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不調の原因
季節によって体調を崩される方はいらっしゃるので、この話は「私の場合」という事でお読み頂けたら幸いです。
思考、行動力停滞中。
梅雨真っ只中。
気温が上がってきたことに併せて、べったりと絡み付くような湿気が身体に堪えます。
雨は嫌いではなくむしろ好きだし、街中のそこここに見かける満開の紫陽花には思わず頬が緩むけれど、なんだかどうもパッとしない。
もやもやと何か晴れない気持ちが続いていました。
朝起きても、どろりとした何かが溜まっているように身体が重たい。
やらなければいけない事はわかっているのに
やる気が起きない。
寝ても寝ても眠い。春先から平日の朝に続けていたウォーキングもお休み中。
気晴らしにアート展へ行ってみたり、おいしい焼き菓子を買ってみたり、ゆっくりお風呂に浸かったりするも全く浮上する気配がない。
ええい!もういい!と何もしないでベッドと一体化していても回復しない。
今まで感じたことなかったけど、いわゆる「梅雨疲れ」みたいなものなのかしら…とため息を付きつつ過ごす日々。
そして6月末の仕事終わり。
長時間の来客対応に加え、週末でもあったため、いつもより少し疲れ気味。同僚達が
「あっという間に半年終わったー」
「何もしないうちに半分過ぎたー」
と口々にぼやいた事に少し引っかかってしまい、それがさらに疲れを倍増させました。
ちょっとでも気分を上げようと、百貨店に立ち寄って、気になっていたコスメを買うものの、おすすめを断り切れずにクレンジングも買うハメに。気分転換どころかさらに落ち込んでの帰宅です。
梅と水無月
重たい身体を引きずって家に着くと、完熟梅が届いていました。今年、人生初の梅仕事に挑戦しようと思って、年始に頼んでいたものです。
お風呂入って洗濯して…眠いけど、これか…。少し減入りつつも、下ごしらえに取り掛かります。
箱を開けると桃のような甘い香りがふわんと漂います。しっかりと色づいて熟れた梅を見ると、さっきまでの憂鬱が吹き飛びます。
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箱の中から一つずつ手に取って、爪楊枝でヘタを取り除いていきます。
梅の香りと産毛の手触りが心地良く、無心でへタを取り続けて、3キロの梅はあっという間に下処理が済んでいました。
梅を水に浸してから一息。お茶タイムです。
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お茶請けは百貨店でコスメの会計待ちをしているとき、ふと気が付いて買って帰ってきた水無月です。思い出したのは「夏越しの大祓」。
「夏越しの大祓」は、一年の半分に当たる6月30日に夏を健やかに過ごせるようという願いを込めて、水無月を食べるという京都の風習です。
私は神道ではないのですが、こういった季節の習わしがとても好きで、節句や暦にちなんだ食べ物を食べて楽しんでいます。特別な記念日でなくても、季節の行事を取り入れるだけで一年中変化が感じられる楽しいものになりますし、現状は何一つ変わっていなくても、なんだかリセットされた気分になるのです。
水無月を写真に収めながら、「ああ、今年もちゃんと出来た。」と少しほっとした気持ちになりました。
「何もしなかった」「あっという間」
大人になればなるほど日々の当たり前に流されて、気が付けば時間だけが流れてしまっていることは往々にしてあるけれど、そこに変化をもたらしてくれるのは他人ではありません。
自分だけがそこに関わり、変えていくことが出来るのだと私は思うのです。
季節や周りのちょっとした変化に気を留めて楽しむだけで、「何もしなかった」日々は、季節の思い出に変わるのです。きっと同僚の言葉に引っかかったのは、そんな思いから来る反発心と、ここのところ季節の変化をネガティブに捉えてしまっている自分への焦燥感だったのでしょう。
そんなささくれ立っていた気持ちを、梅と水無月はそっと撫でてくれたようでした。
憂鬱の原因
後日、「脳疲労」という言葉にピンときました。そういえばWeb ライターとマナー講師の活動を始めてから、現職に加えて PCに向かう時間も増えたし、いろんな情報をキャッチして
インプットしようとアンテナを張りっぱなし。さらに気分転換にと思って YouTube やラジオをぼんやり見聞きしていました。感覚的にはぼんやりしているようでも、ずっと情報を受け取っている状態になっているわけだから、確かにそれは疲れるか…。と。
そこに梅仕事と水無月があったことは、頭が空っぽになっていいリフレッシュになったようです。(私が食べ物が好きだという事もあるかもしれないけど…)
環境のせい、ではなく何が原因なのかちゃんと自分で考えないと。反省です。
そして原因がはっきりすれば、対策も取れる。おかげで随分気持ちが晴れましたし、こうして筆を進めることができました。
些細な事であっても自分自身を振り返って問いかけてみる。考えてみる。時に疑ってみる。
それも日々をご機嫌に過ごすための秘訣だな、と今回の経験を通して感じました。
さて、そろそろ梅雨が明けるかしら。
梅雨が明けたら土用の丑の日、梅の天日干しが待っています。