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新NISAって続けても大丈夫?

2024/8/24追記:積立と一括どちらがよい?
2024/8/31追記:月初の株価下落、月末には?

8月頭、日本およびアメリカで大きく株価が下落し、同時に新NISAを解約した人が続出したというニュースが報じられた。

この時期のアメリカ株ではよくある範囲の調整だったが、急激な円高(160円→142円)も相まってS&P500やオールカントリーなどの投資信託を含むドル建てで資産形成をしている人や、信用取引をしている人はそれなりのダメージを受けた。

そしてご多分に漏れず僕の資産もダメージを受けた。

僕は新NISAは行った方が良いというスタンスだが、同時に自分のリスク許容度を守る事の重要性もセットで記載をしてきた。

運用に関する記事は「〇〇万円儲かった!」などポジティブなものがおおいが、冒頭の通り、ニュースになる程度の株価下落があった際にどの程度お金が減るのかを見る事で、投資をしたことがない人でも感覚的に自分のリスク許容度についてもイメージができるかもしれないと思い本noteを記載した。

ちなみに今回の下落で壊滅的なダメージを受けた人は信用取引やレバレッジをかけている人で、ここで話に挙げているS&P500やオールカントリーのインデックスでは壊滅的ダメージとはなり得ない。

株価下落時の資産状況

上記の株価下落に伴い、三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の基準価額も27,282円から22,688円へと17%急落した。

SBIの画像を元に加工

これに伴い僕の資産もわずか1ヶ月足らずで約11%も減った。

要はこの下落にどこまで耐えられるかが「リスク許容度」である。

11%の資産減は、もしオールカントリーに1万円投資していたら1100円減るし、100万円なら11万円、1000万円なら110万円、新NISAの上限である1800万円なら198万円減る事を意味する。

僕の資産推移
2023年8月~2024年8月

そして忘れてはならない事が3つある。

  1. 今回程度の株価下落は「よくある」事

    • ただし今回の株価下落は急激な円高も伴ったので下げ幅が大きかった

  2. 株価上昇への転換が極めて速かった

    • 2024/11/5の大統領選挙前までに2番底を探る可能性はあるが・・・

  3. 基準価額が減ってもそのまま持ち続けていれば回復する可能性が高い

    • インデックスの場合、基準価額が下落した=お金が手元から消えてなくなるという意味ではない

今回程度の株価下落というのはよくあるし、その辛い状況が数年単位で続く可能性もある。

リーマンショックの時は今回の様な瞬間的な株価下落ではなく、S&P500は約1年5ヶ月をかけて最大56.8%の下落率を記録し、元の価格に戻るまでなんと約4年1ヶ月もの期間を要している。*1

最もよくないのは株価が下落した時に売ってしまう事。
本来はその後株価が上昇し資産を回復したはずなのに、その恩恵を受けられない。

では正解は?

もちろん個人によって状況は異なるので、絶対的な正解はない。

ただ、銀行にお金を預けておくのが正解がというとそれも違う。
2024/8/17時点でネット銀行を含めた最大の利息は1年ものの100万円預金時で0.6%。

100万円あずけて年間利息が6000円、はっきり言って誤差以下のレベル。

これから日本は物価があがっていく。
すると、1万円という額面は変わらなくても例えば今まで1万円で買えていたものが値上がりして10,500円になる。

これは相対的に資産が減っている事と同義であり、この500円分をカバーするための方法が必要となる。

カバーする方法は給料アップでもいいし副業でも良い。もちろん投資でも良い。

特筆すべきは、上記8月に株価が最も下落した日でさえ、2024年1月から比べると僕の総資産は10%程度増えている。

テレビやSNSは視聴率や注目度があれば何でもアリなので「〇〇%減った!」とすぐに言うが、これは

「もともとあった利益が年初来で20%から10%まで減った」ではなく、「資産が11%減った!新NISAは怖い!政府の陰謀だ!!」と言った方が大局的に物事を見る事が出来ない残念な人たちが脊髄反射で情報を拡散してくれるから。

投資をしないのは選択肢としてアリだが、上記の様な間違った情報を元に判断するのはちょっと残念だと思う。

投資で損をしたくない

その考えがあるなら投資はやらない方が良い。
また、政府が勧める新NISAは信用できない、などと疑う人もやらない方が良い。

政府が・・・などという人は一度↓のnoteを読んでほしい。
結局のところ、SNSで喧伝している人をみると何かしらの商材に誘導したりフォロワーを増やそうとしているのがわかる。

要は、その人にとってはそれが本当かどうかとか、あなたの生活がどうなろうがどうでもいいのだ。

実際にどの程度損をする可能性があるのか

当たり前だが、絶対に損をしない投資など存在しない。
お金が減るリスクをとるからこそ、お金が増えるリスクプレミアムが得られる。

以下のグラフはオールカントリーをベースとして、想定リターンをやや保守的(通常は5-7%程度)に修正したもの。約10年くらいまでは下位30%の確率を引くと元本を割る可能性がある事がわかる。(積立投資時)

