そして、数ヶ月ごとに舞台をつくった。
人数が少なかったので、やれることはなんでも自分でやった。
映画で言う監督である「演出」を主戦場にしながら、デカい板をのこぎりで切ってパネルや箱をつくり、本番中は音響卓でフェーダーを動かしたあとホールの階段を登って照明卓で照明を動かし、その足で裏の通路で舞台袖まで行って役者として出たりしていた。
そんな中、たまたま県立の劇場の大ホールで一人舞台をする機会があった。
脚本も音響プランも照明プランも自分で書いて、自分で役者をやった。全部の演出を自分で考えたけれど、自分の稽古だけは自分で見れない。これは難しかった。(バカ)
演出をした舞台の音響卓にいる時は、幕が下りる瞬間、舞台が会場全体の意識をコントロールしきったことを感じる。鳥肌と脳汁がヤバい。
役者をやることはそう多くなかったけれど、舞台の上はたくさんのお客さんの意識がこちらに向いていることが伝わってくる。そしてそれを直接コントロールすることができる。これもこれで楽しい経験だった。
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一人舞台が幕を閉じてホワイエでお見送りをしている時、あるお客さんがぼくを見かけた瞬間猛ダッシュでこっちに走ってきた。
すごい顔をしていたから、なんだ殴られでもするのかと思ったら、「めちゃくちゃすごかったです!!」って、舞台の感想をまくし立てるように語ってくれた。
この一人舞台は、普段の舞台と違ってほぼすべてを自分一人で考えた。
そういうものにこんなフィードバックが返ってきたのは、とにかく刺激的な体験だった。
普段の舞台ではどれだけ直接感想をもらっても、エゴサで感想が並んでいるのを見ても、感想ボードが感動のメッセージで埋まっているのを見ても、「よしよし、やってやったぞ」といった感じなのだが、あれだけは何故か頭を殴られたような衝撃があった。
それからも毎日毎日、大量のコンテンツを見て糧にしていった。
舞台という、Youtubeにアップする動画より遥かに曖昧で、先の見えないものを作り続けた。
そして客席にはお客さんがいて、その結果を肌で感じ続けた。
つくったものに、反応がある。
その経験が積み重なり、いつしか「先の見えないものをつくる」ということが、自分の中で当たり前のものになっていった。
もう、迷いはなかった。
爆発
舞台をやめるのと同時に学校もやめて、完全なる引きこもりになった。
そして引きこもり生活の中、とあるオタク的なコンテンツにドはまりした。
既に「作って、出して、反応がある」という回路は出来つつあったので、時間が大量にあるという引きこもりの強みを活かして、毎日ファンアートを描き、ファン向けのツールをGAS(Google Apps Script)で作ったりしていた。
動画も作り続けた。
当時はお金が無かったので、WindowsのOSがまともに動かないレベルのパソコンを借りてきてUbuntuを入れて動かしていた。
ソフトも無料のツールを活用して、GIMPやらAviUtl、Studio Oneあたりを無理やり入れて、動画を作って出していた。
そんな中で、ファンメイドのゲームを作ったことがあった。
当時は全くプログラミングが書けなかったので、「WOLF RPGエディター」というフリーのRPGツールを使って作った。
「フラグ」がどういうことなのか?変数とは?関数とは?みたいな感覚は、実はここで獲得した。
そして作ったゲームを、小さく作っては公開して、まわりのオタクたちに遊んでもらってフィードバックをもらい、改善していった。
ありがたいことに配信で遊んでくれるオタクもいた。いくつかのバージョンを作ったけど、ブラウザ版だけで4桁のプレイ数があった。
プレイ数達成で、プラットフォーム側から何度かツイートも出してもらった。
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そんなことをやっていたある日、知り合いのオタクから「今すぐ〇〇ちゃんの生放送に行け」とLINEがあった。
何事かと聞いたら、「お前が作ったゲームを生放送でプレイしてくれてる」と。椅子からはね飛んで見に行った。
