生命保険契約に関する権利
(自社HP 2023年4月12日掲載)
九州福岡の税理士法人サムライズです。
金額の大小はあれどほとんどの方が生命保険に加入されていると思います。 保険は当事者である被保険者、保険料を支払う契約者、保険金を受けとる受取人の3者が登場人物です。
もし被保険者が亡くなる前に契約者が亡くなってしまったら。。。
誰にでも起こりうるケースのご紹介です。
家族の将来の生活保障と資産形成のため生命保険を掛けている場合、保険の対象としていた被保険者が亡くなる前に、保険料を支払っていた保険料負担者が亡くなると思わぬ課税を受けることがあります。
■生命保険契約の権利に課税される要件
次の要件に該当する場合、生命保険契約の承継者には、取得した生命保険契約に関する権利に解約返戻金相当額で相続税が課されます。
① 解約返戻金のある生命保険であること
例えば夫が妻に生命保険を掛けます。
掛け捨ての保険ではなく、解約返戻金のある終身保険や養老保険で、保険
契約者は夫、保険料も夫が負担しているとします。
② 保険料負担者が先に死亡すること
保険金の支払事由(被保険者である妻の死亡、あるいは満期到来)の発生
前に保険料負担者の夫が死亡しました。
■契約の承継者に相続税が課税される
妻に掛けた生命保険契約は解約しない限り、妻が死亡するまで継続するので、夫の相続人となる妻と子の誰かが契約を引き継ぐことになります。契約を引き継いだ者は、保険契約を解約すると解約返戻金を受けることができます。そこで契約者の地位を承継する相続人を遺産分割協議によって決めると、承継者には解約返戻金相当額で相続税が課されます。
■遺産分割協議を要しない場合
上記のケースで保険契約者が妻であった場合、保険料負担者である夫の死亡前から保険契約者の地位は妻にあるので、契約者の承継は遺産分割協議の対象とはならず、夫の死亡により、妻に相続財産の取得があったとみなされ、相続税が課されます。
■生命保険契約の名義変更に注意
被保険者が死亡する前に、生命保険契約を名義変更する場合、名義変更しただけですぐに課税されることはありません。その後、保険料負担者である契約者が死亡すると、相続人には上記のように相続税が課されます。 ところで保険契約を変更した時から相当期間が経過し、契約者も死亡している場合、誰が保険料を負担していたか判明しないことがあります。
預金通帳や生命保険会社の記録から保険料支払者を推定することになりますが、保険会社でも調査や解約返戻金の算定に時間がかかります。保険契約は相続開始前に整理して、課税関係をきちんと把握しておくと良いですね。
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