2023年6月 山中湖に一泊してきました【富士五湖】
梅雨の湿った雨の中、山中湖に一泊二日で行ってきました。東京から日帰りも可能な距離なのにせっかく泊まるのだからゆっくりしようと思ったのですが、行ってみたらあれもこれもと欲張って、結局かなりドタバタになりました。
交通手段は車。今回は訪れた場所順ではなく、地域でまとめてみました。
1.富士吉田と忍野
山中湖花の都公園
山中湖花の都公園は、東富士五湖道路山中湖ICから車でわずか3分。30万平方メートルもある広大な敷地で、「清流の里」と「花畑・農園エリア」からなる大きな公園です。
清流の里に入ってみました。
ここには四季折々の花々が咲くそうで、ちょうどポピーとかすみ草が美しく花開いていました。「フローラルふらら」という全天候型温室は、ガーデニングの参考になる可愛らしい西洋風庭園。なかなか大きくて、よく手入れされています。
清流の里の一番奥には「明神の滝」という人工?の滝があって、気持ちのいい風景が広がります。
「溶岩庭園」の建物中の階段を下りると、富士山の噴火によってできた溶岩樹型(溶岩に取り囲まれた樹木の幹が燃えた後に残る円筒状の空洞)などを見ることもできます。
「レイクガーデン」には前述のように今の時期はかすみ草やポピーが広がっていましたが、季節によってチューリップ、ネモフィラ、キカラシ、ヤグルマギク、サンパチェンス、百日草、ひまわり、コスモスなどを見せてくれるようです。
かなり雨が強かったのであまり長い時間滞在しませんでしたが、天気さえ良ければお弁当片手にのんびりピクニックしたいですね。
案内所、おみやげ店、お食事処、カフェ、フラワーショップなど、施設は不足なく揃っています。園内は広いので、移動のための貸自転車もあります。
清流の里は有料。
4月16日から10月15日までは大人600円・小中学生240円
10月16日から11月30日、3月16日から4月15日まではそれぞれ360円・150円
12月1日から3月15日までは無料。
駐車場は別途300円です。
休園日は12月1日~3月15日の毎週火曜日。営業時間は4月16日~10月15日は8:30~17:30、その他は9:00~16:30です。いずれも2023年時点です。
清流の里 | 山中湖花の都公園 - 富士山・山中湖観光スポット (hananomiyakokouen.jp)
忍野八海
忍野八海は八か所にある池のように小さな湧泉群で、世界文化遺産です。この辺りはもともと忍野湖という湖でしたが、それが干上がって盆地になり、池として残ったのが湧水の出口であるこの八か所というわけです。
近くの駐車場に車を停めました。大体どこも一日300円。一番賑わうのは忍野八海ではない中池という池の周辺で、お店が並んでいます。大雨の中、バスツアーの外国人観光客がたくさんいました。
時期と天候を考えたら池の水も濁るだろうに、なぜこんなに中池の水は綺麗なのか? …実はこの池はテニスコートの跡地に造られた人工の池なのです。でも、中池こそが忍野八海の目玉だと思っている人も多いのでしょう。鏡池や菖蒲池にはほとんど観光客がいませんでした。
八つの池のうち出口池だけ少し離れたところにありますが、お釜池、銚子池、湧池、濁池、鏡池、底抜池、菖蒲池はほとんどこの中池の周辺に集まっています。底抜池は榛の木林民俗資料館の中にあり有料。出口池と中池との距離は歩いて15分くらいです。
一つ一つの池は小さいのですが、丁寧に歩いて回ると意外と楽しい。当たり前ながら、池それぞれに違う顔があるんだなと実感しました。
忍野八海 | 忍野村公式観光ホームページ (vill.oshino.yamanashi.jp)
ふじさんミュージアム
ふじさんミュージアムは別名富士吉田市歴史民俗博物館。1979年開館ですが、建物は建て替えて間もないのかとても綺麗です。
ここのおススメはVRシアター。12分で富士山の登山口から頂上までの風景を見せてくれます。部屋の壁全面に広がる四季の景色は圧巻!
