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ホントに官民連携の地方創生キャンペーン?「福岡つながり応援」プロジェクトサイトから読み取れること

どうも。今日も炎上してますね。
みなさん注目の官民連携の地方創生キャンペーン(?)
「福岡つながり応援」について書きます。

最初にまとめ

・官民連携のキャンペーンとうたうサイトがウソAI観光記事を公開→炎上して記事削除
・「官民連携の地方創生キャンペーン」と謳ってるけど大げさすぎる言い回しでほぼウソ
・自治体から金は出てない(可能性が高い)
・自治体にも反省点はあるけど、どちらかというと被害者
・福岡と関係のない東京の会社2社が運営
・運営会社の1つがプロジェクトメンバーからひっそりと消えた

何が起こってるの?

「福岡つながり応援」プロジェクトというのが11月からスタートしました。
官民連携の地方創生WEBキャンペーンを名乗り、自治体からの後援をとりつけながら、AIを使って実在しない観光地を紹介しておおいに炎上しています。

この記事ではAIうんぬん~リテラシーが~などの話は置いておきつつ、ウェブに公開されている(されていた)情報をベースに、何が起こっているのかをまとめます。

SNSを見てるとなんとなくなイメージからの誤解も多いようなので、それを解消できればいいなと思います。
私の考えからの推測も書きますが、確度の高いことだけに絞ります。

この記事を書いてるのは誰?

福岡市民。
AIを使ったウソ観光案内が公開されているのを見つけて、Xにポストした最初の人です。あんまりだったので福岡市・福岡県にも報告しました。これもたぶん1人目。

元ラジオ局職員で、地域情報サイトの運営メンバーをやっていたこともあります。つまり、今回のようなプロジェクトを業務として(マジメに)やってた人です。
現在、メインの収入源であるウェブディレクション的な仕事がなくなっているので暇してました。新婚なのに大丈夫なのでしょうか?

「福岡つながり応援」プロジェクトを発見

11/5(火)夜
Xをみてると、フォローしてるひとから「福岡つながり応援」プロジェクトの公式アンバサダーになった!とのポストがありました。
なんだろうと思ってみてみると、なんかSNSで福岡に関するキャンペーンをやるらしい、アンバサダー(情報発信)するひとを募集してるらしいとのこと。

「公式アンバサダー」には有名人もちらほら。
ヒマだしやってみようかな。それに協賛募集も募集してるからお金だしてもいいな。福岡市が後援を出してるなら安心だよな。超人気アンバサダーになったら履歴書に書けるかな?……いうことで、まずはじっくりサイトを見てみることに。

「福岡つながり応援」プロジェクト

※当時から少しコンテンツが減ってますが、おおむねそのままです。

ウェブの仕事やってる方ならみんな同じ反応をします。
こんなサイトが官民連携なんておかしいと思うのが普通です。
(現サイトでもそうです)

ざっと挙げるだけでも

・リンク切れ or リンク先がなくてTOPページへリンク
・プレゼント応募フォームがGoogleフォームなのはまだいいとして、フォームの内容が福岡県でなく宮城のキャンペーンのまま
・「福岡県関連情報」は雑にRSSをひっぱってきてて、タイミングによってはひどいニュースが並ぶ
・「福岡県の観光地特集」のリンク先が市役所のトップページ
・協賛にエントリーするためのページ(CAMPFIRE)にリンクしてあるけど、なぜかまだ準備中
謎のつながりのある会社たち「共創企業」(協賛でないの?)

AIによるウソ記事を見つける

で、極めつけが「AIが作った原稿をノーチェックで掲載することで実在しない観光地を紹介するページ」です。激やば。

※AIうんぬん~リテラシーが~の話はここでは取り扱いません

[後援]として福岡市の名前があるので市民としては見過ごせない状況です。
この嘘ページは「福岡つながり応援」プロジェクトのXでも紹介されており、アマギフを配るキャンペーンへの多数の応募に埋もれてプロジェクトスタートから5日間、誰からも言及されないままそこにありました。

で、まず考えるのが
「福岡市/飯塚市の[後援]ってウソじゃない?」

あまりにリテラシーがなく制作の能力もないところに自治体は後援を出しません。

もしくは、後援を出したあとに、AIウソ記事が公開された説。
この2パターンのどちらかだと踏みました。

※後援って何

「こんなページに公金を使うだなんて!」
という反応をよく見ます。

まず、このプロジェクトは東京の民間の会社が運営しているものです。サイトにも堂々と載ってます。

また、自治体の[後援]は資金提供ではありません
あくまで主体は運営会社。

後援を受けると、ちょっと箔がついたり、市政だよりに載せてもらえるかも~というメリットがあります。申請は様式に沿って書類を提出。審査を受けて要件を満たせば後援をもらえます。

