めがねトンネルで引っ張られた話
この、めがねトンネル一帯は、本当に何があるのかよくわからないけど、とにかく幽霊をよくみてしまう場所でした。なんでめがねトンネルなのかというと、トンネルが2つくっついていて、めがねのように見えるから、めがねトンネルです。正式名称ではないです。
高校がその周辺だったので、よくトンネルの側の公園でたむろしてスケボーしてみたり、ダンスの練習してたのですが
その時もワンピースの女の人が後ろからついてきたり、男の人がボーッと立ってたり、結構幽霊の目撃は多かったです。
行ったことはないけど、公園のすぐ側に墓地があるとか。あまりいい土地ではないのかなぁと思っていました。
沖縄の心霊体験話してるYouTuberさんの話聞いてて、あっ、同じ場所じゃない?って思ったのが、その場所にある防空壕に殺人した犯人が、隠れてたのに遭遇したっていう話。あれは人怖だけど、またこの場所か。うわぁーってなりましたね。
あとは、私の先輩も、そこでバイクの事故で亡くなっています。この間も痛ましい事故が起きています。
私は高校を卒業し、そのめがねトンネルに歩いていける距離にあるアパートに引っ越しました。
実は、アパート借りる前に新車が事故で廃車になったので、事故のトラウマもあったけど、ローンがまだ残っていて、新しく車を買う余裕はなく、歩いたりバスに乗ったりする生活をしていました。
その日は、レンタルDVDを借りようと、めがねトンネルの先にある、色んなテナントが集まったショッピングモールに、タクシーで行きました。
帰りはタクシーを使うのが勿体なく思い、歩いて帰ろうと思い、多分5キロくらいある道のりを歩くことにしました。
(沖縄では100m先も車使うってのはあながち間違いではないのよ)
夕暮れでしたが、歩くのは学生さんくらいで、その時間は、特に一人で歩いてるような寂しさを覚えていて、めがねトンネルに差し掛かると、もう誰も歩いていませんでした。
あるのは、車の大渋滞。
なんだか、ぼっち歩きが、車から見られていそうな変な感じで、こっ恥ずかしくて、さっさと歩いていたら
突然、カバンが左後ろに引っ張られました。左側はトンネルの壁になっています。
グイッ。力強く引っ張られたので、あやうく後ろに転倒するところでした。
ショルダーバッグで肩からナナメがけしていたのですが
驚いて振り向いたら誰も居ませんでした。
はっ?一瞬わけが分からなくなりました。
本当に引っ張られたからです。強盗?誰かのイタズラ?と思って本当にびっくりしました。
歩いてる人が他にいないので、車に乗ってる人がやったのか!?と思いましたが、まぁありえません。歩道と車道はしっかり分けられていて、間にガードレールもあり、距離があります。カバンがひっかかるようなものもありません。周り見回しても私に無関心な人ばかり。そりゃそうですよね。むしろ、ひっくり返りそうになったり、挙動不審になった私のほうが、変な人に見られていないか焦りました。
でもあったのです、手でギュって斜めしたに引っ張っぱる感覚が。確かに。
より一層早足でトンネルを抜けてもう一度振り返りましたが、やはり私以外に誰も歩く人は居ませんでした。
ゾッとしましたね。
でも歩いてるうちに、そういえば、先輩が亡くなったのは、このトンネルじゃないかって思い出してきて、先輩が、おいっ久しぶりじゃないか!って挨拶したのかなぁなんて思いました。そんな茶目っけのある先輩だったからです。
そうだったらいいな、と無理やり思い直して帰路につきました。でも、いくらでも怖いことは考えられました、まだ浮かばれてなくて私に助けを求めていたらどうしよう、他の幽霊だとしても怖い。人に触れる力のある幽霊なんて、とんでもないものだと思ったからです。だから1番安心したい答えじゃないと。そう思わないとやってられませんでした。
私には上にあげてあげる力はない。何もできない。他の人に頼んでほしい。心からそう思いました。そのくらい怖かったです。