立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む
中納言行平
立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む
(たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん)
訳 お別れだね。
(…ああ、泣かないで)
僕は因幡国へ行ってしまうけど、
因幡山の峰には松が生えているらしい。
僕は毎日その松を見るだろう、君を想って。
君が待っていると聞いたなら、すぐに帰ってくるからね。
君は僕を待っていられるかな。
いなばの山…因幡国にある山と、往なば(もし行くならば)の山
まつとし聞かば…松と、待つ 聞いたならば
来む…「む」は意志
極めてパーソナルな歌のように思う。
そして、彼女はとてもかわいい。誰?
若い恋人かしら。長く大事にされている奥様な感じもする。
行平さんが因幡守に任じられた時から考えると、この歌を詠んだのは37、8?
40歳前のおじさま、艶っぽい。
「立ち別れ」という歌い出しが、少し冷たくてズバッと刀で斬られる感じ。好きです。
在原行平は、在原業平のお兄さん。お仕事もできたようで順調に出世していますが、この歌を見ているとなんだかモテそうです。能・謡曲にこの歌が出てくる「松風」がありますが、そこでも美しい姉妹を恋に狂わせています。いい人なんだろうな行平さん。罪な男です。
因幡万葉歴史館という場所があるらしく、そのHPに掲載されている「因幡国庁跡」の写真がとても美しいので、行ってみたいです。
中納言行平
出典 古今和歌集、百人一首16番歌
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