この博物館に来ると、富士山信仰というものが少し理解できます。登山や旅行という市民レジャーの概念が存在しなかった昔、日本一の霊峰に登るのは紛れもなく一生に一度してみたい巡礼でしたから、日本各地に講ができ、その代表者がみんなで集めた資金で富士山に登りました。もちろん富士山麓にくるまでも大変な旅。その辺りの長旅の苦労もよく展示しています。
富士山は下三分の一が草山、真ん中が木山、上三分の一が焼山と区分されますが、焼山は神の領域。この焼山がどれほど過酷な場所なのか、レーダードーム館(後述)と合わせるとよく分かります。
ミュージアムパークの敷地内には忍野八海を源流とする富士山伏流水も含まれる鐘山の滝、旧宮下家住宅、旧武藤家住宅という二軒の大きな古民家があり、どれもちょっと覗くと楽しいです。同じく敷地内の古民家カフェではパスタなどの食事もとれます。カフェは10:00~17:00。
ミュージアム・ショップも洒落たグッズが多かったです。私はレーダードーム館と旧外山家住宅の三か所セットで券を購入しましたが、大人800円と小・中学生450円。このセット券は三施設を一日で回る必要はなく、有効期限が一年あるので行きたい時に行きたいところを訪ねることができます。
ふじさんミュージアムだけなら入館料は大人400円、小中高生200円、駐車場無料。火曜日が休館日です。
御師旧外川家住宅
「富士御師」は富士山に登拝する「富士道者」に自宅を宿坊として提供する世話人で、また祈祷して神仏との仲立ちをする宗教者でもありました。御師を務めていた外川家の建物は、この宿坊の18世紀の姿を留めています。
ここは主屋と裏座敷からなるのですが、自分たちの家として建てられた主屋と違って、裏座敷は宿泊者が増えたため19世紀に増築されたので、宿泊者への配慮か天井が少し高く造られています。それでも多い時には100人も泊まったということですから、足の踏み場もなかったのでは。
旧外山家住宅にはレーダードーム館、ふじさんミュージアムとのセット券で入れますが、個別だと大人100円、小中高生50円、火曜日休館。無料駐車場があります。
受付のおじさんがとても親切な方で、私が東京からきたと知ると16世紀(江戸開府前!)の江戸の地図と、自宅近くの「富士塚」を紹介するコピーを持ってきてくださいました。富士塚は富士山に登拝できない人が、代わりに登ってご利益を少しでも享受しようと造られた人工の築山で、かつては江戸を中心に200か所ほど築造されたようです。
受付ではさらに可愛らしい折り紙の富士山を頂きました。奥に座っていらっしゃった女性の方が折られたのでしょうか。色とりどりの丁寧に折られた可愛らしい富士山に、こんなに有難いお土産もあるのかと心が温まりました。ありがとうございました!
2.鳴沢の辺り
なるさわ富士山博物館
山中湖から車で30分、西湖の南岸近くにある道の駅なるさわに「なるさわ富士山博物館」があります。ここはとても色々な種類の鉱物を展示・販売しているので、ちょっと立ち寄ると楽しいですよ。9:00~18:00、入場無料です。
車は道の駅なるさわに停めることができます。道の駅では新鮮なお野菜を買いました。
なるさわ富士山博物館 (narusawa-fuji.com)
鳴沢氷穴
なるさわ富士山博物館から車で6分ほど西、青木ヶ原樹海の中に「鳴沢氷穴」があります。ここは864年の富士山の噴火(貞観大噴火)によってできた空洞です。
鳴沢氷穴の入洞料金は大人350円、小学生以下200円。近くの富岳風穴とのセット料金もあります。無料駐車場あり、4月1日~10月15日は9:00~17:00です。
入口を入ってすぐに屈んでやっと通れるような狭い道があるので、体が固い人や背の高い人は膝をついてもいい(汚れてもいい)服装がお勧めです。15分もあればじゅうぶん行って帰ってこれます。
この日の洞穴内部の温度は0度。かつて氷の貯蔵庫として使われていたそうで平均気温は3度とのことなので、ここに来る時には真夏でも必ず一枚羽織る物を持ってきてくださいね!
鳴沢氷穴 | 富士山の洞窟 天然記念物 富岳風穴・鳴沢氷穴 | 富士山・河口湖 洞窟 観光スポット (mtfuji-cave.com)
西湖いやしの里根場
鳴沢氷穴から車で10分ほど北、西湖の北西に行くと「西湖いやしの里根場」があります。ここは台風災害で移転した集落の跡地に茅葺民家群を復元した野外博物館です。
入場は大人500円、小・中学生250円。無料駐車場があります。開館時間は3月から11月までは9:00~17:00。12月から2月までは9:30~16:30です。
いやしの里根場には20軒ほどの復元家屋があって、案内所、食事処、茶処、休憩所があり、多くの家屋では様々な工芸体験もできます。
どの家もうっかりするとただ一階をざっと眺めて終わってしまいますが、実は二階に行けたり、奥に展示があったりとなかなかトリッキー。一軒一軒ゆっくりのんびり見て回るのがいいようです。
「いやしの里根場」では、ぜひ「砂防資料館」に足を運んでください。1966年、大風26号の集中豪雨により発生した土石流で、40戸以上あったこの地の村落が4戸を残して流失倒壊。94名もの村民が亡くなりました。「足和田災害」と呼ばれる、この悲劇についての資料館です。
昭和中期のことなので写真その他の情報が多く残っていますから、災害前と災害後の姿を比べることができます。平和な山あいの村で穏やかに暮らす人々の写真を見ると、胸が詰まります。
富士山の噴火災害はよく語られますが、この土石流災害は意外に知られていません。その後村落は移転、様々な災害予防措置が取られたそうです。
西湖いやしの里根場 | 美しき日本の原風景 (saikoiyashinosatonenba.jp)
鳴沢溶岩樹型
「いやしの里根場」から山中湖方面に13分ほど戻ったところに「鳴沢溶岩樹型」があります。「魔王天神社」の向かいに注射スペースがあります。
魔王天神社の創建は836年。ここは普通の第六天神社ではなく、魔王の山をご神体とするため本殿はないそうです。
富士山の神社:魔王天神社 (fujisan-jinja.com)
さて、その向かいの細道を入るとこんな小さな案内板が。さっき花の都公園で見た、あの溶岩樹型です。
鳴沢溶岩樹型は12番まで番号が振ってありますが、もっとボコボコ散在しています。大きいものはほとんどちゃんとチェーンで覆ってありました。
10番だけ私有地なので見ることができませんが、他を全部探して小さな森の中をウロウロするのが楽しい! ここの森自体がとても素敵でした。
10分も森の中をうろつけば全部見つかります。ちょっとした冒険気分でいいですよ!
