アルハイママの天国モード
アルツハイマーの母は、時々天国モードに入る。
「あちらの国では、家族っていうのは会えるんだろうか?」と涙ぐみながら言う。
家族揃った夕食時の突然のその言葉に、父と弟は絶句する。
あーこれか。いつか弟が「ヤバイヤバイ、まじ、やばいわ、もう。」と姉弟のグループLINEに送ってきたことがあったっけ。男の人って狼狽えるんだね、こういうのに。
父は、「誰も行ったことがないんだから、わかる訳ないだろう!」と、怒り口調で言う。「そんな死んじゃうみたいな、悲しいこというなぁ!バカァ!」みたいな心情なんだと思う。「会えるよ」と普通に返す、わたしの方が変だろうか?
母の天国モードは結構面白いので、わたしは好きだ。
「お母さんは今日はまだ?」から始まった日は、「おばあちゃんはもう天国にいるよ」と返す。「あらぁ、お父さんや兄さん達と会えただろうか?」と心配するから「みんなで楽しく花札やってるよ。」と言うと、笑って「そうだね」と言う。
おばあちゃんの家がどうなったか心配する日は、「もう売っちゃったよ。」と伝えたら、「お父さんとお母さんが見にきた時に悲しむわ。」と言う。「空き家になって、誰も使っていない方が悲しむよ。」と言うと、それも笑って「そうだね」と言う。
そしていつも「そんなにおばあちゃんのことばっかり懐かしんでいると、喜んで迎えにきちゃうよ。」と誰かが言って、みんなで笑って、天国モードを終わりにする。
本当におばあちゃんが、何か言いにきているのかなぁとわたしは思う。思考がお休み中の母は、感受性がその分鋭いのではないかな?
おばあちゃん、どうかしましたか?
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