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57歳の愛しき我が家
2021年
コロナ渦の引っ越し。
新築も築浅物件もいろいろ見て決めた我が家は
昭和41年12月に建てられた昭和の家。
一見したら、えっ?まじで?って感じの古い家。
でも、一番最初の内見の時、私には玄関から居間に続く廊下を
みんなが行き来している光景が見えていた。
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そういう勘は当たるもので、実際にその廊下を行き来する毎日。
『そういう勘は当たる』と言えば、運命的な感じだけど
絶対条件だったはずの駐車場も
希望していた居間の小上がりも玄関のベンチも
まぁ、いっか…ってなる夫のおかげで
私はここにいる。
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私はこの家が好きでたまらない。
住み始めた最初の冬、
生まれて初めてしもやけができた。
2年目はしもやけの足音を敏感に聞き取り、
早めに薬をぬりぬりしてやり過ごすことができた。
2年とも標的になるのは右足の中指だった。
寒すぎて、ユニクロのフリースを着ながら寝るようになった。
お正月に1500円で買ったやつ。
石油ストーブを買った。
楽天でポイントがいっぱいついた。
庭で大根やスイカや紫蘇やブロッコリーを育てて食べた。
食べ盛りの子供達の胃袋に入るものならなんでもいいから育てていく。
夫の更年期が始まったのは家のせいではないだろう。
年齢やホルモンには誰しも勝てない。
さそり座の私の運勢が大体悪いのもこの家のせいではない。
たとえ、1位だってしんどいことは起きるときに起きる。
良いことも悪いことも
これまでと同じように起こるだろうし
私の知らない誰かがこの家で住んでいた時も
良いことも悪いことも
起こっただろう。
古い家には『それでも大丈夫だよ』ってな感じの
空気がある。
まぁ、大体古い家を選ぶような人間は
『それでも大丈夫だよ』って言ってもらいたい人間なんだろう。
と、思う。
そうじゃない人がいたら、申し訳ないです。
素敵な古い家はいっぱいあるのに
気づいたら取り壊されてしまって
快適で、機能的で、小綺麗な
よくある家がすぐに建つ。
思うことはいろいろあるけど、
床暖房や断熱性、
結露が問題になる程、機密性の優れた家が羨ましいなんて
思ってないはずないじゃない。
思わないなんて嘘じゃない。
それでも、私はこの家が好きでたまらないことに
かわりはないじゃない。
じゃない、って結局どっちだかよく分からないじゃない
ということで
家のことも少し、書いたりします。