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『スミカ探求舎』という屋号に込めた想い

スミカ探求舎です。
「スミカ」という言葉の響きが好きです。"いえ”や"すまい”や"くらし”にはない動物が巣をつくるようなより根源的な人の営みや、器だけではなく湿った中身を伴う印象のある言葉です。
今回は屋号について書きたいと思います。

まずは「スミカ」について。

私達は、その時々の家族の状況や優先したい価値に応じてヤドカリのように住み替えてきました。
埼玉の会社に勤めながら、夫婦2人の時はあえて家賃の高い上り方面の東京の寺町谷中のワンルームマンションに住み、子育てを機に更に通勤が長くなる北鎌倉の広い庭がある一戸建てに転居し、住む環境を優先するために仕事も変え、古民家とのご縁があり更に住み替え。暮らしの場所や器を変えることで想像していた以上に価値観も変化してきました。立ち止まって振り返ると随分遠いところにきたけれど、その一歩一歩は土地や人、建物とのめぐりあいでした。

どのような住処・棲家を選ぶのかは人によって千差万別。そこに興味があるし、私達なりのこだわりもあるし、そういう私達だからこそできるお手伝いがあれば人のスミカの選択にも関わりたいのです。

「探求」について。

夫の忍は地域に点在する学校のような学びの場をつくりたい、という夢が学校建築の研究室に在籍していた大学生の時からありました。妻の美菜子は何事にも研究熱心な父親に似たのか、何かを始める時に本を読む、セミナーや教室に参加する、得意な人や経験のある人から学ぶ、ということを沢山してきたし、学ぶことにワクワクしたり楽しいと感じたりしてきました。なので学ぶというニュアンスの言葉も入れたいと思っていました。

たんきゅうという言葉にたどり着いた時に、"探究”という字とも迷いました。いくつかの辞書や記事を読んでみると、探究はより真理を求めるもの、哲学的・概念的な意味合いがより強く、"探求”は探し求める、探すという行為自体やより実態のあるものを手に入れるという印象が強いようです。

今より家族の状況にあった暮らし方や幸せを実現していきたいというソフト面の追究もあるのですが、私達は理想の暮らし方を実現するためにハード面の家という器をどういう物にするのかということも探し求めてきました。

昨今インターネットや電子機器の進化によって、よりバーチャルな広がりや体を運ばなくてもできる新しい体験の形が発展してきました。現在の人と人との接触を避ける風潮によってその傾向はますます加速しています。それによってできるようになったこと、恩恵は私達も享受しているし楽しんでいます。全国、世界中の物件もインターネットで探せるし、学びの機会も広がっています。

それでも、人間は動物の一種であり自然の一部です。いつも安全で風雨から守られた建物の中からバーチャルの世界だけを楽しむだけでは、人間の本来の能力や機能も衰えていくし、体の内から湧き出るような喜びも感じられないと思うのです。

頭で考えた理想や、視覚聴覚に頼る喜びではなく、自然や建物や人とも対面して、空気感・匂い・肌触り・味・光・温度・自分にとっての好き嫌い、などを五感をフルに活用して実際に体験することも大事だと思うのです。自分が心地良いと感じる暮らしはどういうものなのか。どんな風景を見たいのか、どんな音がすると落ち着くのか、どういう肌触りの物に囲まれると安らぐのか。

物質的なモノやヒトとの出会いを探し求めて得られた体験を大事にしたい、という意味も込めて「探求」の方を選びました。

最後に「舎」。

これは"者”だと1人でやるという感じがするし"社“だと外から入りづらいイメージがあるかなと思い、出入り自由・同じようなことを探求することに興味がある人には気軽に入ってきて欲しいというのもあり、単純にハコとしての建物の意味がある「舎」を選びました。他にも宿・休む・憩うなどの意味もあり、そのイメージも、私達が持つ、家や人が集まる場所のイメージと合っていました。

「スミカ」というカタカナ表記はいろいろなことを考慮してたどり着いたのですが、友人から「何かが始まる基地の雰囲気」があると感想をもらって、それは意図していなかったけどそんなイメージを屋号からも活動からも持ってもらえると嬉しいなと気づきました。その友人には「『探求』も市川家の空気を言い得ている」と言ってもらい、散々悩んでこれにして良かったなと。

これが『スミカ探求舎』に込めた想いです。

美菜子

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