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企業VPの台本は誰に頼むべきか?
企業VP(ビデオパッケージ)を作ることになった場合、まず最初にすべきことは「台本作成を誰に依頼するか」、決めることです。もちろん、広告代理店や制作会社に「お任せ」で発注してしまう方法もあります。しかし、その場合も以下で述べる誰かがシナリオを書いていることは間違いありません。その場合、広告代理店の営業担当者や制作会社のプロデューサー(マネージメント担当者)と台本執筆者との連携が取れていなければ意図しない台本が出来上がってしまうこともよくあります。
企業VPで内容の充実した映像作品を希望する場合は、どのような人物に脚本を依頼すべきか、しっかりと発注側の視点で考えておきましょう。制作会社・広告代理店に「誰が台本を担当するんですか?」と、尋ねてみることも大切です。その上で可能な限り、シナリオ執筆者とオンライン等で連絡を取り合い、直接どんな内容の映像が作りたいのか、伝えるようにしましょう。そうすることで事前に映像の内容が文字情報としてチェックできると共に、最終成果物である映像クオリティもアップします。
では、この後は各候補者の特徴と執筆依頼時に注意すべき点を詳しく紹介していきましょう。
1. 制作会社のディレクター
制作会社のディレクターは、映像制作の全体を統括する役割を持つ映像制作のプロフェッショナルです。そのため、依頼時からクライアントの要望を聞き、台本を書くケースも少なくありません。実際、制作会社に依頼した際にはディレクターが台本作成から担当するケースが最も多いパターンです。しかし、デメリットとしてはディレクターの専門分野は映像制作であり、文章の専門家ではないということです。中には芸術的センスだけで映像を繋いでいるようなディレクターもいて、その場合、ロジックが必要な台本の質が不十分な場合があります。
また、ディレクターの仕事は映像の撮影、編集、プロジェクト管理やクライアント対応など多岐にわたります。そのため、台本作成に割ける時間が限られ、どんなにベテランであったとしてもシナリオの総制作本数は少なくなる傾向にあります。必然的に難解な内容のシナリオの経験値が低く、文章としての完成度が不十分になる可能性があります。
2. 一般のビジネスライター
文章を書くプロフェッショナルとして、一般のビジネスライターに依頼する選択肢も考えられます。これらのプロライターは分かりやすく論理的な文章を書くスキルを持っています。しかし、主な発表の場はwebサイトや社内報で発表するテキスト記事であり、企業VPの台本に特化した経験がない場合、課題が残ります。
一番の大きな問題点はテキスト記事と違い、映像用のシナリオは多くの要素を考慮しながら書かなくてはならないことです。いくらぐらいの予算で、どのような撮影手法を使って、何日ぐらいかけて作られるのか。こうした映像制作の知識が無い状態で書くと動画シナリオとしてまったく役に立たないばかりか、その通りに撮影計画が立てられると予算オーバーしかねません。
また企業VPのシナリオ作成には映像特有の構成や文法の知識が必要です。例えば、「私たちの会社は雷門で有名な東京・浅草にあります」という文章はシナリオでは適しません。映像は広い場所からより狭い場所へとじょじょにフォーカスする形で並べられます。そのため、シナリオだと、「東京・浅草。雷門で有名なこの地に私たちの会社はあります」と表記するとより見やすく、聞きやすいナレーションになるのです。
さらに、テキストを主な活動の場とするビジネスライターは文字単価での仕事が主流であり、文字数を増やすために表現形態が長文になりがちです。動画シナリオでは可能な限り、文章を簡略化し、分かりやすく、聞きやすい表現にすることが求められます。長文作成に慣れてしまったライターは限られた尺で効果的にメッセージを伝える映像作品の言語化には適しません。
3. ドラマや演劇のシナリオライター
ドラマや演劇のシナリオライターは、情緒的で感動的な物語を作り上げる能力に長けています。近年では、ストーリーブランディングが企業戦略の一環として注目されており、この分野でシナリオライターが依頼を受ける場合もあるようです。エモーショナルな商品訴求を打ち出す場合や物語性の高い内容が必要なプロジェクトには適しているかもしれません。しかし、一般的な企業VPでは必ずしも最適ではありません。
企業VPでは、情緒的な表現だけでなく、商品の特徴やブランドの価値を論理的かつ簡潔に伝える必要があります。またドラマや演劇のシナリオライターはビジネスやマーケティングの知識が不足しているケースが多く、「伝達」よりも「感動」を重視してしまう傾向があります。その結果、企業VPの目的を十分に満たせないことがあります。
4. 企業系映像シナリオライター
企業VPの依頼に最も適しているのは、企業系映像シナリオライターです。企業系映像シナリオライターは映像のための文章作成を専門とし、これまでに多くの企業VPのシナリオを手掛けてきた経験があります。ディレクターよりも多数の台本執筆経験を持つため、映像化を前提とした完成形をイメージした台本作成が可能です。ビジネス用語やマーケティング用語にも長けており、経営層や人事担当者の課題と向き合い、それを解決するための手法を一緒に考えてくれることでしょう。
こうした綿密な打ち合わせの上、しっかりとした企画骨子と台本さえ固まってしまえば後は若手の映像クリエイターや自社社員に任せても一定レベルの動画は出来上がります。
さらに、企業系映像シナリオライターは、感情に訴えるエモーショナルな表現と、ビジネスの堅実な表現を絶妙に組み合わせるスキルを持ち合わせています。このバランスは、視聴者の心に響きつつも企業メッセージを効果的に伝えるために非常に重要です。また、企業側の要望に合わせ、柔軟に対応できるため、企業ブランドや商品イメージに合った表現が可能です。
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自分たちの作成したい企業VPにおいて台本の重要度がどれくらいなのか、以上のことを踏まえた上で制作会社や広告代理店、シナリオライターへと発注するように心がけましょう。