素潜り旬

詩人。『パスタで巻いた靴』(港の人)発売中、増刷しました。 https://www.amazon.co.jp/dp/4896293991/ref=cm_sw_r_awdo_navT_a_32PN0FXXF3WDYBF2Z7K5#

素潜り旬

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マガジン

  • エイガシVol.2

    20230520文学フリマ東京で販売した『エイガシ』の続編。映画を詩に。そのままではなく。

最近の記事

ポエジー家族展望20240830

パパァ…ママァ…ふたりの交歓は有限性のなかにあるよ。 俺は気づいていた。ゴーゴリ、あるいはゴゴリゴのこと。違うの?キャベツを茹でたら皿にひとまず置いといて、くす玉に目をやる。誕生日がきたら噛み付くことをやめられるのに。さっきスーッとした。『批評家失格』を読んだら。ちょっと手を休めて続きを読もう。キャベツをクッキングペーパーで包んで、冷蔵庫に入れておく。ギタァが鳴った。長女が弾いて、次女が「シーっ」と言う。そう、いまのはCコード。偶然の一致だ。 濡れたコップで縁取った水跡を

    • 「幼馴染はアメリカへ」松本圭二「タランチュラ」岡田隆彦『巨大な林檎のなかで』日記20240514

      幼馴染が仕事でアメリカに行った。一週間。お土産は詩集とアメコミのグッズを頼んだ。治安が心配だから、買えれば、でいい。LINEが来たが、寒いと言ったり暑いと言ったりしている。大丈夫だろうか。頼んでいた映画『異人たち』のノベライズ(山田太一の英訳ではない)は見当たらなかったらしい。ジュンク堂や紀伊国屋で買えるだろうから、別にいいけど、松本圭二「タランチュラ」みたいな感じで、アメリカの空気に触れた詩集が欲しかったのだった。俺のアメリカの本屋のイメージ(実際はニューヨークの古本屋だが

      • 濱口竜介『親密さ』日記 20240512

        ツイート。俺はここから考え始める。現実(パート)に詩が及ぼす効能について。それを濱口竜介が劇中劇でやったことに対して。 有名ではない詩人と、詩に全く触れてこなかった友人たちの関係性の描き方はかなり上手いけれど、詩人そのものの扱いは雑だというのが濱口監督っぽい、というか現実の詩人ではなくて、多分ホン・サンス映画で描かれる詩人像みたいなものを下敷きにしているから、装置として詩人がいる。詩人って肩書きがあればそれでいいような、現実パートと劇のスイッチが詩人の存在であって、詩人がど

        • 『20世紀ノスタルジア』日記、20240502

          ポール・オースターが亡くなったから『スモーク』を観始めたが、冒頭でこれ好きじゃなかった映画だと思い出してやめた。文庫は全部売ってしまったし買い直すとして、大学生の頃めちゃくちゃ読んだな…と想いを馳せるだけにいまは留め、原将人『20世紀ノスタルジア』を観た。 広末涼子のデビュー作というのが注目されがちだが(妻はそれで知っていた。実家にビデオがあるらしい。)、23歳で日本縦断を8mmで収めた伝説のロードムービー『初国知所之天皇』を撮った原将人が映画製作を題材に商業で撮るんだから

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        • エイガシVol.2
          7本

        記事

          安川奈緒『MELOPHOBIA』を読んで日記を書く。20240417

          ものを買って嬉しい時、この建物に俺と同じ気持ちの人がいることに絶望する。まんだらけで『書下ろしによる叢書草子3 吉岡実 異霊祭』を手に入れたこの感覚がほかに代わるものか!靴を買った人、帽子を買った人、いろいろいるだろうけれど(ここは高島屋だから)、この代替不可能性を言い表すにはMELOPHOBIA(音楽恐怖症)で居続けることしかないと思った。だって、 ああ。ひとりで朗読をやるからには音楽から離れようとしてきた。正確には歌から。身体のBEATを切断するような朗読、それは推敲で

