魅力的な顔と身体の秘密


美人やハンサムと呼ばれるのはいったいどのような顔の人なのだろうか。
何か特別なものを持っている顔なのだろうか。
この問題について、世界で初めて研究を行ったのは、フランシス・ゴールトンであり、19世紀の終わり頃のことである。

平均的な顔が美しい

ゴールトンは当時最先端であった写真技術を使って、多くの人の顔を重ね焼きしてみるという研究を行った。印画紙に光学的に焼き付ける方式のアナログ写真である。このような重ね焼きをすると、個人ごとの特徴(例えば、人より大きな鼻や小さな目、ほくろやしわなど)は互いに打ち消しあって消えていき、顔はどんどん平均的なものになっていくのである。

ゴールトンのそもそもの目的は、多くの犯罪者の顔を重ねて焼くことによって、「究極の犯罪者顔」を見つけることであった。ところが、ゴールトンの研究はうまくいかなかったのである。多くの犯罪者の顔を重ね合わせれば合わせるほど、男性の顔はだんだんハンサムに、女性の顔はだんだん美人になっていったのだ。ゴールトンはこの結果から、私たちが美人やハンサムと考える顔は、何か際立った特徴を持っているわけではなく、単に平均的な顔なのではないかと考えた。これが平均顔仮説と言われるものである。

男性を魅了する[WHR 0.7]

では、魅力的な身体とはどのようなものなのだろうか。
この問題に関しては、男性よりもむしろ女性の魅力的なボディについての研究が行われている。テキサス大学のデベットラ・シンは、様々なプロポーションの女性のシルエットを男性に見せ、その魅力度を評価させるという実験を行ったところ、興味深いことが明らかになった。それは、ウエストのくびれ、つまりウエストとヒップの比率(WHR)が身体の魅力を大きく規定しているということである。そして、ウエスト/ヒップ=0.7のときにその魅力は最大になるということがわかった。

なぜ女性のウエストのくびれに男性は魅力を感じるのだろうか。シンは、これには進化のプロセスが大きく関わっていると考えている。男性にとって重要なことは、自分との間に健康な子どもを多くつくってもらうこと、そして生まれてくる子どもが他人の子どもではなく自分との間の子どもであるということである。この、健康、妊娠可能性、そして現在ほかの男性の子どもを妊娠していないこと、これらすべてを示すものがウエストのくびれだというのである。

興味深いことに、マリリン・モンローなど往年の人気女優をはじめ、現在指示されている多くのアイドルのウエスト・ヒップ比もなぜかみな、0.7になるのである。



心理学ビジュアル百科 抜粋

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