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”瞑想修行開始” ~世界一周旅日記~ ネパール編 【第五章:第5話】雲と地平線の間

これまでの旅日記はこちらをご覧ください↓


6/1(瞑想修行その1)


カトマンドゥからバスでおよそ1時間。
山の斜面にたてられたお寺。
今日からここで瞑想の修行を開始する。

2000Mを越える高地。
気温は秋のように涼しい。

寺の入り口の背の高い門は閉じられ、
外部との接触は完全に遮断されている。

これで当分、
俗世間には戻れないというわけだ。

蛍。
夜になると
たくさんの細い光の線が舞い、
その現れては消え、
現れては消えするオレンジ色の灯が、
木々のまわりを、楽しく彩っている。

修行者は100人以上いるようだ。
1割くらいが外国人。
それ以外は地元のネパール人。
日本人は僕を含めて4人。
この4人は、
カトマンドゥで行動を共にしていたバックパッカー仲間。
カトマンドゥで冗談を言ったり、
酒を飲んでたりしていた時とは違い、
皆、真剣な顔をしている。

夕方、
瞑想をする広間に案内された。


150人位は座ることができるだろうか。
薄暗くてなんだか湿気っぽい空気がよどんでいるような感じがする。

静まり返っている。

広間の正面には白いシーツで全身を隠し、
シーツから顔だけが出ている3人の講師が座っている。

その講師達と向かい合うように、
僕達、修行者達は座禅をして座る。

講師の1人が、
マイクを使って話をしだした。

一言でまとめると、
「皆さんの成功を祈る。」
という内容だった。


最初に「アーナ・パーナ」という名前の
瞑想法を教えられた。

そしてすぐ、
腹の底から搾り出しているような、
だみ声のお経が流れ出した。

途中、
皆で声をあわせてお経を繰り返す。

なんだか異質な空間に入り込んだな。
そう思った。


6/2(瞑想修行その2)


この瞑想修行。
最終目標は
「解脱」
ということだ。

「6月11日までに解脱ができるよう努力するように。」
らしい。


解脱

良く分からないが、
簡単にいうと
清らかな心のことで、
解脱すると、
自分が解脱したということに気がつくらしい。

また、
解脱した人には、
解脱した人と解脱してない人のオーラを見分けることができるらしい。


瞑想中、食事中、休憩中、
誰も話すものはいない。


隠れて聖なる沈黙の誓いを破るものがあらわれそうなものだが、
ここではそんな者はいないようだ。

人と目をあわせることも禁止ということだ。


自分と向き合って、
自分の心の深層心理まで入り込むために、
他人との交流は無いようにしなければならない。



瞑想中、
突然、
1人、呼吸が乱れている音が聞こえてきた。
僕が座っている場所場所からは、
右の方の遠くにいる人のようだ。


最初は、
「ハァ、ハァ」
ぐらいだったが、
「ハァー、ゼー、ハァー」
とだんだん呼吸の乱れがひどくなってきている。

他の皆が体を緊張させているのが伝わる。

呼吸の乱れは途中から
嗚咽に変わった。

我慢して抵抗するのを諦めたのだろう。
大声で泣く声が聞こえ始めた。
「ウァァァーーン。ヒー。ヒー。ウァァァーーン。」


講師が、
その修行者を外に連れ出した。
外に行くと、
声を出してもいい場所に行ったことに安心したのだろう。
その修行者の泣き声はもっと大きくなった。


皆の息が荒くなる。
波のような波動で、
右の方から妙な気が伝わってくる。

僕も息が荒くなり、
肩で息をし出した。

2,3分すると、
呼吸が整い落ち着いてきた。


その時、

「ヒーーン。ヒーーン。」

右の方から1人すすり泣きをする声が聞こえてきた。
1人影響されてしまったみたいだ。


講師はその修行者を外へ連れ出した。

すぐさま、
講師がお経を唱えだした。
それにあわせて、
だんだん
皆の呼吸が自然に戻っていった。


今日、
瞑想しているとなぜか、
頭の中に、
日本のコメディアンが現れた。
笑いそうになってしまった。

すぐ集中が途切れてしまう。
解脱まではほど遠いようだ。


今はアーナ・パーナという瞑想をしているが、
6月5日からは、
ブッダが実践した瞑想、
ヴィパッサナという瞑想になるようだ。

ヴィパッサナとはどんなものなのだろう?


6/3(瞑想修行その3)


「ゴーン。ゴーン。」

朝4時
起床の鐘がなる。

4時30分から瞑想がはじまる。

(あぁ。今日もこれから夜の9時まで14時間ほど瞑想、瞑想の1日か。)
と考え気が重くなる。


1枚の座布団の上で1日のほとんどの時間を過ごしている。
50cm×50cm。
このスペースが生活の場所。


今日瞑想して気がついた事。

どうやら僕の心は、
情緒不安定のようだ。

瞑想していると、
すぐに心は過去に行ったり未来へ行ったりしている。
あんな事あったな。とか、
日本に帰ったら、
次の夢を実現するために、
こういう行動を取ったらいいんじゃないか?とか。

心が現在に留まってくれない。


大切なのは終わってしまった過去でもなく
まだ見ぬ未来でもなく、
現在なのに。

現在の自分の心を観察しないといけないのに。

現在に心をつなぎとめられるよう心を鍛錬しなければならない。

「昨日のパンはカビが生えていたとか、と落ち込んだり、
明日パンはパンを得られるだろうか、と心配する前に、
考えるべきは、
今日のパンをどうやって得ようか。ということだ。」

今日、
1人、日本人がこの寺を去った。


<次号の旅日記は12月4日です!>

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