空き家の使い方相談の会〜北鎌倉空き家再生プロジェクトno.10〜
新たなフェーズへ
車が入れない空き家に、100m近く鉄のパイプを繋げてミキサー車からコンクリートを押し上げ、プロの手で基礎も固め終わりました。
残された沢山のモノの片づけ、壁や床を壊す解体、とカビだらけホコリだらけの中の作業が続いていましたが、ここからは新たに家を造り直していく、という新しいフェーズに入っていきます。
柱だけになった空き家をお披露目
今まで関わっていただいたご近所さん中心に集まってもらって空き家の使い方相談の会を開きました。
まずは現地をチェック。物が溢れていたり、あちこちカビだらけだった時を知っているみなさん、骨組みだけになりスッキリとしてきた空き家を眺めます。
取り払われた壁から見事なモミジとイチョウの紅葉黄葉が見れました。
歓声が上がったので何事かと思ったら、大人が話している横で小学生の男の子がマイクラでこの空き家を組み立ていました。解体を熱心に手伝ってくれていた子です。大人が意図しなくても、思わず何かしたくなる。こういうのたまりません。
アイデア出し
年の瀬の寒い時期、室内に移動して車座になっての相談の会。忍がラフな図面を描いていたのでそれも見てもらいました。
いろいろな意見が出ましたが印象的だったものをいくつか。
「モミジとイチョウのある方角は今日の紅葉もきれいだし緑の時期もいいだろうから大きな窓にした方がいい。」
と力説してくれたのはガーデンデザイナーのさおりちゃん。
この建物は南側に山がそびえていて、北側が低い斜面になっていて遠くまで見渡せる配置。元の家は南側に縁側と居間、北側のモミジやイチョウがある所はキッチンやお風呂などの水回りが集められ、壁で閉じられていました。南側に人が寛ぐリビング、陽当たりの悪い北側に水回りを集めるというのは建築のセオリーで、この日みなさんに見てもらった図面もそうなっていました。
でも確かに北側の眺めもいいし南側も山が迫っているのでそんなに陽当たりがいいわけでもない。この時のみなさんの反応から北側に大きな窓、南側に水回りを持ってくるように計画を見直しました。
「市川家のことだから何か美味しいものが出てくるようにするんでしょ?」
と冗談混じりに言っていたのはご近所のイベントごとではいつも大活躍のあやこさん。
確かに私が心惹かれるのは、みんなで集まって何か1つのことをすることと、そこに美味しいごはんかおやつがあるシチュエーション。自分が運営するスペースでごはんが出せるのはいいなぁと営業ができるキッチンを作ろうと決めました。
「鎌倉市に所縁のある書籍を集めた図書館にしたい!」
と言うのは解体からしばらく熱心に手伝ってくださった姉川さん。今まで「鎌倉物語」や「海街diary」をこの空き家が完成した時のために、と寄贈して下さっています。まだ手のかかる年頃の子育て中で本をゆっくり読む時間と空間を切望している私達にとっては図書館というキーワードも魅力的です。本を置くには本棚も必要ですし、どの程度置くか、どのような本を置くか、どういう時に図書館として使ってもらえるか、など考えることはいろいろありそうです。
この時から1年半経ち、もうすぐ建物は完成します。使い方についてはこの時の意見も踏まえつつ、まずは利用方法のたたき台を作り、お試しで使いながらブラッシュアップしていきたいと思います。
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2021年12月の記録です。
現在の様子はInstagramで発信中。