船舶見積もりを効率化するアプリ「大方線使」 【AI人材育成講座成果発表会_チームG】
はじめに
AI人材育成講座では、業務における課題の分析と解決策の提案を目指した卒業制作発表が行われました。
今回は、船舶見積もりの効率化を目的としたアプリ「大方線使」を開発したチームGの取り組みと今後の展望を紹介します。
このアプリは、船舶製造業における見積もり作成と仕様書の作成をデジタル化し、効率化することを目的としています。
船舶製造業の見積もり作成の課題
チームGのメンバーが勤務する造船所では、ケミカルタンカーの製造を主に行っています。
これらの船舶は、顧客の要望に応じた多様な仕様が求められ、見積もり作成に多くの工数が必要です。
見積もり作成の現状には以下の課題があります。
複雑な仕様管理
顧客の要望に基づくカスタマイズが多岐にわたり、標準化された仕様が存在しないため、仕様書の作成には膨大な手間と時間がかかっています。
データの分散管理
過去の船舶データや仕様書がファイルサーバーに散在しており、必要な情報をすぐに参照できないため、引用ミスや修正漏れが発生しやすくなっています。
営業と設計の分断
営業と設計部門がバラバラに作業を進めており、仕様書作成はしばしば割り込み作業となり、効率的なプロセスが難しい状態です。
大方線使の機能と目標
「大方線使」は、船舶の見積もり作成を効率化するために開発されたアプリで、以下の特徴を持っています。
リアルタイムな見積もり作成
営業担当者がタブレットで顧客の要望をヒアリングするだけで、必要な仕様書や見積もりがその場で完成します。これにより、見積もり作成時間の大幅な短縮が期待されます。
過去データの活用
過去の船舶データをAIで解析し、JSON形式に構造化することで、データの一元管理が可能になります。これにより、派生モデルや新規案件にも迅速に対応できるようになります。
仕様の自動入力とヒント表示
基本的な仕様は過去のデータから自動で入力され、必要な部分にはヒントが表示されるため、入力漏れを防ぎます。また、類似の船舶の仕様を選ぶことで、見積もり作成が効率化されます。
開発の課題と今後の展望
「大方線使」の開発により、船舶見積もり作成の効率化が実現され、以下の効果が期待されます。
手間の削減とミスの防止
AIを活用した仕様書のテンプレート化により、従来の見積もり作成に必要だった工数が大幅に削減され、修正漏れや適用漏れといったミスも防止されます。
作業プロセスの透明化
仕様書作成のプロセスが透明化されることで、顧客とのやり取りがスムーズになり、設計担当者も適切なタイミングで作業に着手できるようになります。
船舶設計の自動化への布石
最終的には、見積もり作成と同時に仕様に基づく設計情報もモジュール化され、選択された仕様に応じて設計まで自動で進められる仕組みを構築することを目指しています。
最後に
「大方線使」は、船舶見積もり作成の効率化に向けた画期的なアプリです。
今後は、仕様書作成の自動化だけでなく、設計部門との連携強化や新しい技術の開発支援も視野に入れ、船舶製造業全体のDXを推進するツールへと成長させていきます。
実際の発表の様子はYoutubeからもご覧いただけます。
本戦の様子はこちら
最後までお読みいただきありがとうございました。
SUNABACOのAI人材育成講座は、AIを利用したデータ分析を行い業務の問題点を洗い出して解決することができる人材の教育を目指しています。
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