著者×デザイナー×編集者「3年の星占い」(石井ゆかり著) 制作よもやま話①
人気シリーズ3作目となる「3年の星占い2021-2023」。発売すぐに増刷も決まり、好評発売中です!(2021.1.28現在累計28万部超)
このたび、「制作よもやま話」として、著者の石井ゆかりさん、デザイナーの石松あやさん(しまりすデザインセンター)、編集者の飛田による鼎談を企画しました。制作の裏話をどうぞお楽しみください!
(鼎談は2020年12月末、ZOOMにて行われたものです)
怒涛の執筆量で抜け殻に
飛田(編集者)
本当にお疲れさまでした!
12冊書ききるって、いったいどんな感じなんですか? マラソン?
石井ゆかり(著者)
12冊というか、私としては、今年は24冊(*)でした。なので、正直本当にできるのか、自信がなかったです。最後書ききるまで、本当に完成するのか、自分でも信じられなかった(笑)。
*幻冬舎コミックス刊行「星栞2021」の12冊を含めると24冊
飛田
魚座の最後を書ききったときって、「放心……」って感じでした?
石井
そうですね。終わったあとがひどかったですね。全部書ききったあとに、単発のコラムとか、雑誌の仕事が入ってたんですが、書いてみたらもう支離滅裂で……普段そんなに雑誌のコラムに赤は入れないんですけど、今回はゲラを真っ赤にして戻しました。
飛田
抜け殻が書いちゃった(笑)。
石井
うん。自分で読み返しても、何を言っているんだかちょっとよくわからない(笑)。いまだに若干その状態が続いてます。
飛田
リハビリ中とおっしゃっていましたもんね。
石井
とにかく、書けなくなりましたね。
飛田
(原稿をいただく側としては)太いストローで最後の1滴まですすった感じ。
石井
雑巾でいうと、絞って絞って絞りきって、もう乾いてしまった感じです。もう何も出ません、本当に。
ゲラだけでもすごい量に。写真は一部。
シリーズ3作目での大変更
飛田
原稿を最初にいただいたのが、ちょうど1年前くらい、1月に入ってからだったと思います。牡羊座の原稿がポンと届いて、
「かなり構成を変えたので、見てください」
と。素晴らしいものでした。
前作までは土星・木星の動きを中心にした構成でした。木星が移動をする期間ごとに見出しがあって、その説明があって、それが3年分。土星だと2年半ずつなので、2項目ありました。それががらっと変わっていた。今回のアイデア(*)はどうやって思いついたのですか?
*今回は、最初に「ある風景」を描いて、そこに出てくるキーワードと星の動きをリンクした解説をしていく構成。
石井
2つポイントがありまして、ひとつは、これはもう星の動きの都合なんですが、木星という星は、魚座のあたりで動きが速くなるんです。木星はだいたい1年くらい、一つの星座にいてくれるので、長期の占いは木星の動きがおおまかな基準になるんですが、水瓶座から牡羊座あたりを通るときは、行きつ戻りつが細かくなって、滞在期間もちょっと短くなります。2021年から2023年はちょうどその時期に当たっていて、書きにくいんですね。
飛田
なるほど、エリアの問題だったのか。駆け足でいくところだったんですね。
石井
だから、その3年を捉えやすくするために、なにかしら工夫が必要だと思いました。
もうひとつは、過去の反省です。3年という長い時間なので、だらだらと抽象的なことを書いてもイメージアップしにくいだろうなと思っていたんです、前から。なので、読者の頭の中になにかしら、絵を描けないかな、と思いました。何か具体物を置いた方が捉えやすいはずだと思ったんです。それで、比喩みたいな物語をつくって解説をしていくというスタイルを考えました。これは私が、毎朝の占いでたまにやる、「たとえ話」の延長です。「今日の牡羊座は緑色。夏の草むらのように元気いっぱい!」みたいな。
飛田
この色は、ラッキカラーではありません。この色のパンツをはいたらいいという意味じゃありませんって(笑)。
石井
そういうのってけっこう皆さん想像しやすいらしくて。ラジオでもよくそういうのを求められるんです。来年の12星座を「お酒のつまみ」でやってくださいとか(笑)。
飛田
できちゃうからすごいですよね。なんでもできますよね。
石井
和菓子でいこうとか(笑)。そういうときって読者の反応もビビッドなので、イメージアップしやすいんだな、と思ったんです。
あと、今回もう一つ考えたことがあります。前回の2作目の時、星の動きで書いていくところ(土星と木星の動き)は、今後もう固定で回していけるようにつくろうと思っていたんです。12分冊を一人で書いていくのは、もう、量の暴力みたいなものなので、できるだけシステム化したいと思ったんですね。でも3年経ってみて、使いまわすのは、やっぱりどうしても、なんか違うなという気持ちになりました。だから、全部書き下ろそうと。少し穴埋めみたいになっている部分もあるんですが、とにかく、各星座ごとに違ったものを書きました。
飛田
前作のときに、次回も使えるようにって。3年前に苦労して文字数もそろえたはずなのに(笑)。なんでやっちゃうのか。
石井
なんでかな(笑)。
飛田
書き下ろしちゃいましたね、全部ゼロからね。でも、星栞もすごい量を書いてらっしゃったから、幻冬舎さんの。両方書き下ろし部分がかなり多かった今年だったわけですよね。
石井
両方とも、継続して買っていただいてる方がいらっしゃるものなので、できるだけ新しいところを考えていきたいんです。できる限り、「また同じか」ってがっかりさせたくない、というか。まあ、項目によってはどうしても、同じ部分もできちゃうんですけどね。
飛田
そういうことだったんだ。私、その楕円軌道でというところからきているとは思ってもみなかったです、あの構成が。
石井
ぐちゃぐちゃしちゃうので、もうちょっとスパッと書きたかったんです。
目次。「3年間の風景」のあとに「解説」のページがある。
(次回に続く)
「3年の星占い2021-2023」の詳しい内容はこちら
★プロフィール★
石井ゆかり(著者)
ライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆。
12星座別に書かれた「12星座シリーズ」(WAVE出版)は120万部を超えるベストセラーになった。『月で読む あしたの星占い』(すみれ書房)、『12星座』『星をさがす』(WAVE出版)、『禅語』『青い鳥の本』(パイインターナショナル)、『新装版 月のとびら』(CCCメディアハウス)、『星ダイアリー』(幻冬舎コミックス)ほか著書多数。
LINE公式ブログで毎日の占いを無料配信しているほか、インスタグラム(@ishiiyukari_inst)にて「お誕生日のプチ占い」を不定期掲載。
Webサイト「筋トレ」http://st.sakura.ne.jp/~iyukari/
石松あや(デザイナー)
グラフィックデザイナー。書籍のデザインを中心に、ポスター、ロゴマークなどグラフィックデザイン全般を手がける。ときどきイラスト。
グラフ株式会社、株式会社xenonを経て、2008年しまりすデザインセンター設立。
くいしんぼうの活版印刷愛好家でもある。乙女座。http://shimarisu-d.com/
飛田淳子(編集者)
実用書編集歴22年。出版社勤務を経て2018年12月にすみれ書房を創業。主な担当書籍に「12星座シリーズ」(石井ゆかり氏)、「男の子の育て方」「女の子の育て方」(諸富祥彦氏)、「家を買いたくなったら」(長谷川高氏)、「正しい家計管理」(林總氏)、「苔とあるく」(蟲文庫・田中美穂氏)、「自営業の老後」(上田惣子氏)など。お菓子が好きな二児の母。射手座。https://sumire-shobo.com/