北口本宮浅間神社
鳴沢溶岩樹型から車で15分ほど東、河口湖と山中湖の真ん中にあるこの神社は、知る人ぞ知る富士山の登山口。富士山域の一部で世界遺産です。無料駐車場はどれもそれほど大きくありませんが、全部で7か所あります。
景行天皇40年というから4世紀辺りが創建ということなのでしょうか。神殿が建てられたのは788年が最初とのこと。
ものすごく険しい顔をした完全装備の登山者が通り過ぎて行くのを何回か見ました。これから霊峰に登る顔ですね。お気をつけて……私は世俗をウロウロします。
レーダードーム館
レーダードーム館は北口本宮浅間神社から車で5分です。1964年に設置され、多くの人がいまだに富士山の頂上にあると思っている気象観測所のレーダードーム。実は1999年にその役目を終えていたんですね。
レーダードーム館だけの入館料は大人630円、小・中学生420円。開館時間は9:00~17:00、火曜日休館。無料駐車場アリ。
ここではシアターで何と言ってもNHKの「プロジェクトX~挑戦者たち~」の初回放送「巨大台風から日本を守れ 富士山頂・男たちは命をかけた」を観て欲しい! あんなところにレーダーを建設するというとんでもない計画だけでもすごいのに、それに中心的に携わった気象庁の藤原寛人さんという人が、あの直木賞作家・新田次郎氏だと最後にサラッと紹介された時の驚き! 不勉強でした……
館内では富士山頂上の天候を体感できる施設があり、7月をイメージした優しいバージョン「ご来光コース」と3月頃をイメージした「ブリザードコース」があります。ヘラヘラとブリザードコースを選んだら、やっぱり半袖では結構辛かった……
こちらのミュージアム・ショップには、「ゆるキャン△」とのコラボ商品が陳列棚三列か四列分も並んでいました。もちろん、そちら目当ての若い男性もちらほら……真剣に選ぶ目つきがいいですね~。
3.何食べた?
この辺りでご飯といえば「ほうとう」。起源は色々言われていますが、山梨では戦国時代にはすでに麺類が食べられていたらしく、江戸時代にはかなり日常的な食事だったようです。
いやしの里根場の入り口手前に数軒お土産屋さんがあります。お名前を失念してしまいましたが、入口に向かって右側にある食堂で頂きました。頼んでみたのはカレーほうとう。かなりボリューミーでした。1100円だったと記憶していますが……
夕食は宿泊するホテルでは高いから、外で食べようと思って車でウロウロ。17時半と少し時間が早かったこともあって、まだ夜の営業をしていないお店が多くて困りましたが、「大豊」さんが開いていました。
大きめのテーブルが5個くらい、カウンター、そして奥に大勢でも座れる床敷の座敷がありました。お店の方は愛想がよくて、すぐにお料理を運んできてくれるのも嬉しかったです。
天ぷら定食は1800円で、野菜を中心としたてんぷらが盛だくさんと定食セットとかなりボリュームがあります。他にほうとうからステーキ定食まで色々ありました。
お食事処大豊(たいほう) | 食べる・買う | 山中湖観光協会 公式ホームページ (lake-yamanakako.com)
一泊二日といいながら一日目に行きたいところを詰め込み過ぎて二日目に空白ができてしまい、結局高速道路の混雑前に帰京しました。せっかちがやりがちな無駄なヤツ……
富士山は「信仰の対象と芸術の源泉」として世界遺産登録されているのに、今までは富士山と信仰があまり結びついていなかったんですが、今回の旅行で少し分かりました。それから地質学的なことや噴火についてもほんのちょっと。天気には恵まれませんでしたが、あちらこちら行けて楽しかったです!
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