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書き残したくなかった話。Ver.3

気がつけば、8月は終わりの田圃のあぜ道は赤くなりかけている。
オレンジ色の花の香りの気配はすぐそこでしているけれど、
私の嗅覚では、あの懐かしさは、まだ感じとることはできなかった。


報告を約束したはずの彼女からは
催促のメッセージはもちろんこなかった。
半袖でも暑かったあの季節からは想像ができないくらい、今はもう肌寒い。
あの約束をしたころの、ふわふわ浮いていた自分が、
数日間でこんな風に変貌するとは夢にも思ってみなかった。


やっぱり、人生は予想ができないものだと思う。
それと同時に綺麗な道筋を創ることができないのも事実で
あくまでも、一日、一日の積み重ねで成り立っている。




一区切りつけた8月が終わって、
マフラーでぐるぐる巻きになる年末にはきっと、
今とは違う私が、またそこに存在するのだと思うと、
比較的に明るい印象が残るような気がする。



さて、今回は誰に何の宣言をしようか。


「決着をつける」と彼女とした約束した初夏の終着点は、
「私は君の守りたいものを、一緒に守りたい」
という決意に変わった。
決着をつける、つけないの領域を予想以上に飛び越えていた。
こういう結果は珍しいと思う。






次は、私は私と約束することにする。

「私は守りたいものを守れる私になりたい」


私の人生そのものに対しても言えることであるし、
どこかでつながっているかもしれない誰かとの人生も含めているし、
その先にある私に絡まる全てのものをひっくるめていたりもする。



足踏みして、うずくまっている私も、
広い部屋にひとりで膝を抱えて声を殺しながら泣く私も、
何もしたくなくて、
時間が過ぎるのを無駄に待っている私も、
暗闇にハマって、
鏡の前に誰が立っているのかすらもわからない私も、
全て認めて、一切否定せずに、ちゃんと両手で抱きしめて
私は「守りたいもの」を「守れる私になる」


繋がっていないようにみえるこの内容も、ここに書き残すことで、
私は忘れない。
年齢も、周りの目もいい意味で気にせずに、強くなる。




私が私を諦めたくないから、覚書のように此処に記すのは、
12月の私が、私を褒めるためでもあって、
そこにはただの自己満足しか存在していないのだけれど、
それでも、この心の中をさらすことで、
私の中で何かがかわるかもしれない。



大人は案外大人じゃないし、想像している大人にはなれない。
そんなことはわかりきっていたはずなのに、
残念なことに私は大人になれると信じて、疑わなかった。


今頃、気が付くなんて、もしかしたら、遅いのかもしれない。




私は、私にしか、なれない。

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