更に20年後でも最も悪い5%を引くと300万円程度のマイナスになる。

逆に最も良い上位5%の可能性を引ければ「確率上は」元本820万円がなんと3360万円になる可能性もある。(実際には無いと思った方が良い)

MUFGモンテカルロシミュレーション*2

ここで損をする可能性を減らすファクターは「時間」である。
長い時間投資を継続する事で損をするリスクは減っていく。
だから「長期投資が基本」という事になる。

時間というかけがえのないコストを支払い、対価としてお金を得るのが長期運用。(さらには分散、低コストも必須)

そして増えるかどうわからない多少の不確かさを乗り越えればリスクプレミアムを得ることができ資産が増える可能性がある。

上記を踏まえ、一度自身の環境を元に試算をしてみるのも良いと思う。

2024/8/24追記:積立と一括どちらが良い?

これは良く話題にされている事なので見たこともあるかもしれないが、例えば新NISAを一括にするか積立にするかについて度々議論(というか言い合い)が行われている。

結論からいうと理論的には一括投資の方が最終的なリターンは大きくなる可能性が高い。

ただ、いつも疑問なのだが、この手の話になるとき、対象となる人が「これから投資を始める人」である事が多い。

僕から言わせると、これは「1回もテストを受けたことがない人が80点以上取るためにはどうしたら良いか」について考えている状態と同義で、80点を85点にする前にはっきりいって「その前にやる事がいくらでもあるだろ」と言いたくなる。

背景もわからないインフルエンサーの意見よりも、他人の意見をどうしても参考にしたいなら下記リンクにあるニッセイ基礎研究所の記事の方が信頼できることは言うまでもない。

そもそも一番大切な事は何だっけ?

もし積立か一括かに悩むことがあれば、「一番大切な事が何なのか」を思い出してほしい。

上記noteにも記載しているが、僕が投資を行う際に重要視する項目を(単純化して)記載すると以下の通り。

  1. 手間をかけない

  2. 毎年3%~5%程度のリターンを得たい

  3. 自身の許容度の範囲内で

投資を行う上で最も大切な事が「市場に残り続ける事」なのに、投資の経験はおろか自分のリスク許容度も「実体験として」持っていない人が一括投資をした後、自分が考えたよりも自分のリスク許容度が低かったらどうするのか?

冒頭のニュースにある様に「NISA売却」という最後の手段にでてしまう事になる。

それならば、まずは積立で始めておいて(=テスト会場に慣れておき)少しづつ経験を積んでいけば(=投資の金額を増やしていけば)良いのではないか。

どうせ新NISAは無期限なのだから、最短5年(360万円×5年=1800万円)で埋めなくても10年でも15年でもかけても良いと思っている。

いきなり投資に対してアクセルをベタ踏みしなくても、適宜ブレーキも使いながら少しづつ踏み込んでいった方が車は快適に運転できる。

というか、誤解を恐れずに言えば、全く未体験だった事に対してアクセル全開で突っ込むというのは(思い切りの良さは嫌いじゃないけど)片手間としての投資に向いていないと思う。

2024/8/31追記:月初の株価下落、月末には?

2024/8/5に大幅下落したS&P500はその後どうなったか?

S&P500は2024/8/30に最高値5669をほぼ取り戻しており5651にまで回復している。

ただ、日本円換算の投資信託となると話は別で、依然円高が戻らず145円付近で推移している為、2024/8/30時点の基準価額は26730円となっている。

それでも年初来からは20%近く上昇(22113円→26730円)をしており十分と言える。

しかも、2024/8/31は為替とS&P500が共に0.9%ずつ価格を押し上げる方向に延びたので次の基準価額更新(9月2日)基準価額はさらに改善する。

あの時NISAを売ってしまった人は、今回の件を踏まえて再考すると良いのではないかと思う。(もちろん向いていないとやめるのもアリ)

余談だが、2024年は大統領選もありアノマリー的に株価上昇が見込まれているが、9月の利下げ以降と2025年後半からの動きもあり、決して楽観視できる状況ではない。

僕も今回の件で色々と思うところがあったので、リスク許容度について改めて再考したいと思っている。

まとめ

  • 新NISAはあくまで長期保有(15年~20年)が前提。

  • 新NISAは最大1800万円までの枠を使うことができるが、使い切る必要はない。

  • 最大50%下落した際も精神的に耐えられる(ストレスで寝られなくなる事などない)程度のお金しか入れてはいけない

  • 株価が下落した際、日常生活が立ちいかなくなる程のお金を入れてはいけない

  • 投資をする際には自身のリスク許容度をしっかりと把握しよう

リファレンス

*1 リーマンショック

*2 MUFGモンテカルロシミュレーション


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