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”旅で得たもの” ~世界一周旅日記~ インド編 【第六章:第3話】雲と地平線の間

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6/28((映画俳優になれるバングラディシュ)

この1ヶ月の間に、
いったい、
いくつの死を見てきただろう。

今日は、山羊だった。
詳細は、気分が悪くなるといけないので、書かないことにしておく。

死は人生の終着駅。
理論では分かってる。
でも、今までは自分には無関係のような感じだった。

今は、違う。
なんてあっけないんだ。

貧困、死、だまし、喧嘩、etc。
インドでは、いたるところで毎日繰り返されている。

そんなものはもろともせず、
インド人たちは、
エネルギー満タンでぶつかってくる。

こっちが、
死、というものを身近に感じて、
落ち込んでいようが
落ち込んでいまいが、
そんなのことはおかまいなしだ。

落ち込んでいる暇はない。
こっちもエネルギーを振り絞るしかない。

全く、インド人たちの、
あのエネルギーといったら。
感心する。

ここでは、
いろんな事を考える。
まだまだインドを見ていきたい。

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屋台で焼きそばをつくる少年


ただ、その前に、
少しの間、インドの隣の国、
バングラディシュへ行ってくる。

バングラディシュは現在雨季。
毎年、バングラディシュでは、
7月の終わりから8月にかけて洪水が発生している。
洪水が来る前にバングラディシュに行ってこようと思う。

バングラディシュは外国人が少ないため、
外国人がおとずれると、
町の皆の興味の対象となるらしい。

"歩いているだけで、後ろから50人くらい付いて来た"とか、
"動物園で動物見てたら人に囲まれて自分が動物のようだった"とか、
色々噂がある。

(ふっふっふ。映画俳優のようだな。)
バングラディシュで、ちょっとした有名人気分を味わってこようと思う。


【旅人インタビュー】

K.Mさんの旅

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[K.Mさんの旅]男性(27)鹿児島出身

今回がはじめての1人旅。
日本では建築関係のアルバイトをしている。
仕事の休みを取って今回旅に出た。

日本からタイ、エジプト、スペイン、タイとまわり、現在インド。
インドの後は日本に戻る予定。
現在までの旅の期間は2ヶ月。

「何で旅に出ようと思った?」

「なりたい自分になりたいと思ったからかな?」

「なりたい自分ってどんな自分なの?」

「分かんない。なりたい自分探しって感じだったかな。」

「これまで、2ヶ月旅をしてきて、
感じることが、いろいろあったと思うけど、
今、考えてることって何?」

「さっき、なりたい自分って言ったけど、
最初は、
なりたい自分探し、って
良いことなの?
悪いことなの?って考えてた。
それには答えってものがなくって。
でも、今は、それでいいじゃん、かっこつける必要ないじゃん、って思ってる。
考えずに今を生きればいいじゃん、って。

ああなりたいな、って思ったときには、
その心の裏には、
劣等感ってものがあって、誰かと比べてたりする。
そういう気持ちで、
なりたい自分になりたい、と思っても、
進歩がないように思う。

だから、とりあえず今を生きる、って考えてる。
今を生きる、って考えると劣等感が無くなった。
結局物事は単純なんだと思う。
今を生きてたら、シンプルに生きてたらいいんじゃないかな、って思う。

そして、今を生きる、って考えてたら、
その後に頭をよぎったのが生かされてる、って感じ。

自然はまわってるし、輪廻転生とか、
生命自体が生かされてるな、って思う。

でもね、実際死ぬときには、
輪廻転生だから、生まれ変われるんだからいいや、とか、
生かされてるんだから、とか、
そういう風には思えない。

俺、死に際にはスゲーあがきたいわけ。
結局、自分が無くなるのは怖い。」

「これまでの旅で得たものはある?」

「なんか、旅に出て最初に変わった前兆が、
自分が広がる感じがしたことかな。
解き放たれた感じかな。

生きてる理由って事を考えてて、
俺にとっては、人と話をする事が生きてる理由だった。

人と話すことは、
心をえぐられて、
切り刻まれて、
なめて癒されて、
血液が逆流する。
背筋がゾクゾクする。
そういう感じがする。

だから、そういう話ができる人を日本でずっと探してた。
でもいない。
自分の考えを放出できずに、
自分の中に閉じ込めていることが息苦しかった。

だから、海外に出ていろんな人と話して広がる感じ、
解き放たれた感じがした。
そして今の自分がいる。
それが得たことかな。」

「最後に言い残したことはある?」

「これは、個人的な叫びだー。
ちっぽけだー。
これしか言えねぇんだー。」

「ありがとうございました。」

(彼の外見は、
肌が真っ黒で、筋肉隆々で、体育会系な印象を受ける。
しかし、外見と対照的に感性的な面が多い。
絵を描くというので見せてもらった。
絵は色鉛筆で書かれていた。
綺麗にいろんな国の風景が描写されていた。
1つ、1りんの花を用紙いっぱいに描いた絵があった。
多分、その時は、その花に、ふと気を取られたのだろう。
その絵に彼の心があらわれているような気がした。)

K.M
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<次号の旅日記は1月1日です!>

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