音速の空想、見事なまでに起承転結
たった今、あなたの手を離すところまで想像しました。あなたのその一文を読んで、おそらくそれは5秒か10秒か、もしくはそれ以下かもしれません。
私はあなたの手を離すところを想像し、現実で涙しました。
その前までは、夜に太陽が出ているような、窓を開けずともそこには澄んだ空気が存在しているような、黄色や赤色のような世界でした。しかしその数秒後、全ては雨にぬれ、鼠色やセピアに染まりました。あくまでもそれは5秒間での想像の結果です。私の場合はそれが悪化することがほとんどなので、さらに10秒、20秒と増えれば増えるほど色は褪せ、あなたは遥か遠くで左手に砂を握ることになるでしょう。そしてそれはあなたが望むなら、ゆっくりと地面に落ちていくでしょう。
主語があなたになっている時点で、私の未熟さと軟弱さは手にとるように分かりますね。私は弱い人間です。ただ決して、卑劣にはなりなくないと願う人間です。あなたがそちらに行く時、私には下さなければならない決断があります。私は人生において、そのような物事はまだ一度も経験したことがありません。あまりにも大きな決断です。もし本当に起こってしまうのであれば、それは紛れもなく生涯記憶に残るでしょう。それほど大きな決断です。
手の中に砂を感じた時、あなたの目はどこに向いているでしょうか。私の目はどこに向いているでしょうか。あの時あの道を通っていればそれは見えたのだろうか。右に曲がるか左に曲がるか、それはとても大きなことです。でも、もしかしたら向こう側でまた一つの道になっているのかもしれない。
可能性は恐怖であり希望でもあります。
ところで運命はあると思いますか。私にはまだ答える権利ありません。その権利とは自分で自分に与えるものです。他人から享受したものは偽物です。どうかご注意を。