AIで造船業界を効率化_業務時間を1/6に短縮【AI人材育成講座成果発表会_チームi】
はじめに
AI人材育成講座では、AIを用いた現状の業務が抱える課題分析から解決するための卒業生制作発表を行い、複数チームでトーナメント方式の発表を行いました。
このnoteでは、造船業界が直面する現場の課題解決に挑戦したチームIの、「船の図面を判別し、仕分けするモデル」の開発経緯と今後の展望についてまとめました。
船の図面の仕分け問題に立ち向かう
まず驚くべき事実から。船1隻を建造する際に必要な図面の種類は、なんと1,700種類以上。
この膨大な図面は造船所やメーカー間で日々データとしてやり取りされています。
これらの図面を正しく仕分けする業務は、BEMACの設計部の事務員4人が手作業で行っており、1日あたり5~6時間も費やしているのが現状です。
図面仕分け業務の課題
図面の仕分け業務は事務員にとって大変な負担となっています。
すべての図面がタイトルだけで内容を特定できるわけではなく、英語や専門的な図が多いため、設計業務に不慣れな事務員が内容を理解するのは非常に困難です。
このため、ミスの発生や作業の遅延が避けられない状況にありました。
また、勤続3年から10年のベテラン事務員が担当しているため、人材の入れ替わりによる教育コストの増加も課題の一つです。
AIを使った自動化の可能性
チームIは、MicrosoftのAzure AI Document Intelligenceを活用し、図面約200件を読み込んで系統図の自動判別モデルを構築しました。
系統図は、動力系統図や照明系統図など多くの種類に分かれるため、これを正確に判別することが鍵でした。
結果、高精度で正しい判別結果を返すモデルを開発することに成功しました。
時間短縮の成果
このAIモデルを用いた場合、図面の内容を判別する時間が従来の3分から最長でも30秒に短縮され、作業時間が1/6になりました。
この成果は、単なる業務効率化だけではなく、造船・海事業界全体の課題解決に向けた大きな一歩です。
今後の展望
チームIは、今後さらに多様な図面の種類に対応できるようAIモデルを改善し、仕分け作業の全自動化を目指します。
図面判別後のファイル名の変更やフォルダ移動などの一連の処理を含めた完全自動化を目指し、造船業界が未来に向けてさらなる飛躍を遂げるための基盤作りを進めていきたいとしています。
最後に
業務効率化の話だけではなく、造船・海事業界が抱える課題の答えの1つになると考えます。
業界内では、BEMACに限らず多くの関連企業が同様の図面仕分け問題に直面しており、このシステムの導入はその課題解決につながると考えられます。
実際の発表の様子はYoutubeからもご覧いただけます。
本戦の様子はこちら
最後までお読みいただきありがとうございました。
SUNABACOのAI人材育成講座は、AIを利用したデータ分析を行い業務の問題点を洗い出して解決することができる人材の教育を目指しています。
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