参考:文化振興事業に関する後援名義使用申請について|福岡市


官民連携についてはあとで言及します。

福岡市と福岡県に報告

11/6(水)昼
暇な福岡市民の務めとして、まずは福岡市に報告することに。

福岡市に問い合わせてみると
「後援を出してる課はわからない。もしかしたら県が知ってるかも」とのこと。

福岡県に連絡して要件を伝える。折り返しがあって、
「福岡市と飯塚市が後援を出してる。福岡県は検討中だった。この連絡を考慮にいれて対応を検討させてもらう」
とのことでした。

後援を受けてること自体は本当のよう。
深くかかわりがあるようではなかったので、「官民連携って[後援]をうけてるってことなのかー! なんてポジティブないいまわし!」って思った。

※ちなみにこのプロジェクトは福岡の実施を前に、宮城・沖縄・山口でも実施されています。現在、過去のプロジェクトを見てみるかぎり、そこまで悪いことはやってなく、県庁を訪問してたりもしたので、この当時は本当に「官民連携」だったのかもしれません。

福岡は前のプロジェクトの時の原稿を検討もせずそのまま残しちゃってる状況なのかも?

サイト公開前に後援をとりつけてからスタート~ということはありえることなので、福岡市/飯塚市はまさかAIのウソ記事を出されるとは思ってない。山口県の例のようにちゃんとやってくれるもの~という認識だったかもしれません。サイトオープン後に1回くらいはチェックしてほしいけど。

参考:ウェブやSNS活用し魅力発信 目標を大きく上回るクリック数 知事「観光の弾みに」|TBS NEWS DIG

山口のプロジェクトの報告会のニュース。
サイトへのアクセス数、2カ月で1500万回超えはすごすぎる

福岡市・福岡県のどちらにも「関係各所に周知をされてください~」とお伝えしたので、そのうち運営会社が怒られてウソ記事が消えるだろう。今日はいい働きをしたぜ~と安心しました。

拡散からの最悪の対応

11/6(水)夜
お付き合いのあるライターさんにより、ウソ記事のことがだんだん拡散されていく。
正しい福岡情報との間違い探しゲームが盛り上がる。(それどころではない)

で、運営側も反応に気づいたのか、ページに更新がかかる。
よしよしと思ってたら更新内容がなんと、ウソ記事の冒頭に以下テキストを掲載すること―

【注意事項】
本記事はインターネット上の情報をもとにAI生成しておりますので、情報の正確性を保障するものではありません。情報が誤っている・変更されている場合もありますのでご注意ください。最新情報は公式サイト等でご確認をお願い申し上げます。

ひどい

「メディア」エリアの削除

この時のふつうの対応は「とにかくウソ情報を消す」のはず。
ウソ観光案内の中には、遊泳禁止の海で遊ぶことをオススメしたりと一刻も早く消すべきページもあって、CMSのテーマをいじる権限がないとか、なんかしら制限があったとしても、リンク切れ起こしてもいいから、とにかく誤情報を消さないといけないのです。常識があれば。
これにより運営は、

とんでもない悪
もしくは
とんでもない無知
なのではないかな~という印象を、みなさんがお持ちになったのではないでしょうか?
(両方?)

11/7(木) 昼
たぶん自治体からきちんと怒られが発生したんだろう。
ウソ記事はカテゴリごと全部消えました。

同じタイミングでXにお詫び文が掲載されていました。
それによるとAI記事は人によるチェックが入っていたとのこと

「ウソに決まってる!」との反応をよく見ますが、
これまでのトンチキ対応を考慮すると、ウソとは断定できないと思われます。

誰がやってるプロジェクト?

「つながり応援プロジェクト」は山口・宮城・沖縄で実施され、11月に福岡でも始まりました。主に東京の2社によるプロジェクトです。

プロジェクト運営企業は、株式会社ファーストイノベーション、
プロジェクト企画企業は、株式会社Next Relation(ネクストリレーション)。

「株式会社ファーストイノベーション」はどういう会社?

ウェブ制作会社。
これまでの他地域で行われた「つながり応援プロジェクト」でも運営企業として掲載されていました。PR TIMESやSNSを見ると過去の事例が確認できます。

株式会社ファーストイノベーション |PR TIMES

「つながり応援プロジェクト」以外の仕事でも今回のページレイアウトを使いまわしており、あまり開発力は無いような印象です。

自社で、「SES PlusというSNSアンケート調査情報メディア」ってのを公開していますが自前のフォームは無し。Googleフォームを活用しているようです。

SES Plus

他社の「メディア」の運営実績は見つけられませんでした。
自社メディアを11月からAI対応にしたそうでしたが、現在それらしき記事は削除されています。
公開当時の記事のクオリティは「福岡つながり応援」と同様。自社の価値を落としているような内容で、メディア運営の知識/経験があるようには思えませんでした。

誹謗中傷対策、風評被害対策、誹謗中傷を行うサイト自体の検索順位を後退させる逆SEO対策とかもできるようです。


「株式会社Next Relation(ネクストリレーション)」はどういう会社?

