過去の素敵な思い出の行方。
続き。
私には
小中学生の頃に大恋愛をして
大人になった今、会いたい人がいる。
ガラケーも持っていない
スマホでLINEもできない時代に出会った彼。
そんな彼と連絡を取ることができた。
彼に会いたいと思ったきっかけは、
夏に招待された友人の結婚式。
小学生の頃同じクラスだった彼と
共通の同級生の結婚式。
集まった人の多くは同じクラスだった人。
私より結婚した友人の方が、大好きだった彼と中高も繋がりがあるはずなのに、
その場にいない彼の話題が上がることはなかった。
大好きだった彼はどうしているんだろう。
気になる、気になる…。
そう考え始めたら、夢でも彼と会えるようになった。
そんな今は全く接点のない彼との
中学卒業後の繋がりはSNSだった。
とは言っても、相互フォローしているだけで
ただ私が投稿に「いいね!」するだけの繋がり。
言葉すら交わさず、でも相互フォローされている特別感がなぜか好きだった。
大人になった今、いざ連絡を取ろうと思った時、
私は唯一の繋がりであるSNSでDMをした。
それは金木犀の季節だった。
「久しぶり!帰省したときにふとどうしてるかって気になって!」
最近稼働してないなと思っていたSNSのアカウントからは、案の定返信が来ることはなかった。
気になる、気になる…。
その気持ちは、金木犀の香りがすっかりと消えてしまった後も続いた。
思い切ってDMを送った日から約1か月が経った頃、私は思い切ってLINEをした。
え?LINE知ってるの?じゃあなんでわざわざDMなんてしたの?と、今この記事を読んでいるあなたはそう思うだろう。
私は、彼とは中学まで一緒だった、
すなわち、成人式で集まる中学の学年全体で同窓会のグループLINEができていた。
彼がグループを抜けてなくてよかった。
私は、友達追加するところから始めた。
「いきなり追加してごめん!この前帰省したときにふと、いまどうしてるかなって気になって!」
SNSのDMでは返信が来なかった。
じゃあLINEの返信は来る?
そう心配する中、仕事終わりの思考停止中だった私は、
「もう毎日考えるくらいなら、できるだけのことをやっちゃえ!」
とやっとのことでLINEの友達追加とメッセージを送信したのだった。
待っている間は、そのメッセージのことを考えるのをやめた。
その諦めの中、私のスマホの通知が鳴った。
「おひさ!いきなりすぎて笑った」
彼からの最初の言葉は、あのときの彼のままだった。
喧嘩別れをしたわけでもない、
早すぎる私たちの恋愛を、初めての子育てを経験する両親によって引き裂かれた関係。
そしてお互い前に進もうと言ってくれた当時の彼。
当時も、そして今も
私と彼との間に残るのは、ただ単に楽しかった綺麗な思い出だけだと思う。
だから彼も、当時と変わらない、
遠慮のない言葉をくれたのかな。
「いきなりすぎて笑った」
その一言で私はホッとした。
そこからは、早いラリーが続いて
元気?とか今はどんな仕事をしてるとか
どのあたりに住んでいるとか、
たわいもない近況報告が続いた。
「懐かしい気持ちになってしまって、よかったらごはんに行きたい」
突然の私のぶっこみに、数秒でついた既読。
「いいね」と、
そして具体的に帰省する年末あたりかなという実現しそうな返信に
やっぱり当時の彼だと、昂る私がいた。
こんな怒涛の1日のラリーで
彼との久々の連絡は終わった。
あとは年末を待ち、具体的な約束ができるのを待つのみ。
そんな今は銀杏が落ち、そろそろ秋の終わりを一気に迎えるところだろう。
私は今どんな気持ち?
私には今、最高に相性の良い彼氏がいる。
順調というか、何年過ごしてもマンネリが来ず毎日大好きになる最高の彼氏だ。
そう、私が思い出の彼と会いたい感情は、
恋愛感情とはどこか違う。
会いたい、話したい、彼とまた繋がりを持ちたい、夢にまで出てくる彼への感情に納得のいった言葉が「ソウルメイト」だった。
私は思い出の彼を尊敬している。
それは、約10年の空白があったとしても
きっと彼が当時のままの、夢に向かって頑張っている、自信家でキラキラしている彼
という創造が、私の中で現在もなお続いているからだ。
だから私は、私の頭の中で作り上げた彼と恋愛する気はない、という現実味のある考え方である。だいぶ大人になったと思う。
私は、過去ではなく、今を生きている。
ただ私は、恋愛や性別に関わらず、
尊敬できる人が人として好きだ。
そして、尊敬できて、会いたいといったら会えて、簡単に崩れたりしない
そんな人を、同級生でも会社の同僚でも、結婚する相手でも、大切にしていきたいと思っている。
そして私の大好きで大切な彼氏は、私と同じ考えの持ち主だから安心してほしい。
だから私は、この仕方がなく会いたかった思い出の彼への感情に「ソウルメイト」と名付ける。惹かれるべくして性別関係なく出会い、恋愛感情でなくても尊敬できて、お互いに家族ができても繋がりを持てる人として、
次に再会できるであろう時に、再確認したい。
この素敵な感情に、未来があることを祈る。
そんな秋の終わり。