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夏油傑の問い「君は五条悟だから最強なのか、最強だから五条悟なのか」とは何だったのか。その真意とは (『呪術廻戦 懐玉・玉折』)


はじめに

こちらの記事はTVアニメ『呪術廻戦』の第2期25話~29話にあたる『懐玉・玉折』についてとなります。原作と多少の差異がある場合がございますのでご承知おきください。

「君は五条悟だから最強なのか、最強だから五条悟なのか」


「術師だけの世界を作る。それ以上でも以下でもない」

かつて五条に「呪術は非術師を守るためにある」と術師の在り方を説いた親友から返ってきた答えは180°違ったものでした。
そんなことができるわけがないと否定する五条に対して夏油は

「君にならできるだろ。自分にはできることを他人にはできやしないと言い聞かせるのか?」

と問いました。

今回の主題である「君は五条悟だから最強なのか、最強だから五条悟なのか」というセリフはこの一連の流れで夏油から五条に対して発せられました。
そしてこのセリフはこう続きます。

『もし私が君になれるのなら このバカげた理想も地に足が着くと思わないか?』

夏油傑の目的

上述したように、夏油の目的は「非術師を皆殺しにし、術師だけの世界を作る」というとてもぶっ飛んだものです。
というのも、作中でも「術師は年中人手不足」というセリフがあるように圧倒的に非術師に対して術師が少ない中、その非術師を皆殺しにするというのは一見無理に思えますし、五条や家入の反応も頷けます。

しかし、夏油は、覚醒し名実ともに「最強」となった五条にならできると言います。(実際、冥冥も五条は1人でこの国の人間を全員殺せると評しています。)

このことから夏油の目的は「五条悟と同等、または近しい実力を手にすることで実現可能となる」といえます。

最強『だった』二人

『懐玉・玉折』において印象的な五条&夏油の「最強」ペア。本人達も「俺たち 最強だし」「私たちは 最強なんだ」と、互いの実力に絶対の信頼を置いています。

しかし、天与の暴君 「伏黒甚爾」に五条・夏油ともに敗戦。星漿体の護衛に失敗します。
この敗戦をきっかけに五条悟は覚醒。現代最強の術師となりました。

その後、上機嫌で成長結果を夏油・家入に説明する五条に対し、夏油のモノローグで

「悟『最強』に成った」

と語られています。

この頃から夏油は少しずつ五条との力の差を感じ始めていたようです。
(正確には盤星教の施設で五条を見た時からかもしれませんが。)

最強の二人は既に無く、文字通り「最も強い」のは五条だけになってしまったのでしょうね。

3人しかいない特級術師のうちの1人なんですけどね夏油。。。

その真意

「君は五条悟だから最強なのか

この問いにおいて、「五条悟だから」というのはどういった意味合いなのでしょうか。
これは、「五条悟」という人物(いうなれば人格)そのものを指していると思います。

呪術は非術師を守るためにあると述べる夏油に対して、
力に理由や責任を乗せるのは弱者のすることと五条は言います。

この時の夏油の思想に当てはめるのならば
「呪霊を発生させない世界を作る」原因療法を求める夏油に対し
「自身が強くなることで発生した呪霊を全部祓う」究極の対症療法の五条
といったところでしょうか。

とにかく、覚醒時の「天上天下唯我独尊」に表れている通り
五条は
「俺が強ければ良くない?」
の精神であり、それこそが「五条悟」という人物でしょう。

最強だから五条悟なのか」

「最強だから」というのは単純に生まれ持った才能のことを指しているでしょう。
御三家のうちの1つ「五条家」出身に加えて
なんてったって「うん百年ぶりの六眼と無下限呪術の抱き合わせ(伏黒甚爾談)」ですからね。類稀なる才能とはまさにこのこと。

「六眼」と「無下限呪術」という要素を併せ持っているからこそ「最強」であり

それこそが上述の「五条悟」という人物を形成したのか

そう言いたい訳ですね。

つまり、
前段は、「五条悟」としての性格や信念があったから、名実ともに「最強」となれたのか? 
後段は、生まれつき突出した才能があり「最強」だったから今の「五条悟」が形成されたのか? 
といった意味であると解釈できるのではないでしょうか。

答えはどちらなのか


答えは前段でしょう。

理由は
五条悟は伏黒甚爾に一度敗北しているからです。

作中でも術式反転・赫の発動に失敗したり家入に反転術式の説明を受けている描写があることから、五条は類稀な才能を持っていながらもさらに研鑽を積んでいたことが窺えます。

そして、一度敗北を喫し死に際で呪力の核心を掴んだことにより、五条は覚醒します。

反転術式、術式反転・赫に加え、虚式・茈を身に付けた五条は名実ともに「最強」となりました。

結論

上記のことを踏まえて、この問答を通して夏油が伝えたかったことは

特別な「眼」と「術式」を持っていてもそれに胡坐をかかず強くなるための研鑽を怠らなかったことにより、今の「最強」である「五条悟」があるなら
私「夏油傑」もこれからの努力次第で君に並ぶことができるのかもしれない。そうしたら非術師を皆殺しにするというこの理想も実現できるかもしれない。
だから、「今は」違うというだけで私の可能性を否定しないでくれ。

ということだったのではないでしょうか。

逆に言えば、
今の夏油を殺すことは将来夏油の理想が実現するという芽を摘むことになるので
「夏油によって殺される非術師を守ることに繋がる=意味がある行い」
だということになり
夏油の
「殺したければ殺せ それには意味がある
に繋がるのではないでしょうか。

最後に

長々と書いてしまいましたが、読んでいただきありがとうございます。
私のnoteを読んで、少しでも皆さんの疑問が解決できれば幸いです。

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