イタリアンのファミレスで飲む

今日はこのあと、シン・エヴァンゲリオンを観る。
あっ、これ以降エヴァンゲリオンの話は出てこないので安心してほしい。

近所のモール。
映画は今からでもやってるけど、それまでに腹ごしらえをしておきたい。
何しろ3時間近くあるらしい。何か入れておかないと活動限界がきてしまう。

まずは映画のチケットを買う。
思ってた系列のシネコンじゃなくて割引が使えない。
しょうがないから、ここの会員登録をするか。
スマホから登録。
チマチマめんどくさい。家でパソコンを使ってやってくればよかった。

1Fに降りて飲食店を物色する。
ここはスーパーが中心であまり充実してないかと思ったがけっこうやってる。
見つけたのは大人気イタリアンファミレス。
映画の時間まで1時間。ちょうどいい。ここにしよう。

ここはやたらワインが安い。
グラスワインが100円から。
1本まるごと頼んでも1100円とかそのくらいらしい。
落ち着いたらみんなで豪遊したいねぇ。

まずはデキャンタ赤250mlから始める。
それから羊肉の串焼き。前から話題になっていて、ずっと食べてみたかったやつだ。
そんでめずらしいマッシュルームのポタージュ。

備え付けの注文シートに記入し、優雅な手つきで呼び出しボタンを押す。
これを慣れた感じで店員さんに渡せばスムーズで粋な注文が完璧にできる。

そう。この店けっこう混んでて、
さっき外で待ってる間にメニューを決め、テーブルにある注文シートを使うことも把握していたのだ。書いて渡すだけなら注文も一瞬。
完璧な流れだ。
これなら映画にもぴったり間に合うし、店員さんに「できる」と思わせられる。「できる」と思われたい。

店員さんがくる。慣れた風に注文シートを渡す。
「ありがとうございます。注文確認しますね。
 ・・・と、・・・と・・・ですね?」
「はい」

ご注文をくりかえされてしまったので、
実質、「ワインと、串焼きと、スープください」
を省略しただけであるのがなんかモヤモヤする。
わざわざ紙とインクを消費した意味は?

モヤモヤしながら待ってると
「あー、さっきのチケット購入。この時間にスマホでやったら良かった。」
なんてさらにモヤモヤすることが浮かんでくる。
私が 泉昌行先生のダンドリくんだったら身もだえしているところだ。

ちょっとだけ精神汚染濃度が上がったところでデキャンタが到着。
よし、シンクロ率を上げていこう。

マッシュルームスープはほろ苦くて滋味。
俺ぐらいになるとスープもつまみにできるのだ。
羊串もいいぞー。最初はやみつきになるスパイスをかけないでそのまま。
ちょっと癖のある脂っぽい肉。うまい。
羊串が手軽に食べられるだけで嬉しいが、さらにスパイスをかけるとすごい。これはやみつきになってしまう。デキャンタがあいてゆくぜ。

全体的に赤とか茶色とか、インスタ映えしないビジュアルだが、女子供じゃあるまいし、こういうのでいいんだこういうので。(あえてこういう表現をしています。怒るのを待って。)

美味しく堪能させていただきながら次の注文を考える。
ここまでの作戦は立ててきたがここから先は第1の注文を終えてから考えることにしていたのだ。パスタかピザかそれともドリアか……。水分をひかえめにしつつ、軽めの炭水化物でお腹をととのえたい。

気になる品を発見。フリコってやつ。
見た目はドリアかグラタンみたいだけどなんか違うらしい。
下がソースだけ? マッシュポテトが敷いてある?
よしちょっと挑戦してこれにしよう。
あと、一度やってみたかった追いペコリーノチーズだ。

注文シートは書いても変わらないからそのまま注文ボタンを押す。
ここで映画まであと20分ほど。ちょうどいいペースだ。水分もそれほど接種していない。

先にペコリーノチーズが届く。店員さんにペコリして受け取る。
すでにデキャンタがなくなっているので許してほしい。

フォークですくい上げて食べてみる。細かくフワフワで口の中にチーズの風味がひろがる。これで100円なのはすごいな。輸入食品店でチーズの塊を買おうものなら500円1000円はすぐだもんな。

ただ、

うまいけどけっこうしょっぱい―

これをいいペースで食べるには追加注文したグラスワイン白じゃちょっとたいへんかも。

続いてフリコが到着。

さっそくいただく。なるほどマッシュポテトのグラタンだ。
しかし、しまった。これもけっこうしょっぱい。

シメの炭水化物扱いにしてたのにけっこうな塩味。
作戦が破綻してしまった。

そりゃあ「アンチョビのフリコ」だもんねー!
どうりで「おつまみに。」ってオススメされてたわけだー!

しょっぱい。でもはやく食べなきゃ。映画まであと5分だ。しょっぱい。水飲みたい。映画の間にトイレ行きたくなると嫌だな。ええいでも最初についでおいたコップ1杯分の水くらいなら……


人は時に困難な状況に巻き込まれ、非情な2択を迫られる。
何かをあきらめなければならない時が、人生にはある。
すべてを願えばすべてを失う。

自分はすべてを手に入れることを望むだけの度量がある人間なのか?
現状に満足し、停滞を続けるべき人間なのか?

その答えは― 映画館にあったりしてな!してな!


※このお話は事実をもとにしたフィクションです。だいたい戯れ言です。

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