          安川奈緒『MELOPHOBIA』を読んで日記を書く。20240417

          20240412 素潜り旬+菊地利奈 朗読、左川ちかと荒地絶叫。

          菊地利奈さんと左川ちかの詩「幻の家」を日英朗読した。 菊地さんの朗読を追うように俺は吠える。 英語で俺の紹介をしてくださった菊地さんがステージを去り、俺は『パスタで巻いた靴から「チンカチンカ」を三回いつもどおり、儀式のように、鎮魂の詩を繰り返した。 体感でまだ時間に余裕がある。「WAACKING」も朗読した。この部分、いま気づいたが『ジョーカー』っぽい。続編楽しみ。 最後に、荒地の詩人への愛を。自分が詩史に飛び込むためには秘数3の力を借りねばならないということを表現する

          20240412 素潜り旬+菊地利奈 朗読、左川ちかと荒地絶叫。

          20240410 入園式とジャズ喫茶METRO

          20240410 次女の入園式。めでたい。帰り道、桜の前で写真を撮ろうとしていたら公園で次女が二歳まで通っていた保育園の子供たちと先生に偶然会った。次女は切ない顔で先生と抱き合っていた。近所だからいつでも会えるよ。 夕方からジャズ喫茶METROへ。このイベントは皆勤賞で、できれば毎回行きたいのだが今回は午前中に入園式があるから疲れるしやめておこうと思っていた。でもキテレツカレーの出店が告知されたのに行かないわけはない!ずっと行きたかったカレー屋さん。その欧風カレーを食べた

          20240410 入園式とジャズ喫茶METRO

          20240407 ショーケンと朗読。

          お世話になったギャラリー兼カフェのクロージングパーティーへ今日も家族で行った。子どもと全力で遊んで疲れた。だるまさんがころんだはいちいち止まらないといけないからしんどいし、タッチしたら全力で走らなければならない。当たり前のことを書いている気もするが、これはやってみないと気づかないもので、あ、これ、後にひびくなという心の声が乱反射して、いま俺はとても眠い、みたいな。 冒頭で引用した詩は高見順『三十五歳の詩人』から選んだ。ずっとあったらいいのにと思っていた場所がなくなるまでの時間

          20240407 ショーケンと朗読。

          20240406 告知と日記。

          日記再開。手書きからまたwebへ戻ってきた。手書きで書いた分は封印するがwebに載せた前回までの分は冊子にして売る予定。 京都、みんな桜を見ていた。 生きるのメンバー数人と詩人澤村貴弘と出町柳で花見。kikuさんのバジルをつける餃子が去年に引き続き美味しい。秘数3(中沢新一)の話をしながら食べた。 この秘数3を引用して音声詩をつくる。4月12日19時から極楽寺にて出演予定のイベントでやる。バイリンガル朗読会らしい。俺は『対訳 左川ちか選詩集 Selected Trans

          20240406 告知と日記。

          WAACKING2(『パスタで巻いた靴』のために)

          営々、詩を書く魂。ボンボンと音がするアンプはどこから。木を木だと思う、車がぶつかる映画、アナーキー・イン・じゃぱんすけ。 この人ね、止まらないでしょ。ずっとそうだ、もとよりここがデューンと呼ばれていたし。風雨で揺れる影なんてない。ポマド。ポマードではなく、ノマドでもなく。その概念はアガって空気に触れて、天にあるという。それでもやがて無が訪れるの。 このコダックが、何を意味するかで世代論的なものをふっかけておいてさ、野蛮な「ぐりとぐら」の両方を兼ねている、みたいな。Dos M

          WAACKING2(『パスタで巻いた靴』のために)

          20170216チェロキー/カマシ・ワシントン超超訳

          20170216 素潜り旬とカマシ・ワシントンが闘った痕跡。(ライブは20161205)チェロキーを超超訳しました。 掘り起こしたので載せておきます。 新しいアルバムの発売が楽しみです。 チェロキー/カマシ・ワシントン 勇敢なインドの戦士、 今日、 生まれて初めて、(当たり前ですが…) 私はあなたに会いました。 あなたを忘れることはできません。 恋しいひと… チェロキー。 ぱらっぱーぱぱーぱー(時間が経つ音楽) 草原の子ともども、 あなたの愛に飢えています。 私

