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ノリと勢いで特色入試に挑んだ話


はじめに

 はじめましてsunです。これは僕が大学生になった今、京都大学医学部医学科の特色入試に挑んだ時のことを思い出しながら書いた記事です。残念ながら不合格でしたが、受験時に全く情報がなくかなり苦労したのでこれから医学科の特色入試を受けようかと考えている人の助けとなれば幸いです。

そもそも医学科の特色入試ってどんな感じなの?

 理学部の特色入試は毎年twitter(新X)上の猛者たちが合格していってることや問題が頭おかしい難易度なことで有名ですね。では医学科はどんな形式なのか、ホームページを確認してみましょう。


これは令和6年のもの

はい、綺麗に医学科だけありません。許せません。公開されている情報はおおまかな配点と受験資格のみです。詳しくは下からみなさんの受験年度に注意して確認してください。「特色入試における選抜方法等の変更」のほうでも令和7年から変更が行われる旨のことが書かれてます。

受験内容が明かされてないから僕もどこまで言及していいか分からないです。試験問題はほとんど覚えていたので受験後に書き残してありますが、それを公開すると怒られる気がします。ここでは募集要項だけじゃ曖昧な試験形式についてだけ言及して、問題の中身の詳細な言及は避けることにしときます。

試験形式

 まず1日目について、1日目はこんな感じの流れです。

  • 受験番号の前半組は8:30に、後半組は11:50に芝蘭会館前に集合。

  • 地下にある個室に各受験者が案内され、受験番号順に開始時間をずらしながらまず筆記試験が開始。筆記試験は化学・物理・生物から2科目選び解答。配点は80×2の試験時間90分。

  • 筆記試験が終わると15分だけトイレ休憩の時間が与えられて、その後自分の答案について口頭試問が行われる。

 試験時間とかはまた変わるかもしれないから参考までに。時計は各部屋の机の上に置いてある。めっちゃ見やすい。
 筆記試験は理科2科目だけど生物内容に絡めて出題され、口頭試問では答案の正解してる部分はどう考えたかや問題+αのことが聞かれ、間違ってる部分や空白の部分はその場でヒントと言っていいのか怪しいものが与えられ再度解かされます。数値計算は鉛筆の使用が禁止だから気合の暗算で頑張らないといけないです。休憩の15分間で各問題への考えをそれなりにまとめとくと役立ちます。あと教授レベルの人達が6人待ち構えてるから委縮しないように頑張ろう。

 次に2日目についてはこんな感じです。

  • 全員8:30に芝蘭会館前に集合。試験は1日目と同じ地下でやる。

  • 面接は複数の部屋を移動しながら4回行われる。受験者が寿司で試験官が客の回転寿司みたいな感じ。

  • 面接は「普通のよくある面接」×1「生物・医学関連の資料を読んでそれについて質問される面接」×2「面接官と医学や研究に関係した内容でディベート」×1で構成されてる。

 1日目より2日目がきつかったです。面接の内容の順番は受験者によって異なるけど順番で負荷は変わらないと思う。生物・医学関連の資料を読むやつとディベートは20分の準備時間が与えられてから始まります。ディベートは議論のもととなる英文の資料が与えられるけど、文章自体は京大の2次ができてたら余裕で流し読みができる難易度だから特に対策はいらないと思う。面接はすべて面接官2人なので1日目より迫力がなく落ち着けていい。配点はおそらく60×4ですべて20分で区切られます。一瞬で終わっちゃうから考えたことは余すことなく伝えよう。

 だいたいの流れはこんな感じです。変更があるかもしれないので受験時の大学からの案内などはちゃんと読んでください。

受験体験記

 ここからは僕の受験体験記です。興味ある人は読んであげてください。

受験を決意

 夏休み明け、推薦のために評定を確認しに職員室に行く友達について行って僕も評定を見させてもらうと、なんと4.8/5.0だった。これは特色を受けるしかないと思い、出願書類作成に取り掛かることになった。ここで「出願に評定は関係ないのでは?」と思った人もいると思うが、この時の僕は募集要項が高1で見たもので記憶が止まってしまっている。つまり募集要項を見ずに行動しているのだ。今から見るとただのバカだけど勢いがあってすばらしい。評定が必要ないことを知るのは特色のすべての試験が終わったあとの話。

