Lifestyle:学生寮の一人部屋に入っておくと、自立心が芽生える上にストレスフリー。
人生のどこかで一度は経験しておくべきことに、一人暮らしがある。
身の回りのことを全て自分でこなす。
誰も起こしてくれないから、自分で起きる。
誰も食事を用意してくれないから、自分で用意する。
洗濯も、掃除も、諸々の公的手続きも、一通り自分でやることになる。
これらの経験を通して「一人で生きていく力」が大きく向上する。
とりわけ10代や20代といった若い頃に一人暮らしを経験している人は強い。
自立している印象を与えるし、
(経済面はともかくとして)実際に生活面は自立しているわけだから
一緒にいると頼もしく感じるものだ。
だが実際には、若い頃から一人暮らしできる環境を整備するのは中々難しい。
その中で簡単に、より気軽に「擬似・一人暮らし」を体験できる方法がある。
それがこの海外留学において、寮の一人部屋に住むという方法だ。
日本国内の大学だと
「実家からなるべく出たくない」
「生活費を極力切り詰めたい」
ということで寮に入るのがつい億劫になってしまうのだが、
これが留学になると途端に
「まあ寮に入るのが一番簡単だし」ということになる。
心理的ハードルが一気に下がるのだ。
私自身も留学後半で寮の一人部屋に入っていたが、これは素晴らしい体験だった。
複数人部屋ではなく、一人部屋にしておくメリットは数多あるが
なんといっても誰にも邪魔されない自分だけの空間が確保できるというのが一番大きい。
これが複数人部屋にしてしまうと、こうはいかない。
学生寮は一人部屋にしない限り「自分の部屋」という概念がないから、
朝起きる瞬間も夜寝る瞬間もすぐそばに誰かしらがいることになる。
昨日初めて会ったような外国人と相部屋になっても
特に抵抗なく普段通りの勉強・生活ができるほど精神的にタフな人なら別だが、
そうでない限り「一人になれない」というのは想像以上に苦痛だ。
特に私のように、一人にならないと勉強に集中できないタイプだと尚更である。
「そうは言っても、海外留学では沢山英語を話したいから」
ということで複数人部屋を希望する留学生・留学志望生は少なくない。
だが、そういった方に向けてお伝えしたいのは
「英語を話す」というのと
「一緒の空間で生活を共にする」というのは全くの別問題であるということだ。
言語だけが違うならまだしも、一人一人の文化や思想がそもそも違う。
電気を消して寝る人もいれば、電気をマックスに点けて寝る人もいる。
音楽をイヤホンで聴く人もいれば、他人などおかまいなしでスピーカーで流す人もいる。
こまめに掃除をする人もいれば、断じて掃除しないどころかそこら中にゴミを捨てる人もいる。
率直に申し上げて、
これが日本人であれば「ちょっと困ります」などと言えるだろう。
だが外国人ではこうはいかない。
私が知っているアメリカの場合だと、
こちらが指摘したところで「だから何?」とばかりに何も変えてくれない人は少なくない。
こんな人と一緒に暮らすのは極めて大きなストレスである。
日中に大学のキャンパスで会って話すのと
一緒に暮らすのとは全くの別問題だということがお分かりいただけただろうか。
自立心が身に付くという意味でも、余計なストレスをためないという意味でも
寮では一人部屋にしておく価値は大きい。
「慣れない土地では怖いからとりあえず複数人」
とやりたい気持ちは確かにわかるが、
そこで一歩踏ん張ると自立心と共に自由が獲得できる。
…筆者、透佳(スミカ)