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自己紹介|はじめまして


日司と申します。

幼いころから古書と共に過ごしてきました。

はじまりは父の書斎。
一昔前の埃っぽい本だらけでした。
ずらりと並んだ「思想の科学」、花田清輝、武田泰淳、埴谷雄高、石川淳、向井逸郎訳「資本論」、中野重治全集、赤と黒の河出書房新社「世界文学全集」、おどろおどろしい角川文庫版横溝正史、ハードカバーのスペンサーシリーズ、マルティン・ベックに87分署。「ダ・カーポ」のくらいまっくす、「噂の真相」の一行情報。懐かしい書架の風景です。

中学校になると、自分で古書店通いをはじめました。
実家近くの書林で、店晒しの色あせた文庫本からはじまり、
仄暗い店内で週に数冊ずつ、昼食代を本にあてて買っていました。
渋い店主にも次第に認められて、淹れたてのコーヒーをご馳走になるようになりました。強く甘いタバコの香りと、苦味の強いコーヒーの香りを、よく覚えています。
ハヤカワSF。レンズマン、火星のプリンセス、反地球ゴル、ペリー・ローダンは段ボール箱で譲り受けたものの、こんなにたくさん読んでいられない!
東京創元社の文庫目録を熟読して、見かけたものは古書でお安く手に入れました。ジャンル物からはじまり、次第にノンジャンルに。純文学にも、海外現代文学にも、おずおずと手を伸ばすようになりました。そのまま大学受験の直前まで、ウォークマンで英語のリスニングをしながら、古書を買い集めました。

大学生になると行動範囲がひろがります。中央線沿線の古書店から小田急沿線まで。本丸の神保町にもたまに行きましたが、なにせお高いのでたくさんは買えません。田村書店も一誠堂も北沢書店も怖すぎる。文庫川村はなんとか買える。悠久堂書店と小宮山書店はゆっくり探せた。
荻窪の線路沿いの大きな書店、高円寺の都丸書店、吉祥寺の藤井書店、武蔵小金井のカレーのプーさん近くの倉庫型新古書店も忘れがたい。食費を削って、買っては読み、買っては読み。各国の文学史をなぞるように、書架は充実していきましたが、並んでいるのはお安く古い本ばかり。

社会人になって、古書文化育ちの限界を知ります。頭の中には、あらゆる時代のあらゆる国の本が規則性なしに詰め込まれていて、良く言えば最近のサブスクのような、混沌とした状態です。検索性も高くはありません。
こうして古書店から次第に足が遠のき、もっぱら大型書店通いになり、いまでは電子書籍ばかりになってしまいました。大沢在昌先生の新刊を、キンドルで一息に読むのが楽しみ。

noteに書く記事は、そのときに強く興味を持ったことについて、特に統一感を気にすることなく、投稿しています。気が向いたらご一読ください。

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