一次選考まで

 特色入試合格者といえば科学オリンピックである程度の実績を持っていることが多いと思う。ここで僕の科学オリンピックの戦績を確認しよう。

  • JJMO 0次予選敗退

  • JMO 0次予選敗退

  • 物理チャレンジ 0次予選敗退

  • 化学グランプリ 0次予選敗退

はい、すべて未出場です。一周回ってダークホースですね。なにも実績がなかったから、部活での実績で自己アピールをすることにした。部活では何回か全国大会に出場してそれなりの順位を取っていたため実績の面では耐えてたと思う。
 書類の内容を考えながら一般入試の対策をしているときに僕はあることに気づいた(友達に指摘された)。出願時に提出するTOEFLがないのだ。あまりにも計画性というものが無さすぎる。ということでほとんど無対策でTOEFLを受けることになったわけだが、点数はWritingでword数が足りなく無条件で-15されていて、72という誰でも取れそうな点であった。当時の僕は部分点なしによる点数の低さより受験料の高さに驚いていた。あまりにも気安く受けれる値段ではなく、親にめちゃくちゃ感謝していた。受験に使う試験でこの値段はいくらか才能ある人を突き返してる気がしなくもない。値下げしてほしい。
 書類の形式はほぼ短めの小論文のようなもので400, 600, 600の計1600字であるが、普段答えが見えるかつ長くても200~400字程度の記述しかしてない身にはそれなりの量で苦労した。そもそも夏休みにこのようなものは終わらせておくものであって、まず特色入試は8月に受けようと突発的に決めるものではないのです。

12月に試験があるので、出願書類は11月の頭ぐらいに出す必要があるのですが、高3に入るぐらいのときにもう受験は決めていたので、夏休みにまとまった時間が取れるので、夏休みぐらいにはその書類を一通り仕上げて、11月の送る前にちゃんと校正をもう一度し直して出願しました。

学生座談会 | 京都大学大学院医学研究科・医学部 (kyoto-u.ac.jp)

特色入試の合格者もそういってます。出願期間は11/1~11/8で、この期間中や前後に模試が被っていたため、準備に充てれる時間がいっそう少くなった。なんとか書き上げたものを郵送し、一次選考の結果を待つこととなったのだが、当時の僕は研究と臨床の両方に魅力を感じていて、特色の合否で自分の進路を決めようと思っていた。両方の可能性はまだ残しているけど、実際に今は臨床のほうに傾いている。このため二次選考の対策を全くせず、一般入試に向けて英語の強化を頑張っていた。ノリと勢いに任せすぎな気がする。

一次選考通過してから二次選考まで

 全員が通ったわけでもなく、ちゃんと人が減っていたから運がよかったのかもしれない。ここでこの期間のスケジュールを確認しよう。

  • 一次選考通過 : 11/28

  • 二次選考 : 12/9, 12/10

  • 普通に学校 : ~12/2

  • 定期テスト : 12/4 ~ 12/8

自由に時間を使えるのは12/3~12/8の6日間のみで、定期テストは0点でも卒業できるから受けるだけ受けて無視した。一次選考通過の知らせを受け取るまで全く対策をしていなかった計画性のない僕は、12/2までは生物を中心に並行して物化をやり、12/3~12/6の4日間で化生を完成させ、12/7, 12/8は理科3科目を復習すると計画した。理想を突き詰めたスケジュールすぎる。
 これから受験を考えている人に向けて、僕が実際にやったことを列挙しておきます。

  • 京大2019/2020 物化 193/163

  • IChO 理論問題 45th/46th/47th 有機中心

  • Organic Chemistry A Tenth Edition 知識の再確認用

  • 解糖系・糖新生・TCA回路とかその他諸々の生化学

  • 新物理入門 同じく知識の再確認用

  • 物理チャレンジの過去問2年分 いつのか忘れました

  • よびのり 熱力学入門全7講

  • 物化のまとめノートの見直し

  • 数研出版 改訂版生物 分類は捨てた

  • 共テプレ生物 7割前後だったはず

  • 京大2020/2021 生物 遺伝の問題中心 時間は無制限

  • 生物の重要問題集 遺伝のとこで友達が分からなかったところのみ

  • 生物系の学部(薬とか農とか)の過去問

今見直すとけっこうちゃんとやってる。もっと早く始めると完璧なんですけどね。共テプレ生物については生物勉強開始2, 3日目とかだから大目に見てほしい。生物の勉強は生物選択の仲のいい友達をたくさん作ってから始めるとそのあとが順調に進んで楽だった。これは普段生物選択と関わる機会が少なかったから交流の輪が広がってよかった。生物はもちろん完成まではしなかったけどそれなりのレベルにはしたつもりではある。新物理入門はもとから使っていたから、書いてあることが手元で再現できるかの確認のみに使った。
 僕は特色入試に合格するには筆記で稼ぐ必要があると思って得意な化学をさらに強化することにした。僕が面接で点数を稼げるわけがないんです。面接で点を稼げるなら、もっと社会性や計画性が備わっているはずです。

