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柱を残して解体する〜北鎌倉空き家再生プロジェクトno.7〜

廃屋改修のハイライト

ついにここまで来た。未知の世界、解体。

生活していたそのままの荷物が丸々残っていた空き家、腐ったりカビたり錆びたり壊れたりしているモノを捨て、神主さんに来てもらってお清めをし、使えるモノはなるべく次に使ってくれる人に手渡す努力をして、やっとここまできました。

なるべく自分達の手を動かしてやる、と決めて始めたチャレンジなので、家を壊すところもやってみたい。

そもそも屋根に穴が空いていて傷んでもろくなっていることは分かっていたので、その上に乗っての瓦下ろしなどは危険要素がたっぷり。

中の解体も釘のついた木材や壁を壊していくので怪我をする可能性も。

顔見知りではない人に広く告知して作業してもらう勇気は出なかったので、知り合いで仕事で高い所にのぼっている植木職人やDIY経験が豊富な人、空き家再生プロジェクトに興味をもってくれていた友人に直接声をかけて大人15人子ども4人にお集まりいただきました。

いざ、解体!

作業の指導は、DIYでは難しい工程を担当して下さっている工務店の出口建具店さんに。
手伝って下さるみなさんの装備も安全第一を念頭に、ヘルメット、防塵マスク、作業用ゴーグルも用意しました。万が一の保険にも入り準備万端。

重い瓦を下ろさずに壁を壊すと重さに耐え切れず屋根が落ちる可能性があるということで、まずは瓦下ろしの作業を全員でやりました。

屋根に登る人は安全ロープをつけ、歩かずに瓦を安全に下ろせるように手渡しリレー方式で。

ものすごい勢いで下ろされていく瓦。瓦も全部同じ形のように見えて5種類くらいあり、1番多い形がA、1番下の丸い部分がついている形がCなどいつの間にか名前がつけられて、流しながら「はいっA、A、C、釘付きのD!」など形によって方向や重さの違いや危険が共通認識できるように。そして最後は、最小限のスペースで後の作業の邪魔にならずに並べて保管できるように、みなさんの自然発生的な工夫で形ごとにきれいに並べてくれました。

私達が想像していたよりかなりの枚数の瓦がありましたが午前中には全部下ろし終わり屋根の上に溜まった土の掃除も終了。

瓦を外してみた屋根の野地板はこんな状況。スカスカです。誰も落ちたり怪我をすることがなく、本当に良かった。

その場にいる全員が心を一つにして臨んだ1番危険な瓦下ろしが終わったところで、美味しいごはんでホッと一息です。


その後は建物全体の解体作業を進めます。建物内部の解体は釘やビスで留めてあるものを剥がしたり外したりしていく作業なので思ったようなスピードで進まず、次に業者が入る工程までの10日間あまり、毎日お手伝いを募集しての解体作業が続きました。

家を壊してみたかった!という方にはバールやハンマーでどんどん壊してもらい、作業に慣れてる方には電動ドリルで複雑な建具を外してもらい、DIY初心者の方には再利用したい外壁の釘を外してもらったり。

子ども達にとってもタイルを叩き割ったり、バールで壊す作業は特別な経験だったよう。

いろいろな方に手伝ってもらい、だいぶ「柱だけ残した」状態に近づきました。


2日後の構造補強工事の着工を前にタイムリミットがきてついにプロの解体業者に入ってもらいました。プロの解体屋さんで4人工×1週間かかると言われていた解体工事が、みなさんとのDIY作業のおかげで、1日にまで短縮できました!


危ないけれどやってみる


この家を自分達で直すと決めた時から「家の解体」という危険な作業をみんなでやるべきかどうかという迷いは常に頭の片隅にありました。DIYワークショップなども開かれている設計事務所や工務店の人に会えば「解体ってみんなでやったことあります?」ときいていました。答えは全員NO。

でも危ないことほどワクワクするものです。壁を叩き割るってどんな感じだろう?家を一軒壊していいなんて!子どもも大人もきっと想像しただけでゾクゾクします。

クライアントから仕事として依頼されて会社名が表に出て責任を負う立場であればできなかったかもしれません。でも私達は個人でやっていること。面白そう!やってみたい!という共通のモチベーションで集まってくれた人達ともフラットな立場です。

子ども達を育てた青空自主保育でも、多少の怪我は遊びにはつきものという親同士の共通認識の元、子ども達がやりたいことは危なっかしくてもギリギリまでやらせるようにしていました。どこまでやると怪我をするのか、どこまでだったらやって大丈夫か?自分の身は自分で護れるという自信や適切な判断は、ギリギリを何度も経験していくことから鍛えられていくものだと思うのです。

今回の解体の経験もみんなと共有したい。

この解体作業に参加してくれた人達は大人も子どもも目がキラキラして、家を壊すという背徳感と、危険と隣り合わせという綱渡り感を楽しんでいました。

これも準備万端にして臨み、怪我人が出なかったから言えることですが!

この後はいよいよ、新たに再生していく作業に入ります。

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2021年11月終わりの記録です。
現在の様子はInstagramで発信中。

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