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【ぼちぼち往復書簡】あざとさはブエノスのアルゼンチンタンゴで磨きに磨いた、と思う From すみこ

ようこちゃん。あざといというよりも、何とも可愛らしい幼い恋のエピソードではないですか〜。ほっこりしちゃったよ、この記事。

あざとさねー、と考えて、わたしが思いついたのは、ブエノスアイレスのミロンガ。ご存知の通り、踊りに出かけたとしてもタンゴは男性が誘ってくれない限り、下手すると壁の花のまま一晩が終わってしまうという非情な一面があるよね。本場ブエノスアイレスに行くと、その非情さはリアルです。

かの地でお目当ての相手と踊るために、あざといことは色々したと思うわ。

基本的なダンス技術を磨くとか、愛想よくするとかというのは、基本要件なの。その上で、狙いの相手とのひとタンダを仕留めるのは、まあまあの踊りのわたしの場合はちょっとした工夫を要する。悔しいことに若くて踊れる可愛子ちゃんや、踊りに魔力のあるミロンゲーラ(ミロンガを愛する女性)は何の苦労も必要としないのだけれどもね。素人には多少のあざとさは必要なのよ。

例えばね、よーく観察しているとそのミロンゲーロ(男性)は、プグリエーゼの曲は絶対あの女性と踊るとか、ワルツはあの女性なのね、とかパターンがあるわけ。だからそういう曲の時に、その彼に「わたしと踊って〜」光線を送っても時間の無駄ね。
踊る相手を見つけるタイミングというのは、タンダが始まる寸前から一曲目の半分位までがメインだから、時間を無駄には出来ないのよ。釣れないポイントに糸を垂らして待つより、口を開けている魚がいるところを目がけるのがいいに決まっているよね。無駄なく釣れそうな相手にターゲットを定めるのが最初にやることです。

「あなたがわたしのターゲットよ。」とお知らせするのも技の一つ。彼が別の女性と踊っている最中に、目を合わせたりするの。男性ってね、フロアにいても周りに座っている女性とか、別の人と踊っている女性とかを見たりするのよ。だからね、こちらから視線を送っておいて、好意を伝えておくの。そうするとその後で誘ってくれたりするかな。自分も踊っている最中に、パートナーの肩越しに隣のカップルの男性と目があう時って、小悪魔気分満載です。
この、ご予約投げ作戦、相手がすでに顔馴染だとすんなり行くけど、全くの初対面だとちょっとハードルは高い。でも成功実績はあるのよ。恋い焦がれた相手にやっと誘ってもらえた時に、「僕に興味を持ってくれて、ありがとう」って言われて、それが逆に恥ずかしかったけどね。アプローチが露骨すぎたか。苦笑。

あとは彼が狙いの女性に仕掛けたカベセオが不成立に終わって、振られて座り込んでいる場合。そういうときは、4曲あるうちの3曲目からでも「ちょっと試しに踊ってみる?」みたいな感じで誘ってもらえる場合があるのだ。一度踊って、お互いに好みだと判明すれば、次回からはローテーションに組み込まれる可能性も高いから、それもチャンスだったりするのよね。

いくら待っても誘ってくれない場合は、その人の隣にいるご友人と踊ってみる。私たちと同じように、男性も「あの子の踊りどうだった?」みたいな会話ってあるからね。これ、男性から教わったコツです。それでも誘ってくれない場合は、わたしの踊りが好みじゃないんだねーってことで、永遠にリストから除外です。

隣に座る女友達との駆け引きみたいなのも存在するの。二人揃って好みのミロンゲーロがいる場合って、目線が交錯しちゃうわけ。彼が自分を見ているのか、お隣を見ているのか分からない、みたいなことがね。そういう時は「お先にどうぞ。」的にわたしは他の人に目線を飛ばしたり、彼女の方が他の人と踊りに行ったりして、スマートなカベセオ(目線で誘いあう)が成立する協力体制が行われるの。
嫌な相手に誘われそうでマズイという時に、どうでもよい話題で話し込んでいるフリをする為に女友達が活躍する場合もあったりね。

そんなことも含めてミロンガでのカベセオは面白い。おかげでかなりあざとさには磨きがかかったと思う。

白熱しすぎて長くなっちゃった。
北海道の爽やかな初夏の空を見上げながら、ブエノスの真夜中を思い浮かべるのは、不思議な感覚。ようこちゃんのおかげで久しぶりにタンゴライフを思い出しました。ありがとう。またね。


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Sumiko K @アルゼンチン⇔北海道
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