二次選考 1日目

 前日全く寝れず友達に助けを求めていた。ノリでやっていても可能性を感じていると緊張はするものである。それから試験のぎりぎりまで寝ていたから会場に着いたのは11:49頃であった。集合時間は11:50のはずです、しっかりしてほしい。この時はさすがに焦りました。
 僕は書類を締め切りぎりぎりに提出したからか受験番号が一番最後だった。午後組かつ試験開始まで部屋に入ってから3時間はあったと思う。想定外に長い待ち時間だったので一通り見直しをしたあと、僕は仮眠を取ることにした。部屋は廊下側がガラス張りだから廊下に待機している試験監督からは丸見えのはずなのだが睡魔の方が強かったらしい。起きたときに試験監督1人と目が合った時は気まずかったが、合否を決めるのは口頭試問の部屋に待機してる方々だから問題ないと思い、少ししてから筆記試験が始まった。
 筆記試験はまず試験時間が90分しかないことを知ることから始まる。僕の時は、物理・生物が45分に収まりそうな分量で化学だけ異様にページ数や解答用紙の枚数が多かった。化学60分、物理30分でやることにした。化学は大学内容がほとんどで思考力が問われる問題も知識はちゃんとあったのでかなりできた。順調に解き終わらせて物理に入ったときに事件が起こった。目の前の現象がうまく把握できないのだ。人体と絡めた出題になることは想定していたが、与えられたモデルがうまく掴みきれなかった。分かる部分を埋め、把握しきれない部分は憶測で解いた。口頭試問までに解こうと思い、残り1分になったところで問題を暗記しだした。しかし結局15分で考えをまとめきれず、口頭試問の部屋へ案内されることになる。
 口頭試問は各科目の作問者が2人ずつ座っていた。感想から言うとけっこう楽しかった。自分より遥かに天才な方々に自分の考えを聞いてもらい、議論できるのだ。普段勉強で自分の考えを友達や先生に言うことはなかったのもあって新鮮で楽しむことができた。化学では軽微なミスを2つ指摘されその場で解きなおした。そのあと唯一解けなかった問題の解説をしていただき、よく勉強しているとほめてもらえた。めちゃくちゃうれしかった。物理では前半の方から雪崩が発生してることを指摘され、ずっと解答の訂正をしていた。物理の出来は平均的だったと思う。
 開示ではおそらく最高点(最高点が明らかにされてない)だったので筆記でリードを作る計画は成功してたっぽい。
 試験後は明日うまくいけばもしかしたら合格するかもしれないと思いながら、応援してくれてた友達に連絡しながら帰宅した。その日は面接の対策のやり方は全く分からないので生物の知識を見直してすぐ寝た。

二次選考 2日目

 2日目は8:30集合だったので前日の反省を活かし、8:20には着いていた。えらいけどこれが当たり前である。1日目よりは寝れたがそれでもけっこう眠かった。僕の面接の順序は「普通のよくある面接」→「生物・医学関連の資料を読んでそれについて質問される面接」×2→「面接官と医学や研究に関係した内容でディベート」の一番王道の順番だった。
 「普通のよくある面接」では、なぜこの試験を受けたのか、研究者としての素質はあるか、実績がどう活かせるかなどの一般的な質問に答え、基本的には雑談をして終わった。後の面接をしている最中にこの部屋に帰りたくなるぐらいには居心地がよかった。ここでの唯一の失態は「なぜ医学科志望で物化選択なのか」に対して「コスパ、いいですよねぇ」的なことを言ってしまったことぐらいである。実際普通の試験の物理は計算してたら点が取れるのだから仕方がない。
 「生物・医学関連の資料を読んでそれについて質問される面接」では、1つ目は3~4割程度しか答えられなく出来が悪かった。渡される資料の表紙には、「面接官は正しい答えではなくどのように考えたかに興味をもっています。」と書いてあるが、正しい答えかそれにかなり近いものが出てくるまで自分の論理の穴を突かれて訂正するを繰り返すから結局正しい答えが必要になる。これがけっこうしんどかった。2つ目はそれなりに答えることができたから少しは取り返せた気がする。
 「面接官と医学や研究に関係した内容でディベート」では、お題を2つの中から1つ選び、自分の立場まで選ばせてくれる良心設計だった。しかし、頭がちゃんと回ってなかった僕は、確実に不利な立場を選んでしまった。ディベートで勝てるかどうかよりは論理に一貫性があるかが見られるからあまり関係ないが、それでも印象は変わってくる。僕は勝つことを諦め、矛盾を生み出さないように注意しながら議論をし続けた。もちろん負けた。勝てるわけがない。というか試験官の反論に「それなぁ」とずっと思っていた。
 不合格後に気づいたことで、この時の僕はネクタイをしていず第一ボタンが開いていたらしい。後日知り合った同じく特色を受けていた人にもネクタイをつけてなかった人として認識されていた。だれがこんな総じて生意気な人と研究をしたいだろうか。これが最大の敗因な気がしている。

それから

 ノリと勢いだけで挑んだ特色入試は思いもよらずかなりいいところまで進むことができ、学校生活とは別に最後の青春になった気がする。不合格通知を受け取った時はかなり悔しかったが、次の日からは切り替えて2次対策を頑張っていた。2次試験の話はまた別の機会に気が向いたら書こうと思う。

追記
 2次試験の方も書きました。


 雑な文章ですがここまで読んでくれてありがとうございました。受験を控えている皆さんはちゃんと計画的に行動してくださいね。頑張れ~

2024.06.09 sun


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