フランケンの願い。 (掌編/短編)
二人はどこか似ている。誰からの共感も得られず、永い間一人で生きてきた52Hz達。そんな二人が、何かの拍子に出会ってしまう。
リビングデッドの二人は、世間のことを何も知らない。当然といえば当然だ。共感してくれず、自身の意見を否定してくる連中しかいない世界に於いては、相手を理解する必要性に駆られることはない。
世界の片隅で暮らす彼らは、ふと「優しさ」とは何だろうという疑問を持つ。辞書で単語をひくと、『心温かく、思いやるがあること』と書かれている。
「例えば?」
ノームが問う。
「例えば……そうだなぁ。死にたい人間がいたら助けてあげる、とか?」
サフラは返答する。
「私が死にたい人間だったとして?」
「……何もかもが嫌になって、世界を呪わなくちゃ生きていけないくらいなったら、俺が、君を殺してあげよう」
「何それ、めちゃくちゃ優しいじゃない!」
どうしようもないことをどうにかしようとするには、帰するところそれしか方法がないというのは彼らにとっての共通した思想だった。
いざとなれば、自分が抱える全ての苦痛に終止符を打ってくれる。それ以上の現実的な慰めが、果たしてこの世に存在し得るのだろうか。
絶望的な生活を送ってきたノームとサフラにとって、優しさとはそういう類いのものだった。
そうやって、世間的には非倫理の塊であるような優しさを、二人は喜んで考え始める。ロストマンの二人が出会って世界の隅っこで生きていくとしたら、こんな物語のような優しさも生まれるだろう。こうして、彼らは究極の優しさに包まれた生活を送るようになる。
なんて素敵なことだろう。
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あなたには「二人はどこか似ている」で始まり、「なんて素敵なことだろう」で終わる物語を書いて欲しいです。 #書き出しと終わり