“パブリックアフェアーズ”でビジネスと社会の成長を加速させる会社だそう。

パブリックアフェアーズってなにかChatGPTに聞いてみました。


”「パブリックアフェアーズ(Public Affairs)」は、公共の問題や政策、政治、社会的な事象に関わる活動やコミュニケーションを指す言葉です。主に以下のような領域で使われます。

  1. 政府関係・政策提言: 企業や団体が政府との関係を築いたり、政策や法規制に対する意見を表明する活動。これにはロビー活動や政策アドボカシー(支持活動)などが含まれます。

  2. 広報活動: 社会問題や企業の社会的責任(CSR)に関連した情報を、メディアや市民と効果的にコミュニケートするための戦略的な広報活動。これには、メディアリレーションズやプレスリリース、イメージ戦略の構築などが含まれます。

3.コミュニティ関係: 地元コミュニティとの良好な関係を築き、社会的な課題に対して積極的に関わる活動。例えば、企業が地域社会への貢献を通じてブランドイメージを向上させることなどです。

簡単に言うと、パブリックアフェアーズは「社会的な問題や政策、メディアとのやり取りに関する活動」のことを指し、企業や団体が社会的責任を果たすために行う一連の戦略的な活動全般を表す言葉です。”


11/7(木)から問い合わせフォームに不具合が出ているそうです。


プロジェクトオーナーから1社抜ける

11/9(土)判明

「つながり応援プロジェクト」のプロジェクトオーナーから「株式会社Next Relation(ネクストリレーション)」が抜けました。

「福岡つながり応援」のサイトの、ロゴ、企画企業としての掲載もこの時点で消えました。

プロジェクトスタート時のプレスリリース
には以下のように掲載されてました。

”本日開始された「福岡つながり応援」は、IT企業の株式会社ファーストイノベーションと株式会社Next Relationが中心となり、福岡県の企業や自治体、アンバサダーと協力して進める官民連携の地方創生プロジェクト「つながり応援プロジェクト」の一環です。”

「福岡つながり応援」本日スタート!~人と地域をつなぐ官民連携の地方創生WEBキャンペーン~|PR TIMES

PR TIMESを通じてマスコミ各社にも送られてるハズです。

過去のプロジェクトの運営情報は更新されてないようですから、福岡のプロジェクトがスタートした後にプロジェクトから抜けたようですね。

宮城つながり応援キャンペーン事務局 | 宮城つながり応援


注意

ここでは福岡ではじまった「つながり応援プロジェクト」について言及しています。
山口・宮城・沖縄でのプロジェクトについては、AIを使った記事作成や大きく問題なことが行われた痕跡は無いようであると私は考えています。

さいごに

ということで、ウェブ上の情報から「福岡つながり応援」がどういったものであるか書きました。福岡の自治体および福岡県民に不利益なイメージがひろがりつつあったので、理解の一助になればと思い、共有しておきます。

サムネイルはChatGPTによる「福岡つながり応援」プロジェクトをイメージした画像です。
~地域の人々が集い、温かく活気のあるコミュニティの雰囲気が描かれています~ とのことでした。

本記事はインターネット上の情報をもとに私、住本が執筆しております。AI生成による場合と同様に、情報の正確性を保障するものではありません。情報が誤っている・変更されている場合もありますのでご注意ください。最新情報は公式サイト等でご確認をお願い申し上げます。

追記(2024.11.17)

11/13(水)
キャンペーンを後援している福岡市と飯塚市からコメント。
ウソAI記事がでることは、自治体は事前に通知されてなくて困惑状態とのこと。福岡市・飯塚市は[官民連携]をしてない。

"(官民連携について)「具体的な事業は全くなく、名義を貸しているだけ」(飯塚市商工観光課)
両市は事態に困惑しており、記事の削除や再発防止を申し入れたという。"

篠栗焼き?古賀市に鹿児島湾? 生成AIによる福岡誤情報、官民連携サイトにずらり|西日本新聞


11/14(木)

↑の記事が西日本新聞紙面の一面に掲載。

夕方
AIの福岡観光誤情報サイト 福岡市が後援取り消し|西日本新聞

翌営業日中に、福岡市と飯塚市の[後援]の記載が削除されました。
これで、かろうじて言い訳のできた「官民連携」の表記がおかしい状況に。

もしかしたら「官民連携」してる自治体がどこかあるのかもしれないけど、説明もなく載せ続けるのはおかしいですね。

11/17(日)
キャンペーン運営会社からのコメントが初めて伝えられました。

”『生成AIを活用して文章をスムーズに作れる』と聞いたので問題ないと認識していた。落ち度だった。”

やっぱりその程度の認識だった。

生成AI、実在しない観光名所紹介 福岡市後援の官民連携サイト|毎日新聞

「生成AIの知見不足だった」人による確認も不十分 誤情報を記事化|毎日新聞

キャンペーン企画会社、株式会社Next Relation(ネクストリレーション)への取材はどこかやってくれてるのかな?

運営会社に責任を押し付けて逃げてるように見えるため良くないなぁと。
見つけたら教えてください。

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