見世物小屋の花魁人魚 -弐-
「さぁさぁ、よってらっしゃい見てらっしゃい」と今宵も若い衆が拍子木を打ちながら格子の外を忙しなく動き回る。
初めは抵抗していたけれど、人間の様に脚があるわけでもなく、自分の意思だけでは逃げられない。
人魚が地上で生きていける訳も無く、ただこうしていつか来るか分からぬ寿命が尽きるまで『見世物』になって終わりだなんて私の性分には合わない。
言葉が分からなければ、覚えればいい、それは格子の中にいても理解しようとすれば分かる。
字が書けなければ、手習いでもすればいいのだ。
そ