          20170216チェロキー/カマシ・ワシントン超超訳

          20231126日記「地獄の喫茶」

          文芸同人誌しんきろうの集まりが18:30に円町である。俺は妻の友人が来るからと11時に家を追いだされ、12時過ぎに詩人澤村貴弘と円町で合流した。集合まで6時間以上。円町での長い一日の始まりだった。 何が食べたいかと聞かれ、ラーメンかカレーだと言うと、澤村は明らかに台湾まぜそばを欲していた。醤油ラーメンの店の行列を眺めたり、カレー屋の前を通ってニオイにつられそうになっていても、澤村は「台湾まぜそばの店の前まで行ってみよう」と言う。澤村の台湾まぜそばが食べたい気持ちは楽しさを呼ぶ

          20231126日記「地獄の喫茶」

          20231125日記「エチオピアの吟遊詩人」

          20231125 今日は映像人類学者の川瀬慈さんのトークイベントを聴きにふるえる書庫さんへ行った。エチオピアの吟遊詩人「アズマリ」ソロモンさんのパフォーマンス映像は衝撃。 川瀬さんによると、これはエチオピアの有名な曲とのこと。格好良い詩。その後ソロモンさんは「詩をなげてちょうだい」と言い、オーディエンスの言葉の媒体となって、それは歌として反復される。恋とか身近なものから、コロナ、内戦、政府、首相のことまで。想いを吐き出すことが詩や歌になるなら、吟遊詩人にはなんでも伝えられる

          20231125日記「エチオピアの吟遊詩人」

          20231106「映画の冒頭は見逃したくない!ウルリケ・オッティンガー『フリーク・オルランド』」

          ウルリケ・オッティンガー『フリーク・オルランド』を出町座へ観に行く前に、ファミマでフランクフルトを買って、ドアが開いてすぐ食べはじめて3口で食べ終わるというようなことをしていると、京大院生の東洋くんと遭遇。彼も『フリーク・オルランド』を観に行くと言う。喋りながら向かっている際、「こないだ来てくれたトークイベントどうやった?」と聞くと「場を支配していましたね」と言われて笑ってしまった。そんなことはないはずだが、俺が印象に残っているということならありがたい。 出町座に着いて、チ

          20231106「映画の冒頭は見逃したくない!ウルリケ・オッティンガー『フリーク・オルランド』」

          20231028-1105「見逃した映画のことばかり考えている」

          10/28 昨日から妻と娘たちは実家に帰っている。 朝から頭痛で寝込んでいた。昼と夜はなんとかラーメンを食べに行く。最近、醤油ラーメンが好きだ。シンプルな醤油。できるだけオイリーなほうがいい。昼は貝。夜は鶏。 帰宅して執筆。「『ビーチバム』推敲の物語」を書き終える。noteで公開。 10/29 妻と娘たち帰宅。 地元の図書館で世田谷ピンポンズの講演会。富士正晴の「煙草」「巷」「愛の歌」につけられたメロディがとても良い。詩がジャカジャカと飛びまわるフォーク、ギターの生音は優

          20231028-1105「見逃した映画のことばかり考えている」

          『ビーチ・バム』詩人の推敲物語

          劇場公開時に二度観に行った『ビーチバム まじめに不真面目』を、この原稿を書くにあたって再見。詩人が登場する映画は貴重だ。すべてを愛でなければならないくらいの気持ちでいる。そのなかでもこの映画は、俺に深い感動をもたらした。主人公で詩人のムーンドッグは常に生の歓びに充ち満ちていて、それは妻の死をきっかけにだんだん死を遠ざけるための手段に変わっていく・・・ と見せかけて! これは生の歓びでしかないのだという圧倒的肯定。眩しいよ、俺はこうありたい。涙をこぼすところを見せないムーンドッ

          『ビーチ・バム』詩人の推敲物語