何千人もの視聴者さんの前で、キャラクターの「中の人」が、ぼくの作ったゲームをプレイしてくれていた。
しかも、全員ぶんの声をつけて。
もちろんその方のキャラクターもいた。実質フルボイスである。
報酬回路が、ぶっ壊れる音がした。
当たらないこともある。
でも、なにかしらものづくりを、チャレンジを続けていれば、ある時大きく当たることもある。
その回路が完全にインストールされた。
もう、止まらない。
ものづくりを超えて
これまでのものづくり体験で、ものすごく漠然と言ってしまうなら、
「やったら、何かが起こる」
という回路がインストールされてしまった。
その後は、ものづくりにとどまらなかった。
地元のデカい実業家の方たちに会って話を聞いてもらったり、東京で一文無しのまま若い起業家の皆さんを突撃してお話を聞いて回ったり、飛行機を取って沖縄であったSUNABACOのトークイベントに行って、その後入社したり。
とにかく「やったら、何かが起こる」という回路が、ぼくを突き動かし続けた。
今も、ものづくり自体もいろいろ続けている。
お仕事のプログラミングの合間に趣味のプログラムを書いて色々作ったり、
ゲームも、Vtuberさんのファンメイドゲームをファンアートとして1日で作ったり。
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ゲームでいうと、友達の漫画家さんの自主制作ゲームをお手伝いしたりもしている。
ちなみにその友達の漫画家さんは、週刊の原稿に関わりながら、アナログのドローイングの動画をガンガンあげながら、そしてバイトまでやりながら、気分転換にゲームを個人で作ったりしているバケモノである。
ものづくりをして人と関わっていると、まわりにこういうものづくりジャンキーみたいな人が増えていく。
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周りにものづくりジャンキーが多いと、必然的に目にするアウトプットも多くなっていく。
そうすると、「あれ?自分は何かやってるんだっけ?」と、冷や汗が額をつたう。これはものづくりだけにとどまらず、日々の生活すべてにそんな視線が向かう。
「ここしばらく、人に言えるようなことしたっけ?」って。
仕事だと、「良い仕事」ほど目に見えず自然なものだったりする。けれど、ものづくりはアウトプットが目に見えることが多い。
その刺激は大きい。
作って出す。周りをそんな人で固める。
だから、「なんかやる気が出ないな」「やっても上手くいかない気がするな」って方は、なんでもいいからものづくりをしてみてほしいのです。作るものは、文章でも、写真でも、動画でも、手芸でも、料理でも、なんでもいいのです。
目に見えるということは大きい。
そして、それを人に見せ続けてほしい。
上手くいかないかもしれない、と思っていても、自分で上手くいったって思えるような反応があるまで、扉を叩き続けてほしい。
一度「やったら、何かが起こる」という体験ができたら、そこからずっと、その体験があなたの背中を押し続けてくれるのです。
先の見えないものを、信じてチャレンジできる力。
それは、「ダイブする能力の獲得」と言ってもいい。
そして、作って出すことを続けていれば、必ず周りにものづくりジャンキーが増えていきます。
そうすればしめたもの。やらない理由は、どんどん勝手に潰されていくはずです。
けれども、その第一歩みたいなものって難しかったり、1人だとどうすればいいか分からなかったりする。
そんな時は、ものづくりをしているコミュニティーに自分から飛び込んでみてほしい。SUNABACOはそのひとつですが、SUNABACOでなくともいいと思います。
そしてそれは、むしろ「今までものづくりなんて……」って思っている方こそ、やってみてほしい。そしてものづくりの経験を、チャレンジの背中を押してくれる経験にしてほしい。
それはこの先ずっと、ものづくりにとどまらない影響を与えてくれるでしょう。
おおげさな話ではなく、
あなたの人生を、ここからつくりかえるんだ。