カイトリ専門店の業務デジタル化とデータ分析【AI人材育成講座成果発表会_チームO】
AI人材育成講座では、AIを用いた現状の業務が抱える課題分析から解決するための卒業生制作発表を行い、複数チームでトーナメント方式の発表を行いました。
今回は卒業発表会での予選チームOでの発表を見てみましょう。
チームOは「買取専門店の買取記録のデジタル化とデータ分析」をテーマにAIを用いたアプリ開発を進めました。現場の課題を解決し、業務効率化を図ることで、経営の意思決定をサポートする取り組みです。本部担当者としてデジタル化を推進している歌さんの現場経験と熱意、チームメンバーそれぞれの知識やスキルを組み合わせて成果をあげることができました。
プロジェクト背景と課題
買取専門店では、長年手書きで買取記録を管理してきました。この手書きの管理方法には、いくつかの大きな課題がありました。まず、データの管理が非常に煩雑で、店舗全体の売上や在庫、どのような商品がよく取引されているかなどを把握するのが難しかった点です。また、手書きで行われているため、データのミスや遅延が生じることもあり、分析に必要な情報が正確に得られないという問題がありました。
例えば、手書きの買取記録には、商品名、買取金額、日付、そして累計金額が記載されていましたが、それらを毎月の売上動向や商品別のトレンド分析に活かすことは、非常に手間がかかる作業です。また、紙の記録は年数が経過するにつれて、保存や管理が難しくなり、過去のデータに基づいた戦略的な意思決定ができない状況に陥っていました。
ここで私たちが目指したのは、この業務プロセスをデジタル化することで、データの収集・管理・分析を容易にし、経営判断の質を高めることです。
また、店舗スタッフの業務負担を軽減することで、現場の効率を上げ、顧客サービスの向上にもつなげたいと考えました。
チームメンバーの役割とプロジェクト推進
チームを構成するメンバーは、歌さん、岩さん、太郎市町さん、そして私(福皿)です。歌さんは、カイトリ専門店の本部でデジタル化推進を担当しており、今回のプロジェクトのアイデアを持ち込んでくれました。彼女の店舗での経験をもとに、現場のニーズや課題を深く理解し、それを技術的にどう解決するかという観点で進めることができました。
岩さんは、買取データの分析に非常に熱意を持っており、これまで手作業で行ってきたことをAIを活用して自動化することに大きな関心を寄せていました。彼女の熱意がチーム全体を引っ張り、デジタル化の方向性を定める一助となりました。
プロジェクトの詳細
私たちはまず、店舗用の買取記録入力用アプリケーションを作成しました。これにより、各店舗で買取が行われるたびに、そのデータを簡単に入力し、記録できるようになりました。入力は非常にシンプルな項目に絞り込み、手書き記録に比べてはるかに迅速に行えるようにしました。
入力項目: 商品名、買取金額、日付、買取カテゴリなど、必要最低限のデータに限定しました。店舗スタッフが負担なく利用できるよう、簡潔さにこだわりました。
このアプリケーションで収集したデータは、自動的にAzureクラウドに送信されます。そこから、Power BIを使って可視化し、リアルタイムでデータを本部から確認できるようにしました。このプロセスによって、どの店舗がどのような商品を買取し、どのくらいの売上が上がっているかを即座に把握できます。
さらに、過去の買取記録をデジタル化し、データ分析を行うための試みも行いました。しかし、ここで一つ大きな課題に直面しました。手書きの買取記録をAIでテキスト化しようとしたのですが、手書きの文字が不明瞭だったり、空欄があったりするため、AIによる自動読み取りが難しい状況でした。このため、最終的にはCSVに手入力するという方法を取ることになりました。
データ分析と今後の展望
買取データをクラウドに集約し、過去の記録をデジタル化したことで、今後はより精度の高いデータ分析が可能になります。特に、どの地域でどのような商品がよく売れるのか、季節ごとにどのようなトレンドがあるのかといった情報を可視化することで、店舗展開の戦略をより効果的に練ることができるようになります。
例えば、ある地域では特定の商品が非常に人気が高いことがわかった場合、その地域に焦点を当てた広告展開やプロモーションを行うことが可能になります。また、買取の累計データをもとに、今後どのような商品を多く取り扱うべきか、在庫管理の効率化にもつなげることができるでしょう。
さらに、Power BIを活用したデータの可視化によって、経営陣がリアルタイムでデータを把握し、迅速な意思決定ができるようになりました。これにより、今まで以上に効率的な店舗運営や新規出店の計画が可能になります。
スイムレーン図とフローチャートの導入
今回のプロジェクトを進めるにあたり、カイトリ専門店の業務フローを詳細に分析しました。特に店舗と本部、そしてオンラインでのデータのやり取りや広告戦略の流れをスイムレーン図にまとめ、それを基にシステム設計を行いました。
このスイムレーン図は、広告を出稿した後の効果測定や、買取データがどのように集約され、最終的にデータ分析に活用されるかといったプロセスを明確にするもので、今後の業務改善に大いに役立つと考えています。
今後の課題と展望
現時点では、過去の手書き記録をテキスト化するプロセスにまだ課題が残っています。しかし、今後は買取記録がデジタル化されるため、これまでのような手入力の負担が大幅に軽減されることが期待されます。また、データが整備されることで、さらなる高度なデータ分析が可能になり、店舗戦略や経営判断の精度も向上していくでしょう。
実際の発表の様子はYoutubeからもご覧いただけます!
本戦はこちらから
SUNABACOのAI人材育成講座は、AIを利用したデータ分析を行い業務の問題点を洗い出して解決することができる人材の教育を目指しています。
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