最初から最後まで格ゲーで負けるのはずっと悔しい。
時間が足りない!
友人と飲みに行きたいし
格闘ゲームもしたい!
旅行もいきたい!
水天宮の煮干しラーメンを食べに行きたい!
やりたいことを考えるとそのうち時間が足りなくなる都合上、切り捨てないといけないものが出来ることがある。
だからこそまだ憶えているうちに、何かに書き留めておきたくなった。書いていくぞ!
筆者はゲーム、その中でも2D格闘ゲームと呼ばれるジャンルが好きだ。
現行ではやはりストリートファイター6も最高だ。
一年で仕事しながら1000時間以上やり込んでいるのでどハマりしている。
その数年前に誰にも話してなかった格闘ゲームとの思い出話を風化する前に残しておきたいと思う。
「自戒」の念も込めて。
格闘ゲームとの出会いは私が学生時代に柔道の大会で良い成績を収めている時の帰りのことだった。
大会に復帰してから調子も良く、全力を出し快勝する。
ここのところなんでも上手くいく。
間違いなく人生絶頂期真っ只中。
そして間違いなく一番イキっていた時期だった
当時はあまりゲームをプレイしない、どころかスマホも持っていなかった。
柔道一筋のスポーツ少年であったが、
性格が良かったということもなく誰と話しても不遜で薄っぺらいガキ大将みたいな男だった。
生徒会にも所属していたが浮きまくってたし先代の会員に目をつけられてバチバチな口喧嘩を何度もしたこともあった。
練習時に地域の講師がわざわざきてくれたで気に入らなかった講師に
「 俺のようなアマチュアに負けるなら公民館のじっちゃんたちに教えてたらいいんじゃない?来るとこ間違えてるよ?」
上記のような内容で因縁をつけだす人間がまともであるはずがない。
面白くない。
学生時代の友人たちとの美しい思い出がなければ忘れたい記憶だ。
大会の応援に来てくれた友人と帰っていた時、駅の脇道それた丁字路の先に光る電飾の先には少し汚れた文字にビデオゲームとあるゲームセンターがあった。
当時ゲームセンターにもあまり興味がなく縁遠い場所で。
その日は少し疲れていて、どこかで休憩したかったという程度の気まぐれだった。
入口付近にあったUFOキャッチャーに付き合いでプレイして、プリを友人と撮影した後、店内を一回りすることにした。
深部に進むにつれ物暗くなっていく。見たことのない筐体から発する強烈な光の数々になんやかんや興味津々だった。
最深部に進むとそのスペースには、格ゲーの筐体が背中合わせに数台ずつ置かれていた。
鉄拳やスト5の筐体が存在をアピールしてきたが
その並んだ筐体の端にて出会うことになる。
BLAZEBLUE CROSSTAGBATLLE
(以下BBTAG)と。
筐体に映るデモブレイにてそれらの2Dキャラ達は魅力的で、やけに衣服の面積が小さい刺激的な格好をしているキャラもいたが。
だが一番気になったのは仮面で顔を隠し、大太刀を構え、漢数字を出しながら当身と突進を繰り返す剣士に両目を奪われた。
ハクメンに心を奪われてしまった。
その後も何度かハクメン目当てにそのゲーセンへ足を運び、友人と私は浅いながらも単発攻撃を出したり、たまに出るA連コンボと仕様を把握できないアシストボタンで盛り上がっていた。ゲージなんて使えない原住民だ。
友人に勝利し余ったクレジットをトレモ待機で時間を潰していたところ、突然画面が切り替わり向かい側の対戦台から乱入通知が飛ばされてきた。
友人は既に俺の横にいたので初めての野良の乱入だった。
よくわからない中とりあえずでスティックを握る。
そして負ける。
何が何だかわからないが負けっぱなしなんて許せないし100円玉を投入しコンティニューを図る。
そして5戦全て惨敗する。
今調べてみると当時強いとされていたルビーとゴルドーの超リーチとスピードを確実に初心者なことをわかっている相手に被せてくるキャラじゃないし厨房過ぎるだろと今でも思う。
試合内容もよくわからなかったと思う。デカい鎌ブンブン回されて反撃しようとボタン押してたらアシストに狩られるみたいな。たぶんそう。酷すぎてあんま覚えてない。
柔道の大会で優勝した帰りに巨大な無力感を味わう。
この感覚は今でも覚えている。
冷や汗が伝う。何もさせてもらえなかった。
背中を萎ませながら対戦台の向こうを見に行く。
俺に勝つ人間はどんな人間だろうと。
今まで、俺に勝つやつはどいつもこいつも自分と同じように
熱意が身体から滲み出ている奴らばかりだった。
だから負けたって仕方ない。
つまらない言い訳を考えてはみたが顔を見た瞬間に
全ての感情は一つに集約する。
顔が萎み、服もヨレヨレで出っ歯で見るからに不健康なガリ眼鏡だった。
その風貌からはリスペクトの感情すらギリギリ湧くかのラインを幅跳びしようとしていた。
わからない。
なぜこの俺がこんな手首持って少し引けばすぐにでも打ち倒せそうな人間にこの俺は負けるのか。
思い知った。
俺が今まで誇っていたのはたまたまそこで輝いていたその一面のみ。
他の人も俺では及ばない力がありそれを隠して生きているのかと。
能ある鷹は爪を隠すと反位置にいる私はとんでもない恥知らずなのでは無いか。
消えてしまいたい。
自分の力を誇り、なんにでもなれるという全能感は
あの時確かにCグリムリーパーに吹き飛ばされた。
体格差含めた純粋な立ち会いで負けるはずのない命の削りあいで負ける。
すこぶる腹立たしいことだがこいつは俺より強い。
俺は自分より強い奴が好きだ。
心の中の俺はそれに対し敬意を持って取り繕わなければならないと言っている。
が、頭はすぐに別の感情で埋め尽くされる。
「あのメガネ今、ほくそ笑んで勝ち誇っていた気がする。」
そう思うと顔が引き攣る。
敗北によるブライドの損壊。
この湧き上がってくるものは。
やりきれない。
この感情はどう吐き出せるのか!
どうすればこの心は落ち着きを取り戻せるのか!
苦しい!
というかこの後銀だこシェアして食べようと思ってたのにその500円も失った!
許せん!
仮にそれが見間違いで、一方的な逆恨みだったとしても方法は既に決めた。
「奴に敗北を認めさせ、帰りに銀だこを頬張って帰ること。」
そう決心したのが6月頭の出来事だった。
それから私はすぐに兄貴のswitchを占領しネットの知り合いにBBTAGを買わせ、ともに練習を始めた。
理由を聞かれたが当時ブライドを守るために事の仔細は一切伏せ、単純にやりたいとだけ答えた。
波動拳コマンドから始め、ハクメンでリバサ当身をこすりまくったりゲージを使ったキャンセルによる中下沢投げからのコンボ、クロスバーストを4アシストで拾うことを一から練習、アシスト、システム知識も仕入れるために度々家に上がってきた友人のスマホを一日中借りて、やるなりに座学をした。
(本人も勉強中スマホ見たくないからと合意してくれた。)
今まで参加していた部活、勉強、生徒会と両立させるためにあまり時間をかけることが出来ない期間もあったが、なんとか間に合わせようと部活の休憩や待機時間にプレイをした。
トレーニングモードで木(アズラエル)に向かってコマンド練習の日々。
Switch コントローラが摩耗したり今までにしたことのない指先の動きによって指の腹にタコを作る中、
もうすぐ来る夏休み、ゲーセンに入り浸り決着をつけると決めた。
ここで一つ話したいことがある。
トレモや対戦で同じキャラを長く使っていると呼吸や所作、足の運び方、意識がキャラに寄って来る感覚があるんですよね。
単純に私の頭がイかれた可能性が十二分にあるわけなんですが。
そういう異常者エビソード誰か持ってないですか?
共感してくれる方はいませんか?
