no.2: 『構造デザイン講義』
第2回目は建築家・内藤廣さんの『構造デザイン講義』。
この本は内藤さんが東大で行った講義を文字起こしして、編集したものだそう。
この本の章立てが主に構造形式(組積造、スティール、コンクリート、プレキャストコンクリート、木造)によって分けられているので、3つのポイントにまとめるのが難しい。よって、ここでは細かいことには触れずに全体を捉えたポイントにまとめることにした。
本の内容はとても面白く、構造をもっと理解したいと思わせてくれる本だった。
3シバリ
①想像して、考えることがとても大切
これは内藤さんがこの本の最初から最後まで一貫して主張している。
構造計算や解析のほとんどがコンピュータでできるようになっているらしい。それでも、事故が起きてしまっているのだそう。そういった時に過信せず、自らどのような力が流れているのか、どのように部材に負担がかかっているのかを想像するのが重要であること。
②建築技術の進化ははいかに接地面を減らすか
この内容は、第2章「組積造」ででてくる。考えればすぐに気づことができたであろうこの事実に私はハッとした。
古代ギリシャ建築
古代ギリシャの神殿は石を重ねて自立させるため、柱は太くなり、壁が厚くなる。どうしても広くひらけた空間を作ることができない。
例:パルテノン神殿
古代ローマ建築
アーチ構造やドームにより、より大きな空間が作れるようになった。
例:ローマ・パンテオン:直径40mのドーム。広がりを抑えるための大きな石の塊
イスタンブール・ハギア・ソフィア:ドームの周りにアーチを巡らすことでドームの広がりを抑えている
ゴシック建築
ゴシック建築の最大の特徴は尖頭アーチ。アーチは尖れば尖るほど開く力が弱くなることが発覚して、採用された。しかし、広がる力を全くなくすことは難しく、そこで導入されたので「フライング・バットレス」。これらを外側に広がる設けることで広い内部空間が実現できている。
例:ノートルダム大聖堂
近代建築
鉄筋コンクリートが発明されたことで、水平力と曲げの力に対応できるようになった。それにより、格段と少ない(細い)柱で大きな空間をつくることができた。そして、鉄骨造によりさらに接地面が少なく済むようになった。
例:RC: ノートル・ダム・デュ・ランシー(オーギュスト・ペレ)
ジョンソン・ワックス本社ビル(フランク・ロイド・ライト)
S: イリノイ工科大学のクラウンホール(ミース・ファンデル・ローエ)
③「リダンダンシー」がこれからの課題みたい
正直なところ、この「リダンダンシー」については、理解が追いついていません。ただこれが大切なテーマであることが何度か書かれています。以下は私の解釈です。
「リダンダンシー」とは「冗長性」という意味だそうで、おそらく、無駄や余分なものを徹底的に無くす近代の考えとは異なることを目指しているということだと思う。
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今回は、あまりよくまとまっていないが、ここまで。
次回は「美しい建築に人は集まる」(伊東豊雄さん)の予定。
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