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夏川
2021年10月20日 02:05
僕らはいつも背中合わせの関係だった。 何処かの物語みたいに、背中を預けられるくらいに互いの力を信じていたわけではなく、或いは、背中を預けられるくらいに親密だったわけでもなく。もっと悲観的な理由なのだと、僕らだけが知っている。 また、それは決して二人だけの秘密のような甘美な響きを持つわけでもなく。ただ、知る者が僕ら二人だけだったと言うだけの、寂しい話だ。夕暮れ、灯り始めた街灯の横で独り躓き歩く
2021年1月1日 18:29
二人はどこか似ている。誰からの共感も得られず、永い間一人で生きてきた52Hz達。そんな二人が、何かの拍子に出会ってしまう。 リビングデッドの二人は、世間のことを何も知らない。当然といえば当然だ。共感してくれず、自身の意見を否定してくる連中しかいない世界に於いては、相手を理解する必要性に駆られることはない。 世界の片隅で暮らす彼らは、ふと「優しさ」とは何だろうという疑問を持つ。辞書で単語を