参考に私の実例を紹介しようと思います。
(実例1)
呼吸がキャラに寄ってくる。
これは先ほどの紹介通り、キャラが少し呼吸で上下するペースが移ってくるんですよね。体を小刻みに動かすスピード。ハクメンは呼吸するときの音が
「コオオオオオオ!!!!」とガスマスクをつけた上で深呼吸しているような、ちょっと勢いの良い排水溝のような音がする。
痰がひどく絡まっている人間だと思われること請け合いだ。嫌すぎる。
真似する方はご注意ください。
(実例2)
セリフの幻聴がする。
これはゲーマーの方ならあるあるだと思います。私は特に料理するときに聞こえることが多いです。
ハクメンは野菜切る時に、立ちCの
「ヌゥン!」とか「ズェイ!!」
と隣で叫んでいます。
もう1lv上がると
袋開ける時に「法陣展開!!!」と口に出し始めることでしょう。
そうなったら終わりです。
捨てゲーの準備をしな。
特にスト6のケンの迅雷脚に関しては耳にこびりついて仕事中ですら聞こえることがある。
迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷
私「作成したプランについてですがまずはこちらの資料を・・・」
迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷迅雷
迅雷にジャストパリィ狙って透かし投げ無限にくらってます。生きててごめんなさい。
夏休みにはいっても勉強や部活動の大会は目をを離してくれないわけで、膨張した周囲からのプレッシャーや不安から降り注ぐ。
特に進路への熱視線のおかげで環境は最悪だ。
私の場合志望校はすでに関東の方に決まっていて学力も特に問題ないところだったので皆が真面目に取り組んでいる中、不安なんて都会の生活ってどんなもんなのかというとても漠然で今すぐに解決しそうにもない話だけだった。
こんな心境で周囲に合わせていても取り組む熱量にもズレが生じるものだ。
ゲーセンでの件があって、人は能力を隠し持っているという教訓を学んでから
「少し落ち着いたね。印象変わった。」と話してくる物好きが少し増えた。
サブカル系のオタクの話題で毛嫌いしないことが周囲に理解されてからはその友達も増えた。
今では多分そいつらよりもどっぷり頭まで浸かっているワケだが。オタク友達が増えても女の子からは「汗臭い」イメージがあるらしくモテてるわけはなかった。
トホホ…
当時ボカロとかの話の知識も皆無で特に聞いてなかったのでカゲロウデイズや脳類炸裂ガールの存在をようやく知るのであった。
勉強の合間にゲーセンに通い冷房が効いた部屋の中でなるべく金を使わないようにしながら滞在した。
積極的にゲーセンコミュニティに関わった訳でもないけど、その薄暗いライティングは私の悩みを肯定せず、否定せず待っていてくれた気がする。
居心地がとてもいい空間だった。
そうして私は待ち続けた。来る日も来る日も。
一人で。友人と。一人と。友人と。
されど結局夏休みの時間を縫っても彼に会うことは出来なかった。
出会えなかったのなら仕方ない。それも運命だ。
私はこの夏の自由研究を諦めることにした。
あっさりとした引き際の割には悔しかった。
記憶の中で勝ち逃げされたままの幻影を追いながら生きていこう。
それはさておき、これからの勉強や将来の方が大事に決まっている。
そうに決まっている。
ネットの知り合いも別のゲームを始め、
そうしてBBTAGを自然と起動しなくなっていった。
紆余曲折は少しあるものの、その後もGGSTからスト6でずっと格ゲーを遊んでいる。
あのBBTAGでの初心者狩りをされなかったらどこかで冷めて辞めていたかもしれない。
もちろん今でもあの作品は面白いと思っているし、いつかまた、気が向けば今度は steam版の高スペックで思いっきり遊ぼうと思う。
この作品が私に今も格闘ゲームを遊ばせるきっかけになっているのは間違いないから。
時間は過ぎ、卒業時に夏の自由研究を共有した友人とは恋人同士となり、今でも夏になる度にこの話をおもいだすのだ。
もしもあの時の、初狩りカス野郎に負けていなかったら私はまた別種の人間になっていたかもしれない。
それはそれで興味もあるけれど、今の自分の事は好きだし結果的に慕ってくれる人も多いと思っている。
だから彼には精一杯の感謝を……
か
感謝
感謝なんてするわけねえだろがボケがよ次見かけたらてめえの腕を折りその腕で昇竜セビ滅のコマンド練習してやっからなてめえどうせ今
スト6やってたら春麗とかキャミィとかガイルとか使ってんだろ??!
ケツ出してそこに並べ!!!!!!!
ギッタギタにぶちのめしてスト6引退させてやる!!!!!
僕、もっと格ゲーが上手くなりテェや。
うまくなって、とっつぁんパンヤ鯖他ランクマの猛者をけちょんけちょんにちぎって投げれるようになりてぇんだ。
なれるか?
まあそうだよな。
伝わりにくかったろうが、
お前も良ければとりあえず一緒に飯でも食